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土地探しチェックリストは3つに分ける!現地で見るのは、たった6つ

土地探しチェックリストは3つに分ける!現地で見るのは、たった6つ

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土地を探しはじめると、まず「チェックリスト」を探しますよね。あとから直せないものが土地にはある、と分かっているからです。ところが見つかるのは、二十も三十も並んだ項目の一覧ばかり。全部を現地で確かめるのは、どう考えても無理があるんです。

どれを先に確かめればいいのか分からないまま現地に立つと、その日いちばん確かめるべきだったものが、最後まで手つかずのまま残ります。

この記事では、土地のチェック項目を「その答えが、どこから出てくるか」で3つに分け直しました。そのうえで、現地でしか取れない6つを、いつ・どう確かめるかまでお伝えします。

読み終えるころには、現地に立つ時間を何に使えばいいかが決まっているはずです。項目を増やす必要はありません。順番を変えるだけです。

土地のチェック項目は、「その答えが、どこから出てくるか」で3つに分かれます。そして3つのうち1つだけ、誰にも言う決まりがありません。

そこだけが、現地に立ったあなたにしか取れない。だから現地の時間は、そこにだけ使います。

🏠 この記事でわかること

  • チェック項目が「家で出てくるもの/誰も言わないもの/聞けば出てくるもの」の3つに分かれること
  • なぜ、音やにおいや夜の暗さだけ、誰も教えてくれないのか
  • 現地でしか取れない6つを、いつ・どんな時間帯に確かめればいいか
  • その6つを確かめられる期限を決めているのが、あなた自身が口にする一言だということ
目次[閉じる]

見に行ったのに、何を見てきたのか思い出せない

現地に着いて、まず取り出すのはスマートフォンです。用途地域を調べ、ハザードマップを開き、学区を検索する。気がつくと、そこで一時間が経っています。

そして帰り道の車の中で、ふと思うわけです。今日はいったい、何を見てきたんだろう、と。

現地でスマホを出したくなるのは、自然なことだと思います。目の前に土地があって、確かめたいことは山ほどあるんですから。ただ、そこに映っているものは、家のパソコンでも同じように出てきます。

起きていることは、単純です。家で済むことに現地の一時間を使い、現地でしか取れないものを置いて帰ってきた。これは、順番の問題です。

私はこれを、ずっとこう言っています。家で調べられることを、現地でやらない。現地の時間は、家では絶対に手に入らないものだけに使う。

順番を変えるだけなら、いま持っている時間で足ります。土日にもう一日ひねり出す必要も、詳しい人に付いてきてもらう必要もありません。

家づくり全体の流れの中で、土地探しがどこに入るのかは、こちらにまとめてあります。
家づくりの手順|初めての方へ
そもそも土地と建物、どちらを先に決めるのかで迷っている方は、こちらを先にどうぞ。
土地から探しはじめると、何が起きるのか

でも現地に行かないと分からないことって、そんなに多くないでしょ?
それが、多くはないんです。数えるほどしかありません。ただ、その数えるほどのものが、住んでからいちばん効いてくるんですよ。

📌 この章の要点
現地でしか取れないものは、音・夜の暗さ・におい・人の流れ・坂・隣の家の暮らし方の六つです。この六つには、共通点が一つあります。

土地の情報は3つ。誰も言わないのは、そのうち1つだけ

土地について知りたいことを、住環境・法規制・災害……と分野で並べてみても、どれから手をつけるかは見えてきません。分け方を、ひとつ変えてみます。その答えが、どこから出てくるか。

こう分けると、きれいに3つになります。

ひとつ目は、家で出てくるもの。用途地域、建ぺい率、ハザードマップ、学区。どれも、その土地に何を建てられて、災害のときにどうなるかを示すものです。放っておいても、いずれ手元に届きます。

ふたつ目は、誰も言わないもの。音、夜の暗さ、におい、人の流れ、坂、隣の家の暮らし方。

みっつ目は、聞けば出てくるもの。役所で調べてもらった結果、契約の前に受ける説明、隣の空き地に建つ予定、水道やガスが来ているか。どれも、頼めば手元に来ます。

え、音とかにおいって、聞いたら教えてくれないの?
答えは返ってきます。嘘もつきません。ただ、その人も、夜のその道には立っていないんです。だから返ってくるのは「分かりません」になります。

