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こんにちは!このブログも7周年!
元ハウスメーカー、今不動産特化FPのカルタです!
地震の多い日本では、自宅の耐震性は特に気になるところですよね?
「耐震補強って、何から始めればいい?」
「どんな工事があって、費用はどれくらいかかる?」
「補助金とかもらえるの?」

そんな疑問を持つあなたのために、この記事では耐震補強について知っておきたい情報を網羅!以下のポイントをまとめました。
- うちの家は耐震補強が必要? (セルフチェックポイント)
- 専門家にお願いする耐震診断とは? (内容と費用)
- どんな耐震補強工事がある? (種類と費用・期間の目安)
- 使える補助金や税金の優遇はある? (知らないと損するお金の話)
- どうやって進めるのがベスト? (流れと業者選びのコツ)
- 工事中の生活は?注意点は?
耐震補強の全体像を理解して、具体的な第一歩を踏み出しましょう!
まず確認!あなたの家は耐震補強が必要?

日本は地震が多い国。いつ、どこで大きな地震が起きてもおかしくありません。大切な家族とマイホームを守るために、まずは自宅の耐震性をチェックしてみましょう。
チェックポイント1:築年数(特に1981年以前は要注意!)
一番重要なポイントが築年数です。日本の建物の耐震基準は、大きな地震があるたびに見直されてきました。特に大きな節目が1981年(昭和56年)です。
- 1981年5月31日以前(旧耐震基準)
震度5強程度の揺れで倒壊しない基準。震度6以上の大地震は想定されていません。⇒ 耐震性が低い可能性が高く、補強の優先度が高いです。 - 1981年6月1日以降(新耐震基準)
震度6強~7程度の大地震でも倒壊・崩壊しない(人命を守る)ことが目標。 - 2000年6月1日以降(2000年基準)
新耐震基準に加え、木造住宅について地盤調査や接合部の金物使用、壁のバランスなどがより明確に。
つまり、1981年5月以前に建てられたお家(築40年以上が目安)は、現在の基準で見ると耐震性が不足している可能性が非常に高いです。
「うちは新耐震基準だから大丈夫」と思っている方も油断は禁物。1981年~2000年の間に建てられた木造住宅も、現在の基準(2000年基準)を満たしていない可能性があり、耐震性に不安があるケースも報告されています。
チェックポイント2: 建物の特徴
こんな特徴があるお家は、揺れに弱い可能性があります。
- 1階部分に壁が少ない(大きな窓が多い、店舗や車庫になっている)
- L字型など複雑な形をしている
- 大きな吹き抜けがある
- 壁の配置が偏っている
- 重い瓦屋根を使っている
チェックポイント3: 劣化サイン
建物の劣化も耐震性を低下させる大きな要因です。
- 基礎にひび割れがある
- 雨漏りしている箇所がある
- 柱や土台が湿っていたり、シロアリの被害にあったりしている
- 小さな地震や、近くをトラックが通るだけで家が揺れると感じる
不安なら「耐震診断」を受けよう!
上記のチェックポイントに当てはまるものがあったり、少しでも自宅の耐震性に不安を感じたりしたら、専門家による「耐震診断」を受けることを強くおすすめします。
耐震診断とは?何をするかと費用の目安

「耐震診断」とは、いわば家の健康診断のようなもの。専門家(建築士など)が、あなたの家の耐震性能を客観的に評価し、どこが弱点なのかを明らかにしてくれます。
耐震診断の目的
- 現在の耐震性能を数値などで評価する
- 地震時にどこが壊れやすいか(弱点)を特定する
- 補強が必要かどうか、どんな補強が効果的かを判断する材料にする
診断の流れ
- 相談・依頼
まずは自治体の窓口や建築士事務所、工務店などに相談します。 - 現地調査
専門家が家に来て、図面(あれば)を確認し、家の内外、床下、屋根裏などを目視でチェック。基礎の状態、壁の配置、劣化状況などを調べます。 - 計算・評価
現地調査の結果をもとに、耐震性能を計算・評価します。 - 結果報告
診断結果(「評点」などの数値で示されることが多い)と、弱点箇所、必要であれば推奨される補強方法などが記載された報告書が提出されます。一般的に**評点が1.0未満だと「倒壊の可能性あり」**とされ、補強が推奨されます。
診断費用の目安と補助金
費用は、建物の大きさや図面の有無、診断のレベル(簡易診断、一般診断、精密診断)によって変わりますが、一般的な木造住宅の「一般診断」で10万円~40万円程度が目安です。
診断だけで結構な費用ですが、自治体が耐震診断の費用を補助してくれる制度を用意しているケースもあります。市によっては、昭和56年5月以前の木造住宅なら原則無料で診断を受けられます。お住まいの市区町村の窓口(建築指導課など)に問い合わせてみましょう。
耐震補強工事5種!その費用・期間の目安は?

