この記事は、住宅に関する有益な情報をFPの視点でわかりやすくお届けすることを目的として作成しています。
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こんにちは!このブログも10周年。
元ハウスメーカー、今不動産特化FPのカルタです!



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土地を探しはじめると、まず「チェックリスト」を探しますよね。あとから直せないものが土地にはある、と分かっているからです。ところが見つかるのは、二十も三十も並んだ項目の一覧ばかり。全部を現地で確かめるのは、どう考えても無理があるんです。
どれを先に確かめればいいのか分からないまま現地に立つと、その日いちばん確かめるべきだったものが、最後まで手つかずのまま残ります。
この記事では、土地のチェック項目を「その答えが、どこから出てくるか」で3つに分け直しました。そのうえで、現地でしか取れない6つを、いつ・どう確かめるかまでお伝えします。
読み終えるころには、現地に立つ時間を何に使えばいいかが決まっているはずです。項目を増やす必要はありません。順番を変えるだけです。
土地のチェック項目は、「その答えが、どこから出てくるか」で3つに分かれます。そして3つのうち1つだけ、誰にも言う決まりがありません。
そこだけが、現地に立ったあなたにしか取れない。だから現地の時間は、そこにだけ使います。
🏠 この記事でわかること
- チェック項目が「家で出てくるもの/誰も言わないもの/聞けば出てくるもの」の3つに分かれること
- なぜ、音やにおいや夜の暗さだけ、誰も教えてくれないのか
- 現地でしか取れない6つを、いつ・どんな時間帯に確かめればいいか
- その6つを確かめられる期限を決めているのが、あなた自身が口にする一言だということ
目次[閉じる]
見に行ったのに、何を見てきたのか思い出せない
現地に着いて、まず取り出すのはスマートフォンです。用途地域を調べ、ハザードマップを開き、学区を検索する。気がつくと、そこで一時間が経っています。
そして帰り道の車の中で、ふと思うわけです。今日はいったい、何を見てきたんだろう、と。
現地でスマホを出したくなるのは、自然なことだと思います。目の前に土地があって、確かめたいことは山ほどあるんですから。ただ、そこに映っているものは、家のパソコンでも同じように出てきます。
起きていることは、単純です。家で済むことに現地の一時間を使い、現地でしか取れないものを置いて帰ってきた。これは、順番の問題です。
私はこれを、ずっとこう言っています。家で調べられることを、現地でやらない。現地の時間は、家では絶対に手に入らないものだけに使う。
順番を変えるだけなら、いま持っている時間で足ります。土日にもう一日ひねり出す必要も、詳しい人に付いてきてもらう必要もありません。
家づくり全体の流れの中で、土地探しがどこに入るのかは、こちらにまとめてあります。
→ 家づくりの手順|初めての方へ
そもそも土地と建物、どちらを先に決めるのかで迷っている方は、こちらを先にどうぞ。
→ 土地から探しはじめると、何が起きるのか




📌 この章の要点
現地でしか取れないものは、音・夜の暗さ・におい・人の流れ・坂・隣の家の暮らし方の六つです。この六つには、共通点が一つあります。
土地の情報は3つ。誰も言わないのは、そのうち1つだけ
土地について知りたいことを、住環境・法規制・災害……と分野で並べてみても、どれから手をつけるかは見えてきません。分け方を、ひとつ変えてみます。その答えが、どこから出てくるか。
こう分けると、きれいに3つになります。
ひとつ目は、家で出てくるもの。用途地域、建ぺい率、ハザードマップ、学区。どれも、その土地に何を建てられて、災害のときにどうなるかを示すものです。放っておいても、いずれ手元に届きます。