表の前に、登場人物を二人はっきりさせておきます。家を建てる会社の営業と、土地を売っている会社。この記事には、この二人がいます。

土地の広告に「仲介」と書いてある会社は、売主と買主のあいだに入る役目の会社です。土地の持ち主は、別にいます。私がいたハウスメーカーは土地を持っていないので、営業は買主とその会社のあいだに立ちます。

① 家で出てくるもの② 誰も言わないもの③ 聞けば出てくるもの
中身用途地域・建ぺい率・ハザードマップ・学区音・夜の暗さ・におい・人の流れ・坂・隣の家の暮らし方役所で調べた結果・契約前の説明・隣の空き地に建つ予定・水道やガスが来ているか
なぜ手に入るのかネットでも、資料でも、契約前の説明でも取れる(説明が法律で決まっているものもある)誰にも、言う決まりがない売る側が知っていれば、言う決まりが生まれる
どこから出てくるか家のパソコン/土地の資料/契約前の説明その場に立っている、自分の目と耳と鼻だけあいだに入る会社/役所の窓口
いつまでに見に行く前「この土地にします」と言うまで契約に判を押す前
何回必要か1回1回では終わらない1回
土地の情報を3つに分けた図。①家で出てくるもの(用途地域・建ぺい率・ハザードマップ・学区)、②誰も言わないもの(音・夜の暗さ・におい・人の流れ・坂・隣の家の暮らし方)、③聞けば出てくるもの(役所で調べた結果・契約前の説明・水道やガス)を並べ、②だけ取りに行く相手がいないことを示している

注目してほしいのは、真ん中の列です。ここだけ、取りに行く相手がいません。

立場は違いますが、さきほどの二人には、同じところが一つあります。

営業も仲介も、「見積りに出るもの」は必ず言います。あとで揉めるからです。見積りに出ないものは、言う理由がない。

なぜ言わないのか。言わなくても、揉めないからです。いくらかかるか、建てられるか——ここを黙って契約させれば、あとで必ず責任を問われます。だから必ず言う。

でも「夜、この道は暗いですよ」と言わなかったことで責任を問われた営業を、私は見たことがありません。言う理由がないんです。

私がハウスメーカーの営業だった頃、お客様と土地を見に行くのは仕事の一部でした。ただ、あのとき私が見ていたものを正直に言うと、数か月後の見積書です。

前の道が何メートルあるか。電線がどこから引けるか。道と敷地に段差があるか。地面の下に何が眠っていそうか。どれも、見落とすとあとで自分が謝ることになる項目でした。必死で見ていたんです。

逆に言えば、私は現地で、音に耳を向けていませんでした。夜にその道へ戻ろうとも思わなかった。冷たいようですが、理由ははっきりしています。音は、見積書のどこにも載らないからです。

手を抜いていたつもりは、ありません。段差を見落とせば、土を削る費用で揉める。電線や水道をどこから引くかを外せば、その工事費で揉める。地面の下が弱ければ、地盤を固める費用で揉める。現場のチェック項目は「揉めるかどうか」で決まっていて、「暮らしやすいかどうか」では決まっていない。

責めるとしたら、この項目の選ばれ方のほうだと思っています。会社が営業に求めていたのは、外さない見積りです。住み心地の予報を求められたことは、一度もありませんでした。

では、土地の持ち主と、あいだに入る会社ではどうでしょうか。ここも構造は、まったく同じです。

契約の前には、重要事項説明があります。あいだに入っている会社が、その土地について調べたことを、契約の前にひととおり読み上げて渡す決まりです。ここで説明される項目は、法律で決まっています。

誰が持ち主か。そこに何を建てられて、何を建てられないか。水道やガスが引けているか、引けていないなら誰がいくら払って引くのか。土砂災害や津波の警戒区域に入っているか、水害のハザードマップでその土地がどこに位置するか。ローンが通らなかったときはどうなるか。

