賃貸併用住宅を建てたい!でも、建築費用ってどのくらいするんだろう?
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こんにちは!
元ハウスメーカー今不動産特化FPのカルタです!
通常の居住用建物に比べて、サイズの大きな賃貸併用住宅。
一体どのくらいの建築費用であれば足りるのか、気になるところですね?
最初に言っておきます。
賃貸併用住宅の建築費用は、どこに建てるかで、もうだいたい決まっています!
決め手は、近隣の家賃相場。
賃貸アパートの利回りは、6〜12%くらいです。
あなたの建築予定地でその利回りを得るためには、初期投資額(建築費用)がどのくらいになるか、想定される家賃収入から逆算しないといけません。
建築費用が高すぎると、それだけ多くの家賃をもらわないと赤字になります。
逆に建築費用が低すぎると魅力がなく、退去率が高くなって、家賃は早々に下落していくでしょう。
賃貸併用住宅を建てるなら、「ぴったり」な建築費用を探る必要があるんです。
そこで今回は、賃貸併用住宅の建築費用を計算する方法をご紹介します!
かんたんなので、試してみて下さいね!
賃貸併用住宅の建築費用はいくら?がわかる7ステップ
ここでは仮条件として、「60坪の敷地に3階建ての賃貸併用住宅を建てようしている」ことにします。
さあ、建築費用はいくらになるでしょうか?
①賃貸検索サイトで近隣の家賃相場を調べる
まずは賃貸検索サイトを使って、近隣の家賃相場を計算します。
方法は簡単で、賃貸住宅の検索サービスで近隣50〜100件くらいの平均家賃を計算するだけ。
今回は、LIFULL HOME’SのHPを使ってみます。
掲載元:LIFULL HOME’S
次のような検索条件で物件情報を出してみましょう!
検索条件 | |
---|---|
最寄駅 | 家賃は駅からの距離に影響を受けやすいので、「駅・路線から探す」から、建築予定地の最寄駅を探します。 |
賃料 | ここでは入力しません。 |
専有面積 | ここでは入力しません。 |
間取り | ここでは、ひとり暮らしの入居者をターゲットにすることにして、1LDKの間取りを選択することにします。 |
駅徒歩分 | あなたの建築予定地から最寄駅までの実際の時間を入力します。 |
築年数 | 3年以内を入力します。3年以内で物件数が少なければ10年以内を選択しましょう。 |
これで条件にヒットする物件情報がでてきます。
家賃相場は、これで表示された家賃の平均を計算するだけ。
家賃には、管理費・共益費も含めて計算すると良いです。
=近隣の家賃(できれば50〜100件分)÷物件数
今回は、大阪にある江坂という駅の近隣家賃相場を調べましたが、10.3万円という結果でした。
②1部屋あたりの広さも計算する
先ほどの家賃相場と同じ条件で、1部屋あたりの広さも平均をとっておきます。
=近隣の部屋の広さ(できれば50〜100件分)÷物件数
同じ江坂駅周辺では、1DKの部屋の平均な広さは35.37㎡でした。
③建物の最大面積を調べる
続いては、あなたの土地の建ぺい率と容積率を調べます。
建ぺい率とは、敷地面積に対する建築面積のこと。
建築面積は、家を真上から見たときの面積のことで、一般的には1階の面積ですが、オーバーハングなど2階が張り出ているときは、その面積も加算します。
容積率とは、敷地面積に対する延床面積の割合のことです。
それぞれGoogleなどで「◯◯市 都市計画図」と検索すると、各市の都市計画図を確認することができます。こんなマークがついていますが、これは下の60が建ぺい率、上の200が容積率を表しています。
つまり、60坪の土地に賃貸併用住宅を建てようとしている今回の場合は…
建築面積が36坪(60坪×60%)
延床面積が120坪(60坪×200%)
までの広さの建物なら、建てられるということですね。
最大の延床面積=敷地面積×容積率
④最多の部屋数を計算する
これまでの計算で、実はもうだいたい建物の形は決まってきています。
今度は、建築予定地で何部屋賃貸できるか確認しましょう。
先ほど調べた近隣1DKの平均的な広さは、35.37㎡でした。
坪数換算すると、1坪は約3.3㎡ですから、35.37㎡=10.72坪。
建ぺい率を調べると、建築面積は最大36坪までということでしたから、36坪のなかにいくつ部屋をとれそうかというと…