ふたつ目は、誰も言わないもの。音、夜の暗さ、におい、人の流れ、坂、隣の家の暮らし方。
みっつ目は、聞けば出てくるもの。役所で調べてもらった結果、契約の前に受ける説明、隣の空き地に建つ予定、水道やガスが来ているか。どれも、頼めば手元に来ます。




表の前に、登場人物を二人はっきりさせておきます。家を建てる会社の営業と、土地を売っている会社。この記事には、この二人がいます。
土地の広告に「仲介」と書いてある会社は、売主と買主のあいだに入る役目の会社です。土地の持ち主は、別にいます。私がいたハウスメーカーは土地を持っていないので、営業は買主とその会社のあいだに立ちます。
| ① 家で出てくるもの | ② 誰も言わないもの | ③ 聞けば出てくるもの | |
|---|---|---|---|
| 中身 | 用途地域・建ぺい率・ハザードマップ・学区 | 音・夜の暗さ・におい・人の流れ・坂・隣の家の暮らし方 | 役所で調べた結果・契約前の説明・隣の空き地に建つ予定・水道やガスが来ているか |
| なぜ手に入るのか | ネットでも、資料でも、契約前の説明でも取れる(説明が法律で決まっているものもある) | 誰にも、言う決まりがない | 売る側が知っていれば、言う決まりが生まれる |
| どこから出てくるか | 家のパソコン/土地の資料/契約前の説明 | その場に立っている、自分の目と耳と鼻だけ | あいだに入る会社/役所の窓口 |
| いつまでに | 見に行く前 | 「この土地にします」と言うまで | 契約に判を押す前 |
| 何回必要か | 1回 | 1回では終わらない | 1回 |


注目してほしいのは、真ん中の列です。ここだけ、取りに行く相手がいません。
立場は違いますが、さきほどの二人には、同じところが一つあります。
営業も仲介も、「見積りに出るもの」は必ず言います。あとで揉めるからです。見積りに出ないものは、言う理由がない。
なぜ言わないのか。言わなくても、揉めないからです。いくらかかるか、建てられるか——ここを黙って契約させれば、あとで必ず責任を問われます。だから必ず言う。
でも「夜、この道は暗いですよ」と言わなかったことで責任を問われた営業を、私は見たことがありません。言う理由がないんです。
私がハウスメーカーの営業だった頃、お客様と土地を見に行くのは仕事の一部でした。ただ、あのとき私が見ていたものを正直に言うと、数か月後の見積書です。
前の道が何メートルあるか。電線がどこから引けるか。道と敷地に段差があるか。地面の下に何が眠っていそうか。どれも、見落とすとあとで自分が謝ることになる項目でした。必死で見ていたんです。
逆に言えば、私は現地で、音に耳を向けていませんでした。夜にその道へ戻ろうとも思わなかった。冷たいようですが、理由ははっきりしています。音は、見積書のどこにも載らないからです。
手を抜いていたつもりは、ありません。段差を見落とせば、土を削る費用で揉める。電線や水道をどこから引くかを外せば、その工事費で揉める。地面の下が弱ければ、地盤を固める費用で揉める。現場のチェック項目は「揉めるかどうか」で決まっていて、「暮らしやすいかどうか」では決まっていない。
責めるとしたら、この項目の選ばれ方のほうだと思っています。会社が営業に求めていたのは、外さない見積りです。住み心地の予報を求められたことは、一度もありませんでした。
では、土地の持ち主と、あいだに入る会社ではどうでしょうか。ここも構造は、まったく同じです。
契約の前には、重要事項説明があります。あいだに入っている会社が、その土地について調べたことを、契約の前にひととおり読み上げて渡す決まりです。ここで説明される項目は、法律で決まっています。
誰が持ち主か。そこに何を建てられて、何を建てられないか。水道やガスが引けているか、引けていないなら誰がいくら払って引くのか。土砂災害や津波の警戒区域に入っているか、水害のハザードマップでその土地がどこに位置するか。ローンが通らなかったときはどうなるか。