並べてみてください。全部、「いくらかかるか」と「建てられるかどうか」の話です。

音は、この一覧にありません。においも、夜の暗さも、朝の人の流れも同じです。ただし、一覧にないから絶対に触れられない、という意味ではないんです。

売主にせよ仲介にせよ、売る側がはっきり知っていて、しかも程度がひどければ、黙っていたこと自体が責任になります。

裏を返すと、こうです。「慣れれば平気かもしれない」くらいの音やにおいは、誰も言わないまま契約になる。

眺めがいいか、日当たりが気持ちいいか、風が通るか。これは人によって答えが違うから、売る側は最初から説明の対象にしていません。気に入らなくても「好みが合わなかった」で終わる。嘘をついたことにはならないからです。

📌 この章の要点
土地の情報は3つです。家で出てくるもの、誰も言わないもの、聞けば出てくるもの。値札がついていないのは真ん中の一つで、そこにだけ担当者がいません。

用途地域もハザードマップも、家のパソコンで出てくる

この四つは、椅子に座ったまま十分ほどでそろいます。用途地域、建ぺい率、ハザードマップ、学区。

用途地域とは、その場所にどんな建物を建てていいかを、地域ごとに決めた区分のこと。住宅ばかりの地域もあれば、大きなお店や工場を建てていい地域もあります。建ぺい率は、敷地の広さに対して、真上から見た建物をどこまで大きくしていいかの割合。ハザードマップは、水害や土砂災害で危ないとされる範囲を、地図に色で塗ったものです。

用途地域も建ぺい率も、聞けば土地の資料に書いてあります。契約の前に説明することも決まっている。学区は法律の話とは別ですが、これも家のパソコンで出てきます。

家で出てくるものは、二重にも三重にも取りに行ける情報なんです。

行き先だけ置いておきます。用途地域は「MapExpert」で全国どこでも調べられます。学区は「Gaccom」。ハザードマップは、国がまとめている「重ねるハザードマップ」で住所を入れるだけです。

どれも無料で、登録も要りません。夜、子どもが寝たあとの十分で終わります。家で出てくるものは、これで1回きり。同じ画面を二度開く用事はありません。

どの用途地域が住みやすいのかは、こちらにまとめました。
用途地域のおすすめ|住むならどれか
治安をデータで調べる方法は、こちらです。
土地の治安を、データで調べる
その土地に建築条件が付いていて、自分の選んだ会社で建てられるのかが気になる方は、こちら。
建築条件付き土地の条件は外せるのか

昔そこが何だったかは、地図のほうに残っている

その土地が何だった場所なのかは、いまの地名からは分かりません。造成のときに、名前ごと付け替えられていることがあるからです。

国が「土地の成り立ち」を地図にして公開しています。住所を入れれば、そこが谷を埋めた土地なのか、川が運んだ砂が積もった土地なのか、もとから台地なのかが出てくる。さきほどのハザードマップのサイトに、重ねて表示できます。

もとの名前が消えていれば、字面をいくら眺めても何も出てこないんです。地図のほうは、付け替えられません。

ここで「谷を埋めた土地」と出ても、判断はそこで終わりません。地図が教えてくれるのは、その土地の成り立ちまでです。強さそのものは、家を建てる前の調査で分かります。そのとき提示される金額の読み方だけ、先に知っておくと落ち着いて見られます。

地盤改良にかかるお金と、その読み方

災害についても、ひとつはっきりさせておきます。水害のハザードマップでその土地がどこに位置するかは、契約の前に説明することが決まっています。つまり災害は、家で出てくるものの側です。

