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こんにちは!このブログも7周年!
元ハウスメーカー、今不動産特化FPのカルタです!
不動産を売買するとき、売主と買主で交わすのが「売買契約」。
でもそれとは別に、不動産会社と交わす「媒介契約」というものがあるのをご存じでしょうか?
売主と買主が、自分たちで契約書をつくって不動産を売買する…なんていうことは、そうそうありません。
そんなことをすれば、後々のトラブルになる可能性が高く、銀行もローンを貸してくれないからです。
だから、不動産屋に売買を仲介してもらうわけですが、その仲介をしてもらうための契約を、媒介契約と言います。
高額な仲介手数料がかかりますが、専門的な知識が必要な不動産売買では、必須の契約です。
ただし、ひとくちに媒介契約といっても3つの種類があり、どの種類の契約を選ぶかで不動産会社の動き方がまるで違ってきます。
そこで今回、あなたに合った媒介契約が選べるよう、買主と売主両方の立場から、その内容と契約の選び方をできるだけわかりやすく解説していきます!
媒介契約にかかる仲介手数料とは?
これから媒介契約の種類について解説していきますが、まずは全種類に共通する仲介手数料について知っておきましょう。
媒介契約の仲介手数料は、成功報酬です。
だから媒介契約をしたときにはお金は発生せず、売買契約が成立して初めて、不動産会社に手数料を支払う義務が発生します。
具体的な支払いをいつするかは、不動産会社との取り決めによります。
「売買契約時に半分、物件の引渡し時に半分」となることもあれば、「引渡し時に全額」ということもあります。
仲介手数料の相場は、
売買価格×3%+6万円+消費税。
これは、宅建業法で定められた仲介手数料の上限ですが、これ以下にしている不動産会社は見たことがありません。
宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額(国土交通省)
媒介契約とは?異なる3種のスタイル
媒介契約をすると、
- 売買する相手の募集
- 売買契約書一式の準備
- 登記手続きの手配
などの一切を不動産会社に任せることができます。
媒介契約をするにあたって、知っておくべきなのは、その種類。
媒介契約には、一般媒介契約・専任媒介契約・専属専任媒介契約の3種類がありますが、それぞれの違いは、拘束力が弱いか、強いかで比べると、わかりやすくなります。
一般媒介契約
複数の不動産屋(宅建業者)に、同時に売買の依頼をすることができる、拘束力の弱い契約です。
この一般媒介契約はさらに、他のどの不動産会社と媒介契約をしたか明示する「明示型」と明示しない「非明示型」とに分かれます。
ただ、非明示型の方はあまり選ばれることはありません。
専任媒介契約
一般媒介契約と違って、不動産屋は、特定の1社としか契約ができません。
ただ、依頼主が自分で取引相手を見つけることも可能な契約です。
だから、契約の拘束力は並といったところ。
この専任媒介契約をした場合、不動産会社には、2週間に1回のペースで、あなたに販売活動の報告をすることが義務付けされます。
契約期間は3ヶ月が上限です。
専属専任媒介契約
専任媒介契約と同じく、不動産屋は特定の1社としか契約できません。
その不動産屋が紹介する相手としか売買契約ができない、拘束力の強い契約になります。
この専属専任媒介契約をした場合、不動産会社には、1週間に1回のペースで、あなたに販売活動の報告をすることが義務付けされます。
契約期間は3ヶ月が上限です。
さて、3つの媒介契約のうち、どれを選ぶかですが、それはあなたが買主の立場なのか、あるいは売主の立場なのかで変わってきます。
買主と売主の立場で、選ぶべき媒介契約は違う?
一般的に、あなたが売主の立場なら、不動産屋は「専属専任媒介契約」を勧めてきます。
逆に、あなたが買主の立場なら、不動産屋は「一般媒介契約」を勧めてくるでしょう。
これから、その理由を解説していきます!
不動産屋は「両手取引」を狙って、売主に専属専任媒介契約を勧める
売主は「この物件を買ってくれる人を探して!」と不動産屋に仲介を依頼し、無事物件を売却できたら、仲介手数料を不動産屋に支払います。
買主も「良い不動産を見つけてきて!」と不動産屋に仲介を依頼し、無事物件を購入できたら、仲介手数料を不動産屋に支払います。
ではもし、売主から依頼を受けた不動産屋が、自ら依頼を受けた買主を紹介した場合、仲介手数料は誰が支払うでしょう?
答えは、両方です!
これを両手取引といい、ひとつの売買成立で、仲介手数料が倍額稼げる、不動産会社にとって最もおいしい形です。
専属専任媒介契約にしておけば、他の不動産屋からの横槍がはいらず、両手取引に繋げやすいため、一般的に不動産屋は、売主にはこの契約を勧めてきます。
この両手取引は、他の先進諸国では利益相反取引として禁止されていますが、日本ではなぜか禁止されていません。
ひとりの弁護士が、原告と被告の両方を弁護するようなものなんですけどね。
専属専任媒介契約は、売主にもメリットが大きい
不動産屋にとって都合の良く見える専属専任媒介契約ですが、この契約をすると、売主にもたくさんのメリットがあります。
それは、次のようなもの。
- 早く・高く売るために、不動産屋が積極的な販売活動をしてくれる!
- 販売活動の報告義務があるので、状況の把握や相談がしやすい!
- 不動産屋の担当者と信頼関係を築きやすい!
専属専任媒介契約は、拘束力が強いぶん、結束力も強い契約といえるかもしれませんね。
不動産屋の担当者と、まさに二人三脚で販売活動をするイメージです。
専任媒介契約を売主がすることは少ない
同じく一社にのみ依頼する専任媒介契約もありますが、こちらはあまり選ばれません。
専属専任媒介契約との違いは、「自分で見つけた買主と契約ができる」というものですが、不動産という大きな金額の取引では、トラブルを避けるため「自分で見つける」ということがそもそもないからです。
売主が一般媒介契約をした場合、積極的な販売活動をしない可能性あり
複数社に依頼できる一般媒介契約はありますが、これはうまくいく時とそうでない時の差が激しいです。
「いろんな不動産屋に仲介を依頼できるので、数をうてば早く成約するのでは?」と感じるかもしれませんね。
そういうこともあります。
ただ不動産屋にとってみれば、他社で成約してしまわれると仲介手数料をもらえないため、販売活動に十分な費用をかけることができません。
そのため専属専任媒介契約のような、積極的な販売活動をしてくれない可能性があります。
最悪、買い手が見つかるのに時間がかかり、販売価格の見直しを迫られるケースもあります。
不動産屋は、買主に一般媒介契約を提案する。理由は気軽さ
売主のときとは違い、買主が媒介契約をするときは一般媒介契約を選ぶケースがほとんどです。
その理由の最たるものが、気軽さ。
物件の紹介して欲しい場合、不動産会社と媒介契約を交わすわけですが、そのとき「私たち以外からは、物件の紹介を受けないでください」と専属専任媒介契約を勧められたらどうでしょう?
あまりに威圧的で、そんな不動産屋なら契約したくなくなりますよね?
だからあなたが買主である場合、専任媒介契約や専属専任媒介契約は、不動産会社からもあまり勧めてくることはないでしょう。
そもそも全国の物件情報は、国土交通大臣の指定を受けた「レインズ」と呼ばれる流通機構に登録されていて、どの不動産会社でも同じ情報を紹介することができます。
だから買主にとってみれば、どの不動産会社を窓口にするかの話になるので、担当者の雰囲気や相性、仲介手数料の割引があるかなどにポイントをおいて選ぶと良いでしょう。
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