並べてみてください。全部、「いくらかかるか」と「建てられるかどうか」の話です。
音は、この一覧にありません。においも、夜の暗さも、朝の人の流れも同じです。ただし、一覧にないから絶対に触れられない、という意味ではないんです。
売主にせよ仲介にせよ、売る側がはっきり知っていて、しかも程度がひどければ、黙っていたこと自体が責任になります。
裏を返すと、こうです。「慣れれば平気かもしれない」くらいの音やにおいは、誰も言わないまま契約になる。
眺めがいいか、日当たりが気持ちいいか、風が通るか。これは人によって答えが違うから、売る側は最初から説明の対象にしていません。気に入らなくても「好みが合わなかった」で終わる。嘘をついたことにはならないからです。
📌 この章の要点
土地の情報は3つです。家で出てくるもの、誰も言わないもの、聞けば出てくるもの。値札がついていないのは真ん中の一つで、そこにだけ担当者がいません。
用途地域もハザードマップも、家のパソコンで出てくる
この四つは、椅子に座ったまま十分ほどでそろいます。用途地域、建ぺい率、ハザードマップ、学区。
用途地域とは、その場所にどんな建物を建てていいかを、地域ごとに決めた区分のこと。住宅ばかりの地域もあれば、大きなお店や工場を建てていい地域もあります。建ぺい率は、敷地の広さに対して、真上から見た建物をどこまで大きくしていいかの割合。ハザードマップは、水害や土砂災害で危ないとされる範囲を、地図に色で塗ったものです。
用途地域も建ぺい率も、聞けば土地の資料に書いてあります。契約の前に説明することも決まっている。学区は法律の話とは別ですが、これも家のパソコンで出てきます。
家で出てくるものは、二重にも三重にも取りに行ける情報なんです。
行き先だけ置いておきます。用途地域は「MapExpert」で全国どこでも調べられます。学区は「Gaccom」。ハザードマップは、国がまとめている「重ねるハザードマップ」で住所を入れるだけです。
どれも無料で、登録も要りません。夜、子どもが寝たあとの十分で終わります。家で出てくるものは、これで1回きり。同じ画面を二度開く用事はありません。
どの用途地域が住みやすいのかは、こちらにまとめました。
→ 用途地域のおすすめ|住むならどれか
治安をデータで調べる方法は、こちらです。
→ 土地の治安を、データで調べる
その土地に建築条件が付いていて、自分の選んだ会社で建てられるのかが気になる方は、こちら。
→ 建築条件付き土地の条件は外せるのか
昔そこが何だったかは、地図のほうに残っている
その土地が何だった場所なのかは、いまの地名からは分かりません。造成のときに、名前ごと付け替えられていることがあるからです。
国が「土地の成り立ち」を地図にして公開しています。住所を入れれば、そこが谷を埋めた土地なのか、川が運んだ砂が積もった土地なのか、もとから台地なのかが出てくる。さきほどのハザードマップのサイトに、重ねて表示できます。
もとの名前が消えていれば、字面をいくら眺めても何も出てこないんです。地図のほうは、付け替えられません。
ここで「谷を埋めた土地」と出ても、判断はそこで終わりません。地図が教えてくれるのは、その土地の成り立ちまでです。強さそのものは、家を建てる前の調査で分かります。そのとき提示される金額の読み方だけ、先に知っておくと落ち着いて見られます。
災害についても、ひとつはっきりさせておきます。水害のハザードマップでその土地がどこに位置するかは、契約の前に説明することが決まっています。つまり災害は、家で出てくるものの側です。
前の道の幅も、電柱の位置も、営業が見ている
現地には、あなたが見なくても、見ている人がいる項目があります。
前の道の幅。電線をどこから引くか。道と敷地の段差。地面の下。これは、家を建てる会社の営業が必死で見ています。
なぜか。見落とすと、数か月後に見積りの金額として返ってくるからです。あの頃の私が下ばかり向いていたのは、そのためでした。