前の道の幅も、電柱の位置も、営業が見ている

現地には、あなたが見なくても、見ている人がいる項目があります。

前の道の幅。電線をどこから引くか。道と敷地の段差。地面の下。これは、家を建てる会社の営業が必死で見ています。

なぜか。見落とすと、数か月後に見積りの金額として返ってくるからです。あの頃の私が下ばかり向いていたのは、そのためでした。

だから、そちらは任せていい。あなたが使うべき時間は、誰も見ていないほうです。

営業が現地で何を見ているのかは、6か所にまとめてあります。
土地の内覧で見るべきポイント|営業がたどる6か所

📌 この章の要点
家で出てくるものは、取りに行けば手に入ります。誰も言わないものは、行った日にそこに無ければ、手ぶらで帰ることになります。

音も、夜の暗さも、においも、見に行った日には存在しなかった

平日の昼間、晴れた日に、一時間だけ立った土地。そこは本当に、静かで日当たりのいい土地でした。誰も嘘をついていません。

その日、音もにおいも、そこには無かったんです。ところが住み始めると、毎日あります。しかも慣れるどころか、日を追うごとに大きく聞こえてくる。

見積書に一行も載らないものは、誰の口からも出てきません。誰も言わないもののうち、ここから先の三つ——音、夜の暗さ、におい——が、その代表です。

しかも、この三つは気づく時期がばらけます。音は最初の一週間で、においは季節が変わったころ、夜の暗さは何年もあとで。まとめて襲ってくるなら覚悟もできますが、思い出したように一つずつ届きます。

昼に静かな道が、夜も静かとは限らない

日中は交通量に紛れて聞こえなかった一台の走行音が、夜は窓越しにはっきり届きます。

やっかいなのは、夜だけ抜け道として使われる細い道です。幹線道路なら、地図を開いた時点で身構えます。ところが抜け道は、地図の上ではただの静かな道です。昼に立っても、そこが抜け道かどうかは分かりません。

飲食店や駐車場が近ければ、平日の夜と、金曜の夜と、休日の夜で、まったく別の音になります。深夜まで開いている店が近い土地は、閉店したあとの駐車場が本番だったりします。人が集まって、話し声が続く。

私が見てきたかぎり、あとから間取りや設備で、夜の道路音を無かったことにできた家はありません。

いま気に入っている土地は、金曜の夜も同じ顔をしているでしょうか。一度、暗くなってから立ってみてください。十分で分かります。

街灯がないことで困り始めるのは、数年あとの夜

車で帰る大人には、街灯があるかどうかは、ほとんど関係ありません。この項目がいちばん怖いのは、入居してすぐには困らないことです。

困り始めるのは、子どもが自分の足で夜に帰ってくる年齢になってから。塾から、部活から、駅から、ひとりで歩く道になったときに、はじめて「この道、真っ暗だ」と気づきます。土地を買った日から数年遅れて届く後悔で、しかもそのときには、家は建ち終わっています。

確かめる方法は、ひとつだけです。日が落ちてから、その道を歩くこと。

昼間に一時間立つのと、日が落ちてから十分歩くのと。持ち帰れるものが多いのは、後者です。

夜に歩き直したご家族は、たいてい口数が減ります。翌日の打ち合わせで、昼に「いい住宅街ですね」と言っていた同じ道の話が出るんです。街灯の間隔も、植え込みが落とす影も、昼には目に入りません。

においは、一度立っただけでは分からない

同じ土地でも、行った日によって、においは届いたり届かなかったりします。風向きと時間帯と曜日で、まるで変わるんです。見に行った日の風向きが逆なら、においは一度も届きません。

ゴミの集積所が近ければ、においが立つのは収集日の朝と、その前の晩です。

風向きは、季節でも入れ替わります。同じ土地でも、夏と冬で届くにおいが変わることがある。風の向きが変わった日に、もう一度。それだけで、届く日と届かない日の両方が分かります。

そして、ここがいちばんおもしろいところ。結果を分けているのは、その地域の人の使い方です。同じ集積所でも、きれいに使われている場所と、そうでない場所では、住み心地がまるで別物になります。

確かめるのは、収集日の前の晩に、その前を通ってみること。集積所があるかどうかだけなら、地図でも分かります。

さすがに、ゴミの日の前の晩に土地を見に行くのは変じゃない?
変ですよ(笑)。でも、変なことをした人だけが知っている情報なんです。誰かが教えてくれるなら、行かなくていいんですけどね。

📌 この章の要点
音・夜の暗さ・におい。誰も言わないものの、前半の三つです。どれも引き渡しのあとに現れて、そのまま毎日続きます。そのときにはもう、連絡する相手がいません。