耐震診断の結果、補強が必要と判断された場合、具体的にどんな工事をするのでしょうか? 工事の種類は、家の弱点や構造、予算などによって様々ですが、主なものを5つご紹介します。
①基礎の補強・補修(家の土台を強くする)
建物を支える一番下の部分「基礎」を強化する工事です。
- 内容
ひび割れを樹脂で埋める、既存の基礎の横にコンクリートを打ち増す、鉄筋を追加する、強度のあるシートで覆う など。 - 費用目安
ひび割れ補修なら数万円から。打ち増しなどは数十万円~数百万円かかることも。 - 期間目安
数日~1ヶ月程度。
② 壁の補強・増設(横揺れに強くする)
地震の横揺れに対抗する「耐力壁」を強くしたり、増やしたり、バランス良く配置したりする工事です。
- 内容
柱の間に斜めの木材(筋交い)を入れる、壁に構造用合板や耐震パネルを張る など。 - 費用目安
1箇所あたり数十万円(例: 筋交い設置5~25万円、パネル設置25~65万円)。壁全体の仕上げ直しも含む。 - 期間目安
数日~2週間程度(箇所数による)。
③ 屋根の軽量化(頭を軽くして揺れにくく)
重い瓦屋根などを、軽い金属屋根(ガルバリウム鋼板など)に葺き替える工事です。家の重心が下がり、地震時の揺れを小さくする効果があります。
- 内容
既存の屋根材を撤去し、軽い屋根材に交換する。 - 費用目安
屋根の面積や材料によりますが、80万円~300万円程度。 - 期間目安
1~2週間程度(天候に左右されやすい)。
④ 接合部の補強(柱や梁の繋ぎ目を強くする)
地震の時には、柱と梁、土台と柱などの「繋ぎ目(接合部)」に大きな力がかかります。ここが抜けないように、専用の金物(耐震金物)でしっかり固定する工事です。
- 内容
ホールダウン金物、筋交いプレートなどを取り付ける。 - 費用目安
1箇所あたり1~3万円程度。家全体で数十万円になることも。 - 期間目安
数日~1週間程度。
⑤ 部分的な補強(窓・ドア周り、耐震シェルターなど)
窓やドアなどの開口部は、構造的に弱点になりやすい部分です。
- 内容
開口部の周りを金物や木材で補強する、窓ガラスに飛散防止フィルムを貼る、部屋の中に頑丈な箱型の空間を作る「耐震シェルター」を設置する など。 - 費用目安
窓枠補強1箇所10~30万円程度。シェルターは種類により様々。 - 期間目安
数日~1週間程度。
【工事費用の全体像】
これらの工事を組み合わせて行う場合、木造一戸建ての耐震補強工事全体の費用は、平均すると150万円~160万円前後と言われています。ただし、これはあくまで目安。
- 100万円未満で済むケースもあれば、
- 家の状態(特に劣化が激しい場合)や補強範囲によっては500万円以上、大規模リフォームと同時に行う場合は1,000万円を超えることもあります。
築年数が古いほど、規模が大きいほど、劣化が進んでいるほど、費用は高くなる傾向があります。正確な費用は、耐震診断後の詳細な見積もりで確認することが大切です。
【工事期間の全体像】
診断や計画に数週間~1ヶ月半程度かかった後、実際の工事期間は、
- 部分的な補強なら数日~2週間
- 家全体の一般的な補強なら1ヶ月程度
- 基礎の打ち直しや大規模リフォーム伴う場合は数ヶ月単位
となることが多いです。
耐震補強に使えるお金(ローン・補助金・税金)