だから、そちらは任せていい。あなたが使うべき時間は、誰も見ていないほうです。
営業が現地で何を見ているのかは、6か所にまとめてあります。
→ 土地の内覧で見るべきポイント|営業がたどる6か所
📌 この章の要点
家で出てくるものは、取りに行けば手に入ります。誰も言わないものは、行った日にそこに無ければ、手ぶらで帰ることになります。
音も、夜の暗さも、においも、見に行った日には存在しなかった
平日の昼間、晴れた日に、一時間だけ立った土地。そこは本当に、静かで日当たりのいい土地でした。誰も嘘をついていません。
その日、音もにおいも、そこには無かったんです。ところが住み始めると、毎日あります。しかも慣れるどころか、日を追うごとに大きく聞こえてくる。
見積書に一行も載らないものは、誰の口からも出てきません。誰も言わないもののうち、ここから先の三つ——音、夜の暗さ、におい——が、その代表です。
しかも、この三つは気づく時期がばらけます。音は最初の一週間で、においは季節が変わったころ、夜の暗さは何年もあとで。まとめて襲ってくるなら覚悟もできますが、思い出したように一つずつ届きます。
昼に静かな道が、夜も静かとは限らない
日中は交通量に紛れて聞こえなかった一台の走行音が、夜は窓越しにはっきり届きます。
やっかいなのは、夜だけ抜け道として使われる細い道です。幹線道路なら、地図を開いた時点で身構えます。ところが抜け道は、地図の上ではただの静かな道です。昼に立っても、そこが抜け道かどうかは分かりません。
飲食店や駐車場が近ければ、平日の夜と、金曜の夜と、休日の夜で、まったく別の音になります。深夜まで開いている店が近い土地は、閉店したあとの駐車場が本番だったりします。人が集まって、話し声が続く。
私が見てきたかぎり、あとから間取りや設備で、夜の道路音を無かったことにできた家はありません。
いま気に入っている土地は、金曜の夜も同じ顔をしているでしょうか。一度、暗くなってから立ってみてください。十分で分かります。
街灯がないことで困り始めるのは、数年あとの夜
車で帰る大人には、街灯があるかどうかは、ほとんど関係ありません。この項目がいちばん怖いのは、入居してすぐには困らないことです。
困り始めるのは、子どもが自分の足で夜に帰ってくる年齢になってから。塾から、部活から、駅から、ひとりで歩く道になったときに、はじめて「この道、真っ暗だ」と気づきます。土地を買った日から数年遅れて届く後悔で、しかもそのときには、家は建ち終わっています。
確かめる方法は、ひとつだけです。日が落ちてから、その道を歩くこと。
昼間に一時間立つのと、日が落ちてから十分歩くのと。持ち帰れるものが多いのは、後者です。
夜に歩き直したご家族は、たいてい口数が減ります。翌日の打ち合わせで、昼に「いい住宅街ですね」と言っていた同じ道の話が出るんです。街灯の間隔も、植え込みが落とす影も、昼には目に入りません。
においは、一度立っただけでは分からない
同じ土地でも、行った日によって、においは届いたり届かなかったりします。風向きと時間帯と曜日で、まるで変わるんです。見に行った日の風向きが逆なら、においは一度も届きません。
ゴミの集積所が近ければ、においが立つのは収集日の朝と、その前の晩です。
風向きは、季節でも入れ替わります。同じ土地でも、夏と冬で届くにおいが変わることがある。風の向きが変わった日に、もう一度。それだけで、届く日と届かない日の両方が分かります。
そして、ここがいちばんおもしろいところ。結果を分けているのは、その地域の人の使い方です。同じ集積所でも、きれいに使われている場所と、そうでない場所では、住み心地がまるで別物になります。
確かめるのは、収集日の前の晩に、その前を通ってみること。集積所があるかどうかだけなら、地図でも分かります。




📌 この章の要点
音・夜の暗さ・におい。誰も言わないものの、前半の三つです。どれも引き渡しのあとに現れて、そのまま毎日続きます。そのときにはもう、連絡する相手がいません。