歩いてみるまで、その線があることに気づかない

誰も言わないもの、残りの三つです。こちらは、時間帯を変えるだけでは足りません。自分の一日を、その土地の上に重ねてみないと見えないものです。

家の前が、毎朝だれかの通り道になる

駅への近道、通学路、店の裏口へ抜ける道。人が毎日たどる線が、街には何本か通っています。図面には一本も描かれていません。

その線の上に敷地があると、家の前は毎朝、他人の生活動線になります。カーテンを開ける時間が、少し遅くなる。

人通りが多ければ生活音と視線が増え、少なければ夜が心細くなります。その流れが自分の家の前を通るかどうかで、住み心地が変わります。

朝の八時前後と、休日の昼。線があるかどうかは、この二回で足ります。

その坂が、毎日の往復に入っているかどうか

見学のときは、車で上ってきて、数分立っているだけです。

買い物袋を提げて、自転車を押して、子どもの手を引いて、雨の日に、同じ坂を上る。その絵は、車のシートに座ったままでは浮かびません。

勾配の数字を測る必要はありません。その坂が毎日の往復に入っているかどうかが、そのまま暮らしの重さになります。

ここで、資料の数字とのつなぎ目をひとつ。

広告の「徒歩◯分」は、道のりを80メートルで割っただけの数字です。信号待ちも、踏切も、坂も階段も、そこには入っていません。坂は、真上から見た平らな距離として測られます。駅に着いてから改札を通り、ホームに立つまでの時間も、この分数の外にあります。

つまりその分数が表しているのは、「歩く距離」を時間に言い換えたもの。「家を出てから電車に乗るまで」の時間は、そこに入っていません。

確かめるのは、その分数に足されるものです。足されるものは、現地でしか数えられません。

分数は資料に書いてあります。足されるものは、歩いた人だけが知っています。

一度でいいので、駅やスーパーから家の予定地まで、歩いて帰ってみてください。できれば、買い物の帰りと同じ格好で。車で下見した印象と、たいてい違います。

隣の家で効いてくるのは、建物ではなく暮らしのリズム

エンジンをかける時間、物を置く場所、庭に人が集まるかどうか。隣で毎日くり返されるのは、この種類のことです。

窓の高さや壁の位置には、住むうちに慣れます。こちらには、慣れません。

これは説明を受ける項目に入っていませんし、そもそも、担当している人がいません。分かるのは、時間を変えて二度、三度と前に立った人だけです。

何度も同じ場面を見ています。二回目に来た人が、「あ、この家、朝は車が二台出るんですね」と言う。一回目には、誰も気づいていません。

隣の人のことなんて、買う前に分かるわけないじゃん
全部は分かりません。でも、同じ場所に三回立つと、二回目までは見えなかったものが見えてきます。それだけで十分なんです。

音も、夜の暗さも、においも、見に行った日には存在しませんでした。でも、住むと毎日あります。そして、あとから直せるものが一つもありません。

#確かめるものいつ行くか何を見るか
1平日の夜(近くに飲食店や駐車場があるなら、金曜と休日の夜も)昼に聞こえなかった一台の音が届くか。抜け道になっていないか
2夜の暗さ日が落ちてから駅や学校から家の予定地まで、実際に歩く
3においゴミの収集日の前の晩/風向きが変わった日集積所がどう使われているか
4人の流れ平日の朝と、休日の昼その流れが、自分の家の前を通るか
5買い物の帰りと同じ格好で駅やスーパーから、歩いて帰ってみる
6隣の家の暮らし方時間を変えて、二度、三度生活のリズム(音を出す時間・物の置き方)
現地でしか取れない6つのチェックリスト図。音、夜の暗さ、におい、人の流れ、坂、隣の家の暮らし方について、それぞれいつ行けばよいかを並べている