36坪÷10.72坪=3.35
階段や廊下など共有部分も必要ですが、それでも1階あたり3部屋はつくれそうです。
ということは、今回は3階建ての賃貸併用住宅を建てようとしていたので、1・2階で計6部屋。
3階は居住用部分ということで、だいぶ形が見えてきました。
居住用部分は、32坪(10.72×3部屋分)くらいになりそうですね。
また、賃貸部分の床面積の合計が10.72坪×6部屋=64.32坪ですから、居住用部分の約32坪と階段やエスカレーターに必要な面積を足しても、容積率いっぱいの120坪にはおさまりそうです。
=③最大の建築面積÷②近隣の1部屋あたりの広さ×階数
⑤年間の家賃収入を計算する
続いて、6部屋の賃貸住宅を経営した場合に、年間どのぐらいの稼ぎになるかです。
ここでは、いったん満室経営できたと想定して計算します。
近隣の家賃相場の平均は10.3万円でした。
ということは、10.3万円×6部屋=月61.8万円
61.8万円×12ヶ月=年間741.6万円の収入ということになります。
⑥単純利回りで割りもどして、建築費用を計算する
さて、いよいよ建築費用ですが、これは年間の収入を想定家賃利回りで割りもどして計算します。
想定家賃利回りとは、満室時の年間家賃収入を初期投資額で割ったもののこと。
=年間家賃収入÷初期投資額×100
新築のときなら、10%くらいの単純利回りは欲しいところです。
なので、年間741.6万円の収入を10%で割りもどします。
741.6万円÷10%=7416万円
つまり、7416万円が建築費用の目安!
ただし、想定家賃利回りは建物の構造によって変える必要があります。
木造なら10%くらいで良いですが、鉄骨なら7〜8%、RC造なら6~7%で計算しましょう。
⑦建築費用の総額を計算する
賃貸部分と違い、居住用部分にどこまでお金をかけるかは、あなた次第。
居住用分の面積はおよそ32坪くらいになるということでした。
そこに入居者とは別に入り口を設けるとして、3階まで上がる階段スペースを加えて約37坪としておきましょう。
例えば坪単価が80万円とすると、37坪×80万円=2960万円
諸費用として10%を加算し、3256万円。
ということは、賃貸併用住宅の総額は…
7416万円(賃貸部分)+3256万円(居住用部分)=1億672万円ということになります!
賃貸併用住宅はターゲット選定が大事!
今回のケースでは、賃貸部分の建築費用は7416万円という試算でした。
はじめに言ったとおり、この金額より高すぎると、それだけ家賃を高くしなければならず、競合に価格競争で負けてしまいます。
逆に低すぎても、設備や見た目で競合に劣り、やはり負けてしまいます。
新築のときは満室経営できるかもしれませんが(よく「新築プレミアム」と言われます)、築年数が経過するごとに他との差がハッキリしてきます。
だから賃貸併用住宅を建てる場合は、今回のような逆算で求めた建築費用をいかに効率的に使うかが大事!
そのためには、1にも2にも、次のようなターゲット選定です!
オートロック、モニター付インターホンに加え、警備会社のかけつけサービスもセットになったセキュリティ賃貸としてアピールするなど。
お風呂の追い焚き機能。太陽光発電システムを使ったエコ賃貸をアピールするなど。
音大生向けの防音部屋、バイクを入れられるガレージハウスなど。
ターゲットに合わせて、必要なところに必要なお金をかければ、相場より+10%程度高い家賃設定にしても入居してもらえることがあります。
また退去も少なくなるので、家賃の下落ペースも緩やかなものになり、安定した家賃収入が得られるようにもなります。
あなたの建築予定地は、どんなところですか?
- 道ゆく人たちの年齢層は?男女比は?
- 近場のスーパーや大学などのアクセス条件は?
- 通勤手段として駅までの距離やバスの本数、最終便は何時?
今一度、入居者の目線で見つめ直して、根拠のあるターゲット選定をしましょう!
ターゲット選定って…なんだか難しそう!
確かに難しく感じるかもしれませんね。でも、人口統計とか家賃の傾向とか、賃貸経営する上での必要な調査はハウスメーカーがやってくれますよ!
え、そうなの!?
そういうのを「市場調査」って言います。≫賃貸併用住宅を建てるときのハウスメーカーの比較基準4つで詳しく説明しているので、参考にしてくださいね!