歩いてみるまで、その線があることに気づかない
誰も言わないもの、残りの三つです。こちらは、時間帯を変えるだけでは足りません。自分の一日を、その土地の上に重ねてみないと見えないものです。
家の前が、毎朝だれかの通り道になる
駅への近道、通学路、店の裏口へ抜ける道。人が毎日たどる線が、街には何本か通っています。図面には一本も描かれていません。
その線の上に敷地があると、家の前は毎朝、他人の生活動線になります。カーテンを開ける時間が、少し遅くなる。
人通りが多ければ生活音と視線が増え、少なければ夜が心細くなります。その流れが自分の家の前を通るかどうかで、住み心地が変わります。
朝の八時前後と、休日の昼。線があるかどうかは、この二回で足ります。
その坂が、毎日の往復に入っているかどうか
見学のときは、車で上ってきて、数分立っているだけです。
買い物袋を提げて、自転車を押して、子どもの手を引いて、雨の日に、同じ坂を上る。その絵は、車のシートに座ったままでは浮かびません。
勾配の数字を測る必要はありません。その坂が毎日の往復に入っているかどうかが、そのまま暮らしの重さになります。
ここで、資料の数字とのつなぎ目をひとつ。
広告の「徒歩◯分」は、道のりを80メートルで割っただけの数字です。信号待ちも、踏切も、坂も階段も、そこには入っていません。坂は、真上から見た平らな距離として測られます。駅に着いてから改札を通り、ホームに立つまでの時間も、この分数の外にあります。
つまりその分数が表しているのは、「歩く距離」を時間に言い換えたもの。「家を出てから電車に乗るまで」の時間は、そこに入っていません。
確かめるのは、その分数に足されるものです。足されるものは、現地でしか数えられません。
分数は資料に書いてあります。足されるものは、歩いた人だけが知っています。
一度でいいので、駅やスーパーから家の予定地まで、歩いて帰ってみてください。できれば、買い物の帰りと同じ格好で。車で下見した印象と、たいてい違います。
隣の家で効いてくるのは、建物ではなく暮らしのリズム
エンジンをかける時間、物を置く場所、庭に人が集まるかどうか。隣で毎日くり返されるのは、この種類のことです。
窓の高さや壁の位置には、住むうちに慣れます。こちらには、慣れません。
これは説明を受ける項目に入っていませんし、そもそも、担当している人がいません。分かるのは、時間を変えて二度、三度と前に立った人だけです。
何度も同じ場面を見ています。二回目に来た人が、「あ、この家、朝は車が二台出るんですね」と言う。一回目には、誰も気づいていません。




音も、夜の暗さも、においも、見に行った日には存在しませんでした。でも、住むと毎日あります。そして、あとから直せるものが一つもありません。
| # | 確かめるもの | いつ行くか | 何を見るか |
|---|---|---|---|
| 1 | 音 | 平日の夜(近くに飲食店や駐車場があるなら、金曜と休日の夜も) | 昼に聞こえなかった一台の音が届くか。抜け道になっていないか |
| 2 | 夜の暗さ | 日が落ちてから | 駅や学校から家の予定地まで、実際に歩く |
| 3 | におい | ゴミの収集日の前の晩/風向きが変わった日 | 集積所がどう使われているか |
| 4 | 人の流れ | 平日の朝と、休日の昼 | その流れが、自分の家の前を通るか |
| 5 | 坂 | 買い物の帰りと同じ格好で | 駅やスーパーから、歩いて帰ってみる |
| 6 | 隣の家の暮らし方 | 時間を変えて、二度、三度 | 生活のリズム(音を出す時間・物の置き方) |


誰も言わないもの、六つ。どれも、お金も専門知識も要りません。要るのは、行く時間を変えることだけです。
📌 この章の要点
誰も言わないもの六つを取りにいくのに、誰かの都合を待つ場面は一つもありません。今日から取りに行けます。