誰も言わないもの、六つ。どれも、お金も専門知識も要りません。要るのは、行く時間を変えることだけです。

📌 この章の要点
誰も言わないもの六つを取りにいくのに、誰かの都合を待つ場面は一つもありません。今日から取りに行けます。

確かめる力が進める力より強いのは、「この土地にします」と言うまで

音や夜の暗さを確かめる時間には、締め切りがあります。ただ、その締め切りは、カレンダーに書けません。

私は土地の売買そのものの内側にいたことはありません。いつも、買主の隣に座っている側でした。それでも、何度も同じ変化を見ています。

土地を買うときの順番は、いつも同じです。買付証明書を出す → 重要事項説明を受ける → 売買契約を結んで手付金を払う → 引き渡し。この記事で問題にしているのは、いちばん左です。

その「買付証明書」というのは、「この土地にします」を紙にしたものです。この土地を買いたい、という意思を伝える紙を、そう呼びます。

買付証明書って、出したらもう戻れないの?
戻れます。紙の上では、いつでも。ただ、戻りにくくはなります。この二つを分けて考えると、判断がぐっと楽になりますよ。

お客様が「この土地にします」と口にした瞬間から、場の力の向きが変わります。

それまでは、みんなで「この土地でいいのか」を確かめる時間でした。ところが、意思が示されたあとに動き出すのは、進める作業です。土地の持ち主に条件を伝える、金額を詰める、契約の日取りを押さえる、ローンの審査に間に合わせる。

どれも必要な仕事で、誰も手を抜いていません。ただ、その全部が前へ進む方向にしか働かない。

そこへ「もう一度、夜に見に行ってから決めたい」と言うのは、思っている以上に勇気が要ります。場を止める発言を、自分ひとりで背負うことになるからです。

そこで私は、この期限を空気で覚えてほしいとお伝えしています。紙にどんな力があるかは、ここでは当てになりません。

確かめる力が強いのは、「この土地にします」と言うまで。そこから先は、進める力のほうが強くなります。

買付証明書に、あなたを縛る力はない。それでも戻りにくくなる

買付証明書は、契約書ではありません。出したあとで降りても、違約金は取られません。紙の上では、いつでも降りられます。それに、先に出したほうが優先される、という決まりもありません。あとからもっといい条件が入れば、そちらが選ばれます。

——ここまで読んで「じゃあ気軽に出していいのか」と思ったなら、逆です。

降りられるのは、まだ何も進んでいないうちだけ。売買契約書の中身を何度もやり取りし、売主がその気で段取りを進めたあとで一方的に断った買主が、その段取りにかかった費用を払わされた例があります。

しかも、お金を請求されないときでも、失うものがあります。

担当者は、次に出た土地を、あなたの前に別のお客さんへ回すようになる。そういう優先順位の話です。担当者から見て、いちばん早く話がまとまりそうな相手が入れ替わるからです。買付を入れるというのは、そこまで含めて「進める側に回る」ということなんです。

カルタ

💰 不動産FPカルタの解説

悪者はいません。全員が、自分の仕事をきちんとしているだけです。だからこそ止まらない。止めるボタンは最後まであなたの手元にありますが、押すたびに、押した理由を説明しなければならなくなります。説明が要るのは、止めるほうだけ。進むほうには、誰も理由を聞きません。

「今決めないと売れます」と急かされたときにどう構えるかは、こちらにまとめました。
「今すぐ決めないと売れます」は本当か
そもそも、その場で誰があなたの味方なのかという話は、こちらです。
価格交渉のとき、誰が誰の味方なのか

📌 この章の要点
誰も言わないものを確かめに戻る理由を説明できるのは、そこに住む人だけです。担当者には、その理由がありません。

聞けば出てくるものは、こちらが口を開くまで動かない

最後の一つが、聞けば出てくるものです。買付を入れたあとにも、まだ手に入る情報があります。

重要事項説明を、契約の日に初めて読むことになる

土地が決まると、あいだに入っている会社が役所へ行きます。道路のこと、水道のこと、その土地に何を建てられるか。調べた結果は一枚の書類にまとまって、契約の直前に読み上げて渡されます。これが、さきほどの重要事項説明です。

調べるのは、あなたが頼まなくてもやってくれます。そこは心配しなくていい。

決まっていないのは、その結果が手元に来る時期です。

重要事項説明の時期は、「契約する前に」とだけ決まっています。何日前までに書面を渡すかは、決められていません。そのため、契約の日にその場で読み上げられて終わる、ということが実際に起きます。

