このコンテンツは、元ハウスメーカーで今不動産特化FPであるカルタが、マイホームに関する情報をわかりやすくお伝えすることを目的としています。
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こんにちは!
元ハウスメーカー、今不動産特化FPのカルタです!
マイホームを買いたいけど…
不動産チラシの見方がわからない!
一生に何度もマイホームを買うことなんてありません。
だから、それも当然。
とはいえ、数千万円もするお買い物…わからないまま買うわけにもいきませんよね?
不動産チラシにある物件概要は小さな文字でいろいろ書いてありますが、実は注意点の宝庫といえるもの。
この短い文章の、どこをどう見るべきなのか?
今回は、“不動産チラシの11項目それぞれの注意点”をお届けします!
所在地の注意点
不動産チラシに記載されている所在地は、実は登記簿上の地番です。
地番というのは、ひとつひとつの不動産にどんな権利がくっついているかを表記するため付した認証番号みたいなもの。
郵便物が届くような一般にいう住所(住居表示という)とは、まったく違います。
そしてこの所在地は「〇県〇市〇町一丁目」のように、詳しい地番は省略してもOK。
おそらくほとんどの不動産チラシは、省略した所在地を表記しているでしょう。
それは、ブルーマップという地図で調べれば、地番から詳細な所在地がわかってしまうから。
わらわらと見学に来られると近所迷惑になりかねませんし、問い合わせをしてもらえず、不動産会社が営業活動をできないというのもあります。
だから実際に見てみたいなら、不動産会社に連絡するしかありません。
交通の注意点
よく「〇〇駅まで徒歩8分」とか「△△まで車で5分」とか、目的地にいたるまでの具体的な時間が記載されていますね。
この時間は、徒歩の場合1分80m、車の場合は1分400mで計算されています。
その距離は直線距離ではなく道のりで表記されていて、敷地の端から、敷地の端までの距離をもとにします。
〇〇駅まで徒歩8分なら、家の敷地をでたところから、駅の敷地に踏み入れるところまで。
改札をとおって、ホームに至るまでの時間は算入されませんし、信号待ちや「あかずの踏切」があったところで考慮されませんので、ご注意を。
自分で歩いて、運転して、実際に計ってみるのが一番です。
土地面積の注意点
土地の売買には、公簿売買と実測売買とがあります。
公簿売買とは、登記簿面積に基づいて売買すること。
昔は今ほどの測量技術はなかったので、登記簿面積と実測面積が違うことは普通にあります。
公簿売買は、その違いがあることを前提に契約をするので、後で「実際にはもっと小さかった…」となっても減額精算はしないので注意が必要です。
実測売買とは、測量した土地面積に基づいて土地の売買を行うこと。
こちらは、「登記簿面積と実測面積が違った場合は、あとで増減清算しましょうね」という取り決めを前提に契約します。
だから登記簿面積で契約したのち、実際の面積が小さいことが判明すると減額精算できます。
また土地面積で注意したいのが、セットバック。
前面道路の幅が4mに満たない場合、道路の中心から2mの範囲内には建物や塀を建てることができません。
つまり、「100㎡の土地だけど、そのうち10㎡は道路として提供してもらいます」と言われているようなもの。
土地を使える範囲が制限されるだけでなく、建ぺい率や容積率の計算にいれることもできず、家の大きさにも影響してきます。
建物面積の注意点
建物のケースでは、登記簿面積と建築図面上の面積が違う場合、どちらかの面積で契約しますが、あとで増減清算することはありません。
また、マンションの専有部分の床面積は、登記簿面積は内法(うちのり)計算ですが、分譲パンフレットは壁芯(へきしん)計算です。
なので、数字上の面積は大きく違ってきます。
建ぺい率と容積率
建築基準法では建ぺい率と容積率によって、その土地で建てられる家の大きさを制限します。
建ぺい率とは、敷地面積に対する建築面積の割合のこと。
用途地域(後述します)によって、30%とか80%とか定められています。
一定の地域で、条件を満たす建物であれば緩和されるケースもあります。
容積率とは、敷地面積に対する延床面積の割合こと。
これも用途地域によって、100%とか300%とか定められています。
前面道路の幅によっては、より厳しく制限されたり、緩和されるケースもあります。
延床面積とは、全階の床面積の合計のことですが、条件を満たせばここに算入しなくても良いものがあります。
狭小宅地で家の広さを確保したいときは、検討してもいいかもしれませんね。
例えば、次のようなものです。
- 地下室
住宅部分の床面積の3分の1が限度。地盤から1m以上低い位置に地下室の天井があることが条件 - インナーガレージ
延床面積の5分の1が限度
市街化区域・市街化調整区域の注意点
都市計画法は、日本全国の各地区を「計画的に開発していこう」という市街化区域と「農林水産業メインで、開発は抑えていこう」という市街化調整区域に線を引いて分けました。
(まだ、どちらとも分けられていない区域を非線引き区域といいます。)
家を建てることも開発行為にあたります。
市街化区域なら問題ありませんが、市街化調整区域なら開発許可が必要であったり、住宅ローンの審査が厳しくなることがあるので、注意が必要です。
≫人気4銀行に聞いた!市街化調整区域でも住宅ローンは借りられる?