確かめる力が進める力より強いのは、「この土地にします」と言うまで
音や夜の暗さを確かめる時間には、締め切りがあります。ただ、その締め切りは、カレンダーに書けません。
私は土地の売買そのものの内側にいたことはありません。いつも、買主の隣に座っている側でした。それでも、何度も同じ変化を見ています。
土地を買うときの順番は、いつも同じです。買付証明書を出す → 重要事項説明を受ける → 売買契約を結んで手付金を払う → 引き渡し。この記事で問題にしているのは、いちばん左です。
その「買付証明書」というのは、「この土地にします」を紙にしたものです。この土地を買いたい、という意思を伝える紙を、そう呼びます。




お客様が「この土地にします」と口にした瞬間から、場の力の向きが変わります。
それまでは、みんなで「この土地でいいのか」を確かめる時間でした。ところが、意思が示されたあとに動き出すのは、進める作業です。土地の持ち主に条件を伝える、金額を詰める、契約の日取りを押さえる、ローンの審査に間に合わせる。
どれも必要な仕事で、誰も手を抜いていません。ただ、その全部が前へ進む方向にしか働かない。
そこへ「もう一度、夜に見に行ってから決めたい」と言うのは、思っている以上に勇気が要ります。場を止める発言を、自分ひとりで背負うことになるからです。
そこで私は、この期限を空気で覚えてほしいとお伝えしています。紙にどんな力があるかは、ここでは当てになりません。
確かめる力が強いのは、「この土地にします」と言うまで。そこから先は、進める力のほうが強くなります。
買付証明書に、あなたを縛る力はない。それでも戻りにくくなる
買付証明書は、契約書ではありません。出したあとで降りても、違約金は取られません。紙の上では、いつでも降りられます。それに、先に出したほうが優先される、という決まりもありません。あとからもっといい条件が入れば、そちらが選ばれます。
——ここまで読んで「じゃあ気軽に出していいのか」と思ったなら、逆です。
降りられるのは、まだ何も進んでいないうちだけ。売買契約書の中身を何度もやり取りし、売主がその気で段取りを進めたあとで一方的に断った買主が、その段取りにかかった費用を払わされた例があります。
しかも、お金を請求されないときでも、失うものがあります。
担当者は、次に出た土地を、あなたの前に別のお客さんへ回すようになる。そういう優先順位の話です。担当者から見て、いちばん早く話がまとまりそうな相手が入れ替わるからです。買付を入れるというのは、そこまで含めて「進める側に回る」ということなんです。


💰 不動産FPカルタの解説
悪者はいません。全員が、自分の仕事をきちんとしているだけです。だからこそ止まらない。止めるボタンは最後まであなたの手元にありますが、押すたびに、押した理由を説明しなければならなくなります。説明が要るのは、止めるほうだけ。進むほうには、誰も理由を聞きません。
「今決めないと売れます」と急かされたときにどう構えるかは、こちらにまとめました。
→ 「今すぐ決めないと売れます」は本当か
そもそも、その場で誰があなたの味方なのかという話は、こちらです。
→ 価格交渉のとき、誰が誰の味方なのか
📌 この章の要点
誰も言わないものを確かめに戻る理由を説明できるのは、そこに住む人だけです。担当者には、その理由がありません。
聞けば出てくるものは、こちらが口を開くまで動かない
最後の一つが、聞けば出てくるものです。買付を入れたあとにも、まだ手に入る情報があります。
重要事項説明を、契約の日に初めて読むことになる
土地が決まると、あいだに入っている会社が役所へ行きます。道路のこと、水道のこと、その土地に何を建てられるか。調べた結果は一枚の書類にまとまって、契約の直前に読み上げて渡されます。これが、さきほどの重要事項説明です。
調べるのは、あなたが頼まなくてもやってくれます。そこは心配しなくていい。
決まっていないのは、その結果が手元に来る時期です。