読む時間がほしければ、こちらから「先に送ってください」と言う。言われて断る理由は、向こうにもありません。言わなければ、当日その場で初めて見ることになります。

隣の空き地に何が建つかは、役所で誰でも見られる

隣の空き地に何が建つのか。これは、売る側が知っていれば説明されます。知らなければ、書かれません。知らなかったことは責められないからです。

気になるなら、あなたが役所で見に行ったほうが早い。建てる前に役所へ出す書類は、誰でも見られることになっていて、あなたが誰かも、なぜ見たいのかも聞かれません。

まだ何も出ていなければ「まだ出ていない」と分かる。それも情報です。

判を押した紙とお金の関係は、こちらにまとめてあります。
「仮契約」と言われた紙は、やめたらお金が戻るのか
ローンが通らなかったときにどこまで戻せるかは、期限の決まり方が別なので、こちらです。
住宅ローン特約の期限

📌 この章の要点
聞けば出てくるものは、言えば早く届き、言わなければ当日に届きます。差はそれだけで、受け取る紙の中身は同じです。

現地に何度も通えるかどうかは、見に行く前に決まっている

夜にも行く、収集日の前の晩にも行く——読みながら、そんな時間はないと思われたかもしれません。

その時間がどこから生まれるのかを、最後にお話しします。

現地に何度も通えるかどうかを決めているのは、予算と依頼先が先に決まっているかどうかです。

会社が決まっていないと、土地を見る目的が「この土地でいいか」から「この土地でいくらか」に移ります。同行した営業に概算を出してもらい、その数字を持ち帰って考える。そうやって、現地の時間がまた見積りの話に吸い取られていきます。

しかも、走り出したあとの期日は、こちらの都合で動きません。ローンの審査にも、契約の日取りにも、向こう側の段取りがあります。確かめる時間は、走り出す前に取るしかないんです。

ここで、私の側の事情も開いておきます。

営業の評価は、契約した棟数で決まります。私もそうでした。目の前のご家族が半年かけて納得して、別の会社で建てて幸せになる未来は、私の評価に一円も入りません。

そしてその仕組みは、これから紹介する依頼先の営業にも、まったく同じく当てはまります。だから、1社だけの話を聞かない。並べて選ぶ。この記事のおすすめは、その前提で読んでください。

土地が決まる前に、複数の会社を並べて見比べる方法があります。希望条件を1回入力すると、参加している複数の住宅会社へ、同時に届く仕組みです。1社ずつ問い合わせて回るより先に、まずここから始める人が増えています。

土地が決まってないのに、家の会社に頼んでいいの?
むしろ、そっちが先なんです。土地が決まっていなくても依頼できます。予算と間取りの当たりが先に付いていると、現地でやることが「確かめる」だけに絞れますから。

そこで私が長年おすすめしているのが、タウンライフ家づくりです。複数の住宅会社に、同じ条件を一度で渡せる窓口です。

タウンライフ家づくりのファーストビュー。資金計画・間取りプラン・土地探しの3つの提案が無料で作られる画面
▲右下の「資金計画」「間取りプラン」「土地探し」の3つが、そのまま下の3項目です。

サイトの右下に並ぶ3つのサムネイルが、ここまで読んできた話とそのままつながっています。

  • 資金計画 ―― この記事でずっと言ってきた「見に行く前に決めておく予算」を、実際の数字にしてもらうところです
  • 土地探し ―― その予算で、どのあたりに、どんな土地の候補があるかを出してもらう部分。①(家で出てくるもの)だけでは埋まらない、地域ごとの相場や在庫を補います
  • 間取りプラン ―― 依頼先を決める材料として、会社ごとの提案を並べて見比べられます

希望する条件を1回入力すると、参加している住宅会社へまとめて届く仕組みです。土地がまだ決まっていない段階でも、その条件で建てられる土地の候補ごと提案されることがあります。間取りの参考案が添えられる会社も。

⚠️ 提案は、参加している住宅会社の中からのみ届きます。

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手に入るものは、いま挙げた3つです。資金計画の目安と、その条件で建てられる土地の候補と、会社ごとの間取り提案。

