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こんにちは!
元ハウスメーカー、今不動産特化FPのカルタです!
地震に強い家って、どんな形だろう?
開放的な大空間だったり複雑な形状は、間取りとしては魅力的。
でも、「耐震性はどうなんだろう…」と、心配になるかもしれません。
確かに、どんな構造材・工法であっても、家の形しだいで耐震性は落ちます!
せっかくのマイホームですから、安心・安全に暮らしたいものですよね?
そこで今回は、「吹き抜けの大きさ」や「耐力壁の配置」など、”地震に強い家の形”になる5つのポイントをご紹介します!
提案してもらった間取りが、これらに当てはまるかどうかチェックしてみましょう!
…と、その前に。建築に関する法律について、概要をごくごく簡単に説明しておきます。
まず「建築基準法」ですが、これは家を建てる際の最低基準を示したもので、これを守らないと建築違反になります。
次に、「住宅の品質確保の促進に関する法律(品確法)」があり、住宅の各性能レベルの基準を明示したものです。
耐震性能でいえば、建築基準法のレベルは、品確法の等級1に相当し、品確法の最高等級3では建築基準法レベルの1.5倍になります。
詳細は省略しますが、一般の方の知識としては、これで十分。
さて、いよいよ本題にはいりましょう!
地震に強い家にする5つのポイント
吹き抜けの大きさは8畳までがおすすめ
リビングなどの吹き抜けは開放的で魅力的なもの。
とはいえ、よほど用意周到に設計されていないと、耐震性を大きく損なう元になります。
では、どれくらいの大きさならいいのか、あるいは対応策はあるんでしょうか。
一概にはいえませんが、吹き抜けの大きさは、一般的には6〜8畳が限度でしょう。
そして吹き抜け周囲の3方、少なくとも2方には平面的に剛床で囲まれている必要があります。
剛床とは、四角く組まれた梁の上に厚手(24〜28mm)の構造用合板が張られた床のことで、四角形がひし形にねじれるのを防ぐ効果があります。
最近では仕上げフローリングの下地を兼ねているケースがありますから、床下地材が構造用合板か、そして厚みがいくらかを確認するようにしてください。
いずれにしても、吹き抜け周囲には剛床が必要だと言うことを知っておいた方が良いです。
大開口窓は1.5〜2.0間までに抑える
リビングの大きな窓も、吹き抜け同様に快適なものですね?
しかし、これもほどほどにしないといけません。
木造住宅での開口幅は最大でも2.0間(3.64m)、できれば1.5間(2.73m)以下が安全です。
かつ、開口の両端には耐力壁があるかどうかを確認しましょう。
なお、開口幅が2.0間を超える場合、下の写真のように中間に柱があるかどうかも確認しないといけません。
参考に、写真の窓の両端の壁は耐力壁になっています。
耐力壁とは地震などの横からの力に耐えるもので、筋交い(すじかい)や構造用合板などが柱間に取り付けられている壁をいいます。
一般的には、筋交いよりも構造用合板などの面材(板材)の方が性能がよく、施工時の技術的なバラツキも出にくいため、安定した性能が得られます。
コーナー窓はやめておいた方が無難
かつて、家のコーナーに窓や出窓が流行った時期がありましたが、最近ではあまり見なくなりました。
これは、耐震性の問題が認識されてきたのが原因です。
だからコーナー窓はやめておきましょう。
そもそも、家の隅には昔からの知恵で通し柱が配置されるようになっています。
それだけコーナーの柱は構造的に重要なんです。
だから、通し柱と隣の柱は耐力壁で繋いでおくことが重要で、コーナーに窓を設けるとそれができなくなります。
バランスよく配置された耐力壁が強さのもと
柱は上からの重さに耐えるもので、横からの力には耐力壁が負担します。
だから、柱の多さよりもどれだけ耐力壁で繋がれた柱があるかが重要で、耐力壁の多さが、耐震性能のレベルになります。
では、多ければ多いほど良い?かというと、そうではありません。
配置バランスも重要な役割を果たします。
例えば、東西南北の外壁のある一面に耐力壁が偏っている場合、耐震性能を上げることはできません。
極端に偏っていると、地震時の横揺れで建物が大きくねじれてしまうんです。
とはいえ、プラン図を見せられても、どれが耐力壁かはわかりませんよね?