重要事項説明の時期は、「契約する前に」とだけ決まっています。何日前までに書面を渡すかは、決められていません。そのため、契約の日にその場で読み上げられて終わる、ということが実際に起きます。
読む時間がほしければ、こちらから「先に送ってください」と言う。言われて断る理由は、向こうにもありません。言わなければ、当日その場で初めて見ることになります。
隣の空き地に何が建つかは、役所で誰でも見られる
隣の空き地に何が建つのか。これは、売る側が知っていれば説明されます。知らなければ、書かれません。知らなかったことは責められないからです。
気になるなら、あなたが役所で見に行ったほうが早い。建てる前に役所へ出す書類は、誰でも見られることになっていて、あなたが誰かも、なぜ見たいのかも聞かれません。
まだ何も出ていなければ「まだ出ていない」と分かる。それも情報です。
判を押した紙とお金の関係は、こちらにまとめてあります。
→ 「仮契約」と言われた紙は、やめたらお金が戻るのか
ローンが通らなかったときにどこまで戻せるかは、期限の決まり方が別なので、こちらです。
→ 住宅ローン特約の期限
📌 この章の要点
聞けば出てくるものは、言えば早く届き、言わなければ当日に届きます。差はそれだけで、受け取る紙の中身は同じです。
現地に何度も通えるかどうかは、見に行く前に決まっている
夜にも行く、収集日の前の晩にも行く——読みながら、そんな時間はないと思われたかもしれません。
その時間がどこから生まれるのかを、最後にお話しします。
現地に何度も通えるかどうかを決めているのは、予算と依頼先が先に決まっているかどうかです。
会社が決まっていないと、土地を見る目的が「この土地でいいか」から「この土地でいくらか」に移ります。同行した営業に概算を出してもらい、その数字を持ち帰って考える。そうやって、現地の時間がまた見積りの話に吸い取られていきます。
しかも、走り出したあとの期日は、こちらの都合で動きません。ローンの審査にも、契約の日取りにも、向こう側の段取りがあります。確かめる時間は、走り出す前に取るしかないんです。
ここで、私の側の事情も開いておきます。
営業の評価は、契約した棟数で決まります。私もそうでした。目の前のご家族が半年かけて納得して、別の会社で建てて幸せになる未来は、私の評価に一円も入りません。
そしてその仕組みは、これから紹介する依頼先の営業にも、まったく同じく当てはまります。だから、1社だけの話を聞かない。並べて選ぶ。この記事のおすすめは、その前提で読んでください。
土地が決まる前に、複数の会社を並べて見比べる方法があります。希望条件を1回入力すると、参加している複数の住宅会社へ、同時に届く仕組みです。1社ずつ問い合わせて回るより先に、まずここから始める人が増えています。




そこで私が長年おすすめしているのが、タウンライフ家づくりです。複数の住宅会社に、同じ条件を一度で渡せる窓口です。


サイトの右下に並ぶ3つのサムネイルが、ここまで読んできた話とそのままつながっています。
- 資金計画 ―― この記事でずっと言ってきた「見に行く前に決めておく予算」を、実際の数字にしてもらうところです
- 土地探し ―― その予算で、どのあたりに、どんな土地の候補があるかを出してもらう部分。①(家で出てくるもの)だけでは埋まらない、地域ごとの相場や在庫を補います
- 間取りプラン ―― 依頼先を決める材料として、会社ごとの提案を並べて見比べられます
希望する条件を1回入力すると、参加している住宅会社へまとめて届く仕組みです。土地がまだ決まっていない段階でも、その条件で建てられる土地の候補ごと提案されることがあります。間取りの参考案が添えられる会社も。
⚠️ 提案は、参加している住宅会社の中からのみ届きます。
\ 入力1回、複数社の提案をまとめて /
手に入るものは、いま挙げた3つです。資金計画の目安と、その条件で建てられる土地の候補と、会社ごとの間取り提案。