手に入らないもの

  • 参加していない工務店からの提案(気になっている地元の工務店が入っていなければ届きません)
  • 現地を見ないまま確定する金額(あくまで目安です)

正直なところも書いておきます。提案が来るのは、参加している会社の中からだけです。だから、これで全部そろうとは思わないでください。並べて選ぶための、最初の数枚です。

自由記入の欄に何を書くかで、返ってくる計画書の中身が変わります。「要望欄」と呼ばれる、この自由記入の欄に、土地探しの条件を具体的に書いておくと、的外れな提案が減ります。下に、そのまま貼り付けられる文章を用意しました。

✍️ 本気度が伝わる「要望欄」の書き方(コピペOK)

申し込みフォームの途中に、自由に書き込める「ご要望」欄があります。ここに希望を具体的に書くほど、返ってくる計画書の中身が変わります。

タウンライフ家づくりの要望欄の入力画面。赤い枠の自由記入欄に希望を書き込む

👇 ◯の部分だけ、ご自身の希望に書き換えて貼り付けてください。

土地はまだ決まっていません。◯◯市(◯◯エリア)で、予算◯◯万円以内、家族◯人で暮らせる◯LDKの家を考えています。
この条件で建てられる土地の候補と、資金計画を先に出してください。
可能であれば、間取りプランの参考案もいただけると助かります。

なぜ土地探しをハウスメーカーに頼むのかは、こちらに書きました。
土地探しは、どこに頼むのがいいのか
頼むといくらかかるのか(結論は0円です)が気になる方は、こちら。
ハウスメーカーの土地探しに手数料はかかるのか
本当に頼めるのか、ネットに出ていない土地は出てくるのかは、こちらです。
ネットに出ていない土地の探し方

まとめ|家で調べられることを、現地でやらない

  • 土地のチェック項目は、家で出てくるもの/誰も言わないもの/聞けば出てくるものの3つに分かれる
  • 音・夜の暗さ・におい・人の流れ・坂・隣の暮らし方——この6つは、誰にも言う決まりがない。現地に立った人しか取れない
  • 用途地域もハザードマップも学区も、家のパソコンで出てくる。現地の時間をそこに使わない
  • 確かめられる期限を決めるのは、「この土地にします」という自分の一言。カレンダーの日付では決まらない
  • 契約前の説明は、「先に送ってください」と言うかどうかで、届く時期が変わる

土地を見に行った帰り道に「今日は何を見てきたんだろう」と思うのは、現地の時間が、家でもできることに先に埋まっていたからです。

この記事でお伝えしたかったのは、順番を入れ替えるという一点だけです。項目を増やす必要はありません。順番さえ変えれば、いま持っている時間で足ります。

次に現地へ行く日は、スマートフォンをポケットに入れたまま、耳と鼻を使ってきてください。

あなたの土地探しが、いい形で決まることを応援しています。

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元ハウスメーカー営業がつくった
「家づくりの道具」4点

家づくりは、ほとんどの人が一生に一度です。だから、会社の比べ方も、担当者への聞き方も、誰にも教わらないまま本番が始まります。
私が売る側にいたころ、「お客様がこれを持っていたら、話がまるで違ったのに」と思っていたものを、4つの道具にまとめました。

  • わが家のライフプランシート(Web)
    年齢と年収を入れて、建てたい価格帯(ローコスト・中堅・大手)を選ぶだけ。「わが家は、いくらまでの家なら無理なく建てられるのか」——その上限額が出ます。
  • 後悔しないハウスメーカー比較チェックシート(PDF)
    候補の会社を「5つのものさし」と「担当者チェック」で採点して、ご夫婦で見比べられる一枚です。
  • 同じ工法メーカー早見表(PDF)
    どの会社とどの会社が同じ工法どうしなのか、36社分の一覧。相見積もりの組み方が変わります。
  • 家づくり最新データシート(Web・毎年更新)
    坪単価の相場、保証年数、火災保険が下がる「省令準耐火」など、時間で変わる数字をまとめてあります。

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