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「数寄屋(すきや)造り」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
日本特有の美意識ともいえる「わび」と「さび」を感じさせる造りですが、単に「昔の建築様式」ではなく、その造りは、姿・形を変えて現代の住宅にも活かされています。
数寄屋造りには、どのような特徴があり、今にどう活かされているのか…
画像も確認しながら、おしゃれなマイホームのヒントを見つけてみましょう!
数寄屋造りとは、もともと茶人たちが好んだ質素な建物だった
そもそも数寄屋造りとは、どのような建物なのでしょう?
「数寄」というのは、和歌や茶の湯(茶道)、そして生花などを楽しむことで、そのために造った家を「数寄屋(茶座敷)」といいます。
安土桃山時代に出現したとされる当時の茶座敷は、りっぱな床の間や付書院などをそなえた、身分と格式を表すものでした。
しかし、茶人たちは、格式や過剰な装飾を嫌い、質素ながらも洗練されたシンプルさと自然美のわびさびを茶座敷に求めたわけです。
そんな、わびさびを取り入れた茶座敷は、写真のように質素な床の間で、床柱も皮付きの曲がったものも多くあります。
質素は貧しさにつながりやすく、自然の形は不完全なもの。
しかし、その中に豊かさや奥深いものを感じとるのが、「わびさび」という日本人の美意識。
その美意識が息づいた住宅こそ、数寄屋造りと言えます。
質素から高級様式へ。現代の数寄屋造り
数寄屋りは、茶座敷から一般住宅へと浸透していきますが、時代の流れとともに、姿・形は変わっていきます。
初期こそ、数寄屋造りは、わびさびを背景にした質素な造りをいいました。
それが現在では、
「自然美を内包した」
「飾り気はないけど、洗練された」
「素材の良さを引きたてた」
といった褒め言葉の浮かぶ、高級な建築様式として認識されています。
数寄屋造りの家、3つ特徴と実例
「現代版」ともいえる数寄屋造りには、次の3つのような特徴があります。
- 繊細な直線美を生かしたデザイン
(細く長い直線) - シンプルで洗練されたデザイン
(過剰な装飾をなくす) - 自然素材を使ったデザイン
(自然木、しっくい壁、じゅらく壁など)
現代では高級な建築様式と認識されていますが、必ずしも高級素材にこだわることはありません。
デザイン次第でオシャレな数寄屋風の味わいをだすことも十分に可能です。
ここから実例も確認していきましょう!
数寄屋モダンの外観例
まずは、外観。
掲載元:住友林業
上の例では、瓦を屋根全面に葺くのではなく、破風・軒先部分を鋼板で葺き、直線ラインを美しく繊細に見せています。
掲載元:住友林業
これも破風と軒先の繊細な直線、そして深い軒の影が美しいデザインですね!
また、切妻部分に垂直ラインを入れ、焦点が定まる工夫をしています。
この例でも厚みのある和瓦でなく、屋根厚を薄く見せることで繊細さを出しています。
一概には言えませんが、外観を数寄屋造り風に見せるには、切妻屋根と深い軒、そしてサイディングではなく塗り壁、これらもポイントですね。
数寄屋モダンの内観例
それでは、続いて内観。
掲載元:住友林業
なんとなく、数寄屋の茶座敷を感じさせる空間ですね。
縁なし畳と板張り天井、そして光の取り入れ方で微妙な陰影を演出しているため、そう感じさせるんでしょう。
また、自然色でまとめられたコーディネートや正面の建具と窓の縦格子の効果も見逃せません。
いずれにしても、落ち着いた空間ですね。
掲載元:住友林業
玄関ホールとリビングを開放した現代風の間取りですが、自然木色と階段の黒色がわびさびの陰影をイメージさせます。
巾木を細い見切り材に代えて見えなくし、余分な装飾を省いた縦格子と階段の直線が印象的です。
シンプルな中に美をデザインする数寄屋造りに通じるものですね。
かつて、わびさびを背景として、シンプルな自然美を求めた数寄屋造りは、いまなお現在の住宅デザインに生かされています。
むしろ、人間社会と自然との調和や環境保護の現代にこそ、ふさわしい住宅様式といえるかもしれませんね。
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