「やっぱり費用が心配…」になりますよね。ただ耐震補強には、費用負担を軽くするための様々な制度があります。
① リフォームローンを活用しよう
耐震補強工事専用のローンがあります。
- 住宅金融支援機構(JHF)
低金利の「リフォーム融資(耐震改修工事)」など。高齢者向けの返済特例もあります。 - 民間金融機関
地方銀行などが自治体と連携したローンを提供している場合も。
金利や条件を比較して、自分に合ったローンを選びましょう。
② 国や自治体の補助金・助成金
これが一番大きな助けになるかもしれません!国や多くの自治体が、耐震化を支援するための補助金制度を設けています。
- 対象
多くは1981年5月以前の木造住宅。所得制限など条件がある場合も。 - 内容
耐震診断
無料または数千円の自己負担で受けられることが多い。 - 補強設計
設計費の一部補助。 - 耐震改修工事
工事費の一部(数十万円~100万円超も!)を補助。 - 注意点
必ず工事を始める前に申請が必要です!事後申請はできません。制度内容は自治体ごとに全く異なりますし、年度によっても変わります。まずはお住まいの市区町村の窓口(建築指導課など)に相談しましょう。
③ 税金の優遇措置も忘れずに!
耐震補強工事を行うと、税金が安くなる制度もあります。
- 所得税の特別控除
工事費用の10%(上限あり、例: 25万円)が所得税から控除されます。確定申告が必要です。 - 固定資産税の減額
工事完了の翌年度分の固定資産税(家屋分)が一定期間、半分になります。工事完了後3ヶ月以内に市区町村への申告が必要です。
これらの税優遇も、対象となる住宅や工事、期間などの条件があり、自動的に適用されるわけではありません。必要な書類を揃えて、期限内に手続きを行うことが重要です。工事業者や税務署、市区町村に早めに確認しましょう。
相談から完了までの流れ

耐震補強の一般的な進め方を確認しておきましょう。相談から完了までは、以下のような流れになります。
- 相談・情報収集
自治体窓口や専門業者に相談。補助金情報もチェック。 - 耐震診断
専門家に依頼し、家の状態を評価してもらう。 - 補強計画・設計
診断結果に基づき、具体的な工事計画と設計図を作成。 - 業者選定・見積取得
設計に基づき、複数の施工業者から見積もりを取る(相見積もり)。 - 補助金申請・契約
補助金等を申請し、決定後に業者と工事契約を結ぶ。 - 耐震補強工事
契約に基づき工事開始。 - 検査・完了
必要に応じて検査を受け、工事完了を確認。 - 完了報告・引き渡し
補助金の完了報告、税優遇の証明書取得などを行い、引き渡し。
一番大切な信頼できる業者の選び方

工事の質は、業者の腕にかかっています。良い業者を選ぶことが、耐震補強成功の最大のカギです!以下の業者選びのチェックポイントを参考にしましょう。
- 耐震工事の実績が豊富か?
- 建築士など有資格者がいるか?
- 説明が丁寧で分かりやすいか?
- 見積もりは詳細で明確か?(「一式」ばかりは注意!)
- 補助金の手続きに詳しいか?
- 工事保険に加入しているか?
- 保証やアフターサービスはあるか?
【避けるべき業者】
突然訪問してくる、不安を煽る、契約を急かす、説明が曖昧など。
【探し方】
自治体の紹介、信頼できる団体の加盟業者(例: 木耐協)、リフォーム紹介サイトなどを活用し、必ず複数の業者を比較検討しましょう。
「安さ」だけで選ぶのは絶対にNG! 大切な命と家を守る工事です。費用だけでなく、技術力、信頼性、コミュニケーションを重視して、納得できる業者を選びましょう。
住みながら工事はできる?

工事期間中、普段通りの生活ができるのかも気になりますよね。
住みながら工事(居ながら施工)をするケース
- メリット
仮住まいの費用や引っ越しの手間がかからない。 - デメリット
工事中の騒音、ホコリ、振動がある。家具の移動や養生が必要。生活スペースが狭くなる。業者の出入りでプライバシーやストレスの問題も。
判断: 工事の規模や期間、家族構成(小さなお子さんや高齢者がいるかなど)によって、住みながら可能か、仮住まいが良いか判断しましょう。
仮住まいを検討するケース
費用はかかりますが、工事中のストレスがなく、工期が短縮される可能性もあります。
どちらにしても事前の打ち合わせが重要!
工事の内容、スケジュール、騒音やホコリの影響、立ち入り範囲などを事前に業者としっかり打ち合わせ、生活への影響を最小限にする工夫をしましょう。
まとめ
今回は、耐震補強について、必要性のチェックから工事の種類、費用、補助金、進め方、注意点まで、幅広く解説しました。
- まず自宅の耐震性をチェック!特に1981年以前の家は要注意。
- 不安なら専門家による「耐震診断」を。自治体の補助金も活用!
- 補強工事は家の状態に合わせて。費用は平均150~160万円、でも幅あり。
- ローン、補助金、税優遇など、お金の支援制度を賢く利用しよう!
- 工事成功のカギは「信頼できる業者選び」。複数の業者を比較検討!
地震はいつ来るか分かりません。この記事をきっかけに、「うちは大丈夫かな?」と考え、まずは耐震診断という第一歩を踏み出してみませんか? 不明な点があれば、お住まいの自治体の窓口や、信頼できる専門家に気軽に相談してみてくださいね。