用途地域の注意点
市街化区域は次の12の用途地域に分けられます。
- 第一種低層住居専用地域
- 第二種低層住居専用地域
- 第一種中高層住居専用地域
- 第二種中高層住居専用地域
- 第一種住居地域
- 第二種住居地域
- 準住居地域
- 近隣商業地域
- 商業地域
- 準工業地域
- 工業地域
- 工業専用地域
検討している場所がこれらのどこに属しているかによって、建ぺい率や容積率も変わってきます。
また下の表のように、用途地域によって建てられるものに制限があるので、周囲にこの先どんなものが建つ可能性があるか知ることもできます。
参照元:千葉市HP
例えば、第二種住居地域に家を買った場合、隣にパチンコ屋ができたっておかしくないわけですね。
地目の注意点
地目とは登記上記録されている、その土地の用途のことで、宅地・田・畑・雑種地など全23種類あります。
あくまで登記上のことなので、実際の用途とは違う地目になっていることもしばしば。
地目は固定資産税の計算の基にもなります。
宅地だと課税額が高くなるので、更地をとりあえず雑種地として登記したりするんですね。
マイホーム用に土地を買う場合、地目が「宅地」となっていれば問題ありません。
ですが、その他の地目になっているときは注意が必要で、地目変更登記に数万円の費用がかかります。
地目が「田」や「畑」になっている場合は、さらに農地転用の手続きも必要になります。
道路の注意点
道路にも公道と私道がありますが、前面道路が私道になっているときは注意が必要です。
私道でも一定基準を満たすものは、位置指定道路といって、建築基準法上の道路として認められます。
それは良いとしても、私道は公道と違って自治体が管理してくれません。
道路に穴があくなどして補修が必要なときは、私道の所有者や利用者でその費用を負担する可能性があります。
(特定の条件を満たす場合には、自治体から補助金を得られるケースもあります。)
設備の注意点
土地を探している場合、特に注意したいのが、その土地の設備。
上下水道・ガス・電気といったライフラインが整っているかどうかは、今後かかる費用に大きく影響してきます。
チラシに「公営水道・公共下水・〇〇電力・都市ガス」といった表記がある場合、それは前面道路に本管等の設備があるということ。
上下水道やガスの引き込み工事は必要になりますが、費用はあわせても数十万円で済むでしょう。
問題は、この表記がない場合です。
上水道であれば、引き込み工事は、本管までの距離が長いほど、その費用はどこまでも高くなります。
下水道がない場合は浄化槽が必要となり、設置費用をあわせると100万円前後かかります。
土地が安くても、設備に大きなお金がかかっては、資金計画が崩れてしまいます。
土地権利の注意点
土地の権利は、所有権であることがほとんど。
所有権であれば、自分の資産として残るので、子や孫へ承継していくことが可能です。
ただ、よく注意しておかないと、ここが借地権になっているケースもあります。
その土地は借りただけなので、いずれ返さないといけません。
「自分の代だけ暮らせればそれでいい」というのなら、ひとつの選択肢ですが、借地権の場合は担保価値が低く、住宅ローンが借りにくい難点もあります。