こんにちは!
元ハウスメーカー、今不動産特化FPのカルタです!
「住宅ローンはいくらまで借りかれる?」という質問はよくあります。
でも本来正しいのは「住宅ローンはいくらなら無理なく返せる?」という考え方。
最初から上限いっぱいまで借りる予定でマイホーム計画をすすめる事はおすすめしません。
「借りられる額」と「返せる額」とは違うからです。
住宅ローン承認額=「返せる額」ではない
銀行で住宅ローンの審査をして、例えば3500万円で承認となった場合、3500万円なら十分返済できると認められたかというとちょっと違います!
銀行とあなたとでは、住宅ローンのゴールがまったく違うことを認識しておく必要があります。
銀行は、住宅ローンを「将来回収できるかどうか」を判断しているのであり、「最後まで無理なく返済できるかどうか」は判断していません。
銀行の審査は限定された情報からしかできない
銀行の審査の基準は、もちろん将来を見ます。
金利が上昇しても返せるか?
この人はこのまま安定した収入が得られるのか?
担保価値は下がらないか?
今が良くても将来悪ければ、返済が滞る可能性がありますので、例えば転職歴が多く、年収が減少している方だとマイナス要因になります。
ただし、銀行の見る将来にも限界があります。
例えば、
家族が増えた。
親の介護が必要になり養う人数が増えた。
子供が医大にいくことになり教育費が嵩みそう
…などなど。
あたりまえですが、そこまで考慮しはじめると誰にも貸せなくなってしまいます。
当然ながら住宅ローンの申込書には、「将来の計画」欄なんてありません。
だから銀行の住宅ローン承認額は、ある程度限定された情報のなかで判断されたものです。
どこかで突発的な出費があったとしても銀行としては知ったことではありません。
だからマイホームより優先すべきものがあるなら、その為の貯蓄計画も考慮して無理のない返済計画を立てる必要があります。
銀行の住宅ローン回収は、必ずしも通常返済である必要はない
銀行の立場になって考えてみましょう。
銀行としては、もちろん毎月の返済によって完済してもらえることを望んでいます。
ただそうは言っても、貸したお金が回収できるなら、別になんだって構わないというのも本音です。
お客様の返済が滞ってしまった場合、そのお客様は「期限の利益」を失います。
「期限の利益」というのは、住宅ローンを分割で返済できる権利のこと。
返済が滞った場合はコレを失うので、残った住宅ローンの金額は一括返済するハメになります。
でも一括返済したくても出来ないから延滞している場合がほとんど。
銀行は住宅ローンを融資するときに、その対象となる土地・建物を担保にとっていますから、それらを競売にかけて住宅ローンの残高を回収しようとします。
(もっと詳しく言えば、通常銀行系列の保証会社が代位弁済というものをして、その債権をまた別の債権回収会社に譲渡したりするのですが、ここでは割愛します。)
銀行としては、これまで通常の返済で回収した元金と、競売によって回収した金額が元々融資した住宅ローンの金額に達するなら、とりあえずは御の字。
ほっと胸をなでおろします。
でも家を競売にかけられてしまった方は、住処をなくしてしまうわけですから、たちまち困りますよね!
最悪、元金さえ回収できれば良い銀行と、全額返済しても家がなくなっては困るあなたとでは、住宅ローンのゴールがまったく違います。
根本的に、銀行の「住宅ローン承認額(借りられる額)」とあなたの「返済できる金額」には差があるわけです。
無理なく返済できる金額がいくらなのかは、コチラで計算式を紹介しています。
一度計算してみてください!
≫住宅ローンの返済額から逆算すれば簡単!マイホームの予算の求め方
住宅ローンの相談はハウスメーカーにしない方が良い
住宅ローンをハウスメーカーに全部お任せというのはよくあることですが、僕はハッキリ言っておすすめしません。
なぜかというと、ハウスメーカーとしては住宅ローンを上限いっぱいに借入してもらい、家の価格を引き上げてくれることを期待しているからです。
つまり、あなたが住宅ローンを無理なく返せるかどうかは「二の次」なわけです。
ハウスメーカーにいるとよくある話なんですが、間取りや設備の打合せをしているとだんだんお客様の金銭感覚がマヒしてきます。
例えば、「1階のリビングは床材を無垢材にしたい」とか「キッチンはこだわってオプションで良いものをいれたい」とか打合せが進むにつれ色々要望はでてきます。
夢のマイホームですからそれは良いんですが、たまに歯止めがきかなくなる方も多いです。
例えばオプション価格が+100万円だったとします。
100万円といえば、大金ですよね。
でも金銭感覚がマヒすると、だんだん住宅ローンをベースにして金額を見るようになってきます。
+100万円借りても
「毎月の返済額は+1,000円ちょっとだし大丈夫」となって、それがどんどんエスカレートしていきます。
ほっておけば「月々+10,000円くらいならなんとかなるだろう!」と、いつのまにか金額も大きくなってしまいます。
ですがハウスメーカーの立場としては、金額が大きくなるなら望むところなので、助長こそすれ止めてくれる人は少数派です。
さきほど、+100万円の借入で、住宅ローンの返済額が+1000円という例をあげました。
これはよくある手で、ボーナス分を最大にして月々の返済額を小さく見せています。
ボーナス分は通常借入総額の50%までです。
下の表を見てください。
※変動金利0.675%、35年、元利均等返済で計算
借入総額 | 内ボーナス分 | 毎月の返済額 | ボーナス返済額 |
3000万円 | 0万円 | 80,217円 | |
3100万円 | 0万円 | 82,891円 | |
3000万円 | 1500万円 | 40,108円 | 240,953円 |
3100万円 | 1550万円 | 41,445円 | 248,985円 |
ボーナス返済をしない場合、+100万円で毎月の返済額は2,674円の増額です。
ボーナス返済をする場合、+100万円で毎月の返済額は1,337円の増額。
全然違いますね!
小さい方の金額を見せて、建築費が増大することの抵抗感をやわらげることはよくあります。
賃貸で暮らしていると、よく「月々〇万円で無理なく買えます!」と書かれた不動産チラシがポストに投函されますが、小さい字を良く読んでみると、ボーナス返済部分をめいっぱい50%にしているはずです。
住宅ローンをできるだけ多く借りてほしいハウスメーカーに、借入額をいくらにしたら良いかを聞いてもあまり参考にはなりません。
まとめ
マイホーム計画で大切なのは「借りられる額」にあわせて家を考えるのではなく、「返せる額」にあわせて家を考えることです!
ただし頭金をいれて、住宅ローンを少なくしようと言っているわけではありません。
マイホームにかかる「総額」を将来のことも考えて、しっかりと検討しましょう!