だから、間取りプランにどれが耐力壁かを明示するよう設計士にお願いしてください。
上の図で、左側はいわゆる提案プラン(営業図面)で、初回に提示されるのはこのような簡易的なものが一般的。
ここで黒く塗りつぶされた部分が耐力壁になります。
ただし、提案プランの段階では、正式な構造の検討は行っていないのが一般的なので、耐力壁の配置が可能な場所と言うことになります。
右側の図面は、建築確認書などに使用される本図面で、壁の三角形マークで耐力壁を示しています。
図面に耐力壁を明示すること自体は手間のかかるものではないので、誠実な設計士なら対応してくれるはず!
むしろ、真剣さが伝わり、より誠実な対応になるでしょう。
耐力壁が明示されたプラン図を元に、自分なりにほぼ均等に配置されているかチェックしましょう!
難しく考える必要はありません。個数のバランスや見た感じでいいんです。
そして疑問に思ったら、遠慮なく設計マンに聞いてみましょう。
できるだけ整った矩形を選ぶこと
平面的に整った四角形の家にバランスよく耐力壁が配置されている家では、地震時の横の力が働いた時、全体がほぼ均等に揺れます。
しかし、大きく飛び出したり欠けた部分があると、それらが異なる動きとなって、接合部に負担がかかり亀裂や破損を受けます。(上図参照)
住宅にボックス形状が多いのは、コストを抑えるだけでなく、耐震性能を上げる目的もあるんですね。
いかがでしょう?
これまでの5つのポイントをクリアすれば耐震性は高まります。
とはいえ、吹き抜けも大開口窓もない家では、魅力のないつまらないものになってしまうかもしれません。
それでも、”地震に強い家の形”の基本は上の5ポイントです。
その上で、吹き抜けや大開口窓を必要とした場合は、設計士と相談して解決策を見出しましょう。
また、くれぐれもYesマンの設計士には注意してください。
きちんと問題点を説明し、解決策を誠実に考えてくれるのがプロの仕事ですから。
耐震等級3ならOK…というわけではない!
冒頭で、品確法の耐震等級3は建築基準法の1.5倍の強さを持っていると紹介しました。
ですから、「大きな吹き抜けや大開口窓があっても、品確法で等級3を確認できれば問題ない?」と疑問をもったかもしれません。
確かに、それもあります。
とはいえ等級3は、弱いところがあっても他の部分を無理やり強化して実現することも可能です。
そうすると、本来なら必要のない部分まで強化することでコストもあがります。
建築会社の耐震への対応は、まだまちまち
「住宅の品質確保の促進に関する法律(品確法)」が制定されて20年…最低限の建築基準法の範囲で建てられている住宅は、だいぶ少なくなりました。
とはいえ、まだコストを抑えるために最低レベルで建てられている家があるのが現実です。
また、省エネ・断熱性能は品確法の基準で高い等級を誇っていても、耐震性能は建築基準法の範囲内というのもあります。
この場合、間取り的に無理があるため高い耐震等級をとることができないケースがほとんどで、Yesマンの設計者が、施主の言われるがままに設計した結果ということもあります。
そういう意味では、地震に強い家の形を実現するには、ちゃんと意見を言ってくれる設計者は必要不可欠といえます。
制振装置をつけると家が長持ちする
本当に地震に強く耐久性のある家にするには、耐震等級3の骨組みに、制振装置を加えることをおすすめします。
掲載元:三井ホームHP
耐震等級3の家は強く硬い家ですが、揺れそのものを無くせる訳ではありません。
家が揺れることで、柱や梁の接合部には僅かなりとも歪が発生します。
それが繰り返されると、歪が大きくなり、耐震性が低下することになります。
揺れを防ぐものに制振装置があり、数年まえから普及しだしてきています。
コストアップにはなりますが、揺れを吸収して柱や梁の接合部の歪を抑える機能は、家の耐震性能を長く維持してくれるので、長い目で見ればコストパフォーマンスが高いです。
さらに、揺れが減ることで、家具の倒れなども低減してくれる効果があります。
さいごに
住宅の基本は、耐震性能を含めた骨組みの強さです。
どれだけオシャレにデザインして豪華な設備をつけても、骨組みが弱く耐震性が貧弱では意味がありません。
夢や希望を込めたマイホームに、安易な妥協はしたくないですよね?
だから、設計士に遠慮する必要もありません。
この記事が、これからマイホームを予定されているあなたの役に立つことを願っています!
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