積水ハウスの構造と特徴
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こんにちは!
ハウスメーカー、今不動産特化FPカルタです!

カルタ

ハウスメーカーのホームページを見て、なんかスゴそうなのはわかるけど、他との違いがよくわからない

そんなことってないですか?

ここでは、これからハウスメーカー選びをするあなたに、各社の特徴をわかりやすく解説していきます。

今回は、誰もが知っていると言っても過言ではない、超大手ハウスメーカーの積水ハウス

積水ハウス掲載元:積水ハウス

積水ハウスの住宅構造には、鉄骨系と木造系があり、鉄骨系には軽量鉄骨造と重量鉄骨造の2種類があります。

さて、ここですでに「?」。
軽量鉄骨と重量鉄骨では、何が違うのでしょうか?

軽量鉄骨、重量鉄骨、木造それぞれ解説していくので、参考にしてくださいね!

軽量鉄骨造(1・2階建て):ダイナミックフレーム・システム

7m×7mの大空間が可能!…ただし間取りによる?

積水ハウスの軽量鉄骨造は、ダイナミックフレーム・システムと呼ばれ、柱と柱の間が1階で最大7mのスパン、2階では8mを誇り、大空間を可能にしています。

積水ハウスのダイナミックフレームシステム掲載元:積水ハウス

仮に、7m×7mの柱の無い空間を考えてみると、約29.6帖(14.8坪)にもなりますから、すごいですね。

ただし、少し気になる点があります。

積水ハウスのHPのダイナミックフレーム・システムの紹介文に、” 工業化住宅として「型式適合認定」を取得 ” とあります。

型式適合認定とは、同一の型式で量産される住宅などについて、事前に国の認定を受けるものです。

(認定内容には、建築材料や主要構造部、防火仕様、そして建築設備などがあります)

そして構造的な部分では、事前に認定された設計ルールの範囲内で計画されたものは、個別の詳細な構造計算を行わなくてもよいとされています。

メーカー側にとっては便利ですが、そのルールや内容はブラックボックス化していて、ユーザー側には、どこまで設計変更が可能なのかがわかりません。

つまり、どんな外観・間取りでも、7m・8mのスパンが可能と言うわけではないということ!

それでも、積水ハウスの構造体が強靭であることには、違いないんですけどね。

横の揺れに対応する特殊な梁を採用している

ダイナミックフレームシステム
ダイナミックフレームシステム10倍掲載元:積水ハウス

上の写真は積水ハウスの梁、ダイナミックビームです。

ちなみに一般的な鉄骨造に使われている梁の形状は、下のようなものでH型鋼と呼んでいます。

一般的なH型鋼

違いは明らか!
ダイナミックビームでは「H」字の中間にもう一枚の板がついていますね。

柱と柱のスパンを広げた大空間にするには、上(垂直)からの荷重に対応するため、一般的には梁成の大きなH型鋼を使用します。

ただ、スパンを広げると横(水平)方向にも揺れやすくなります。

ダイナミックビームの中間に追加されている板材は、その横揺れを抑える目的のものです。

木造軸組の柱や梁を鉄骨に置き換えた構造になっている

積水ハウスのダイナミックフレームシステム掲載元:積水ハウス

ダイナミックビームを組み込んだダイナミックフレーム・システムは、上の画像のように、木造軸組の柱や梁を鉄骨に置き換えた構造です。

地震の揺れに対しては、鉄製のブレース(木造でいう「筋かい」に相当するもの)で耐え、揺れを低減する目的で下写真の制震装置(シーカス)が組み込まれています。

積水ハウスのシーカス掲載元:積水ハウス

シーカスは、地震時の揺れ(変形量)を1/2以下に抑えるとのことで、内外装の損傷を防いでくれます。

軽量鉄骨造の商品ラインアップは5種類

商品ラインアップとしては、次の5種類が用意されています。

型式適合認定のため、全くのフリープランと言う訳ではないでしょうが、積水ハウスの主力商品として、どのラインアップも魅力的な内容になっています。

重量鉄骨造(3・4階建て):フレキシブルβシステム

フレキシブルβシステム

積水ハウスの3.4階建ては、重量鉄骨造で、フレキシブルβシステムを採用しています。

遅くなりましたが、ここで重量鉄骨造と軽量鉄骨造の違いを説明しておきましょう。

大きな違いは、鉄骨材の厚みの違いと、ブレース(筋かい)があるかないかです。

軽量鉄骨は、板材の厚みが6mm未満、重量鉄骨では6mm以上とされています。

(軽量鉄骨の部材の全てが6mm未満かというと、そうでもありません。先のダイナミックビームのフランジは6mm以上の厚みがあります)


もう一つの違いとして、重量鉄骨造の場合には、筋かいに相当するブレースがありません。

ラーメン構造

上の①で、縦材と横材がボルトで締められているとします。

しかし、強く締めたボルト接合でも、上からの荷重が大きくなれば、次第に下がってきて、破線のようになってしまいます。

それを支えるのが筋交いで、②の状態です。

③では縦材と横材が一体化しており、筋かいがなくても相応に耐えられる構造になっています。

この③のような構造をラーメン構造といい、重量鉄骨造だからこそ出来る大きな特徴です。

なお、図では上からの荷重例を示していますが、横(水平)荷重の場合でも同じです。


フレキシブルβシステムとは、そのラーメン構造に積水ハウスの技術とノウハウを加えたものです。

高強度の柱(WHコラム)と高強度の梁(WHビーム)を採用して、最大スパン9mを実現している上に、震度7相当の揺れにも耐える性能としています。

フレキシブルβシステム掲載元:積水ハウス

商品ラインアップは次の2つです。

なお、この商品では型式適合認定という設定がなく、敷地に合わせたフリープランを可能にしています。

木構造(1〜3階建て):シャーウッド

積水ハウスのシャーウッド 掲載元:積水ハウス

積水ハウスの木構造は、構造用集成材専用の接合金物を使用したシャーウッドという軸組工法で、震度7の揺れを複数回受けても暮らしの安全を守る構造としています。

同社では、シャーウッドをモノコック構造(6面体構造)とラーメン構造の良さを取り入れたハイブリッド構造と紹介しています。

ですが、重量鉄骨造のようにブレースの必要がない、と言うことではありません。柱と梁などの接合部が在来軸組に比べて強いと言う意味です。

商品構成としては、

構造用集成材と専用接合金物の組み合わせ(金物工法)は、すでに一般に普及しているものです。しかし、積水ハウスの技術とノウハウが生かされ、軸組工法で唯一の型式適合認定を受けています。(2020.10月現在)

まとめ

積水ハウスには、軽量鉄骨造のダイナミックフレーム・システムと重量鉄骨造のダイナミックβシステムがあります。

木造系では、構造用集成材と専用の接合金物を組み合わせたシャーウッドがあります。

いずれも、同社の技術とノウハウが反映された安全性の高いものですが、主力商品はダイナミックフレーム・システムとなっています。

ユーザーの選択は、大空間と大開口の鉄骨造か、木の温もりを持ちながらも先進の技術で高耐震を実現している木構造かの判断になるでしょう。





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