手に入らないもの
- 参加していない工務店からの提案(気になっている地元の工務店が入っていなければ届きません)
- 現地を見ないまま確定する金額(あくまで目安です)
正直なところも書いておきます。提案が来るのは、参加している会社の中からだけです。だから、これで全部そろうとは思わないでください。並べて選ぶための、最初の数枚です。
自由記入の欄に何を書くかで、返ってくる計画書の中身が変わります。「要望欄」と呼ばれる、この自由記入の欄に、土地探しの条件を具体的に書いておくと、的外れな提案が減ります。下に、そのまま貼り付けられる文章を用意しました。
✍️ 本気度が伝わる「要望欄」の書き方(コピペOK)
申し込みフォームの途中に、自由に書き込める「ご要望」欄があります。ここに希望を具体的に書くほど、返ってくる計画書の中身が変わります。


👇 ◯の部分だけ、ご自身の希望に書き換えて貼り付けてください。
この条件で建てられる土地の候補と、資金計画を先に出してください。
可能であれば、間取りプランの参考案もいただけると助かります。
なぜ土地探しをハウスメーカーに頼むのかは、こちらに書きました。
→ 土地探しは、どこに頼むのがいいのか
頼むといくらかかるのか(結論は0円です)が気になる方は、こちら。
→ ハウスメーカーの土地探しに手数料はかかるのか
本当に頼めるのか、ネットに出ていない土地は出てくるのかは、こちらです。
→ ネットに出ていない土地の探し方
まとめ|家で調べられることを、現地でやらない
- 土地のチェック項目は、家で出てくるもの/誰も言わないもの/聞けば出てくるものの3つに分かれる
- 音・夜の暗さ・におい・人の流れ・坂・隣の暮らし方——この6つは、誰にも言う決まりがない。現地に立った人しか取れない
- 用途地域もハザードマップも学区も、家のパソコンで出てくる。現地の時間をそこに使わない
- 確かめられる期限を決めるのは、「この土地にします」という自分の一言。カレンダーの日付では決まらない
- 契約前の説明は、「先に送ってください」と言うかどうかで、届く時期が変わる
土地を見に行った帰り道に「今日は何を見てきたんだろう」と思うのは、現地の時間が、家でもできることに先に埋まっていたからです。
この記事でお伝えしたかったのは、順番を入れ替えるという一点だけです。項目を増やす必要はありません。順番さえ変えれば、いま持っている時間で足ります。
次に現地へ行く日は、スマートフォンをポケットに入れたまま、耳と鼻を使ってきてください。
あなたの土地探しが、いい形で決まることを応援しています。
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元ハウスメーカー営業がつくった
「家づくりの道具」4点
家づくりは、ほとんどの人が一生に一度です。だから、会社の比べ方も、担当者への聞き方も、誰にも教わらないまま本番が始まります。
私が売る側にいたころ、「お客様がこれを持っていたら、話がまるで違ったのに」と思っていたものを、4つの道具にまとめました。
- わが家のライフプランシート(Web)
年齢と年収を入れて、建てたい価格帯(ローコスト・中堅・大手)を選ぶだけ。「わが家は、いくらまでの家なら無理なく建てられるのか」——その上限額が出ます。 - 後悔しないハウスメーカー比較チェックシート(PDF)
候補の会社を「5つのものさし」と「担当者チェック」で採点して、ご夫婦で見比べられる一枚です。 - 同じ工法メーカー早見表(PDF)
どの会社とどの会社が同じ工法どうしなのか、36社分の一覧。相見積もりの組み方が変わります。 - 家づくり最新データシート(Web・毎年更新)
坪単価の相場、保証年数、火災保険が下がる「省令準耐火」など、時間で変わる数字をまとめてあります。
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