この記事は、住宅に関する有益な情報をFPの視点でわかりやすくお届けすることを目的として作成しています。
この記事には広告が含まれます。
【PR】
こんにちは!このブログも10周年。
元ハウスメーカー、今不動産特化FPのカルタです!



気に入った土地が見つかって、その土地を扱っている不動産会社の担当者に、「もう少しだけ下げてもらえませんか」と頼んでみた。返事を待って、数日。返ってくるのは「売主さんが強気でして」という一言だけで、そこで話が終わる。
そのまま話が進むと、値段が動かなかったのは売主の意思なのか、それとも伝わり方のせいだったのかが分からないままになります。人生でいちばん大きな数字を、判断材料のないまま決めることになる。
土地の仲介では、1社が売主と買主の両方を担当することがあります。これが「両手取引」です。この記事では、買う側から見て、値段の話をする席で実際に何が起きているのかをお伝えします。誰から仕事を預かっているかで、その動き方は3通りに分かれます。
読み終えるころには、値段の話をどの順番で始めればいいかが見えているはずです。
土地の値引きが通らなかったとき、買う側に残るのは「売主さんが強気で」という一言だけです。それが本当かどうかを確かめる方法は、買う側に用意されていません。理由は、席の並びのほうにあります。
「もう100万円下げてほしい」を運ぶ人と、「下げたくない」を守る人。この2つが、同じ人になっている場面があります。




🏠 この記事でわかること
- 土地の値引きをお願いしたあと、その場で実際に何が起きているのか
- 広告に「仲介」と書いてあるとき、そこから分かること・分からないこと
- 誰から仕事を預かっているかで、値段の話でやることがどう変わるか(3つの席)
- 土地を紹介してくれた会社に、その場で聞ける一言
- 値段の話が始まる前に、買う側ができる順番の入れ替え
目次[閉じる]
「もう100万円、下がりませんか」と伝えたあと、席で起きていること


土地の商談は、だいたい不動産会社の応接か、現地の車の中で始まります。買主のご夫婦がいて、私がいて、向かいに不動産会社の担当者がいる。この並びを、何年も見てきました。
先に、この場に誰がいるのかを整理しておきます。土地を売るのは売主さんです。ただ、売主さんはこの席にいません。あいだに入って話を運ぶのが不動産会社で、ハウスメーカーの営業とは、別の会社の人です。買う側が値段の話をする相手は、この不動産会社の担当者になります。
私は、そのハウスメーカーの営業のほうでした。土地を売る側にいたことは一度もありません。買主の隣に座って、「この土地にこの家を建てたら、総額でいくらになるか」という数字を出す。それが仕事でした。
返ってくるのは、たいてい「売主さん、強気でして」
買主のご夫婦が金額の話を切り出すと、向かいに座った担当者は、たいてい「一度、売主さんに当たってみます」と言って席を立ちます。その場で携帯を取り出す人もいます。
買主から見えるのは、ここまでです。
数日後、電話がかかってきます。返ってくる言葉も、だいたい決まっています。「売主さん、強気でして」「あの価格から下げるつもりはないそうです」。ときには「実はもう一件、別のお客様から話が来ていまして」と続くこともあります。
電話を切ったあと、買主にできることは限られます。売主に会ったことがないからです。本当に売主が強気なのか、どんな言い方で伝わったのか。確かめる手立てが、買う側には用意されていません。
最後の一言をどう受け止めればいいかは、営業トークをどう受け止めるかという話として書きました。急かされている感じがしているなら、この記事を読み終えたあとに覗いてみてください。




買主が受け取っているのは、値段の返事ではありません。「伝えた結果」の報告です。
行ったり来たりが、そもそも起きていない
交渉というのは、本来は往復するものです。「200万円は無理だが、100万円なら」「では引き渡しを1か月待つので120万円」。こういう行ったり来たりがあって、はじめて交渉と呼べます。
ところが土地の値引きのお願い——業界では指値と言います——では、この行ったり来たりが起きにくいんです。
買主が数字を出す。持ち帰られる。「下がりませんでした」と返ってくる。それで終わりです。
私が同席してきた指値の場面で、「では、こういう言い方でもう一度当たってみます」と言う人を見たことはありません。言う役目の人が、その席にいなかったからです。
📌 この章の要点
買う側の時間は、待つことに使われます。そのあいだ、あなたの希望は誰かの言葉に置き換えられて運ばれていく。そしてその置き換えは、あなたが値引きの理由を口にした瞬間から始まっています。
値下げをお願いした理由が、そのまま「買える理由」に変わる
金額の相談をするとき、人は正直に事情を話します。誠実な方ほど、そうです。
「建物を削れば、この価格でも大丈夫ですよね」と返ってくる
値引きをお願いするとき、買主は理由を添えます。「建物にあと少しかかるので、土地はここまでに抑えたいんです」。こういう場面を、何度も見てきました。
そして、その理由がそのまま「買える理由」に読み替えられます。「では、建物のほうを少し削れば、この価格でも大丈夫ですよね」「その予算なら、今の価格でもローンは通りますよ」。
意地悪で言っているのではありません。話をまとめる方向に立っている人にとっては、それがいちばん自然な返し方だからです。
ここが、買主が自分の手札を相手に預けてしまう瞬間です。隣に、その手札を守ってくれる人がいないと、こうなります。
値段の話をしている席で、いちばん静かなのは買主
買主が黙り込んだとき、代わりに口を開く人が買う側にいるかどうか。私はいつも、そこを気にして見ていました。
「今の言い方だと売主さんに響かないので、こう伝えてください」と言う人。「その条件を飲むなら、こちらは決済を早めます」と交換条件を作る人。交渉は、この役目の人がいて初めて成立します。
売る側には、この役目の人がいます。売主から売却を預かった会社です。では買う側は誰か。先に自分の窓口を決めていなければ、買主本人ひとりです。
私がそこに座っていたのは、じつは例外です。ご夫婦が家を建てる会社を先に決めていたから、私がいました。多くの人は、この席にひとりで座ります。
人生で数回しか土地を買わない人が、それを毎週やっている人と、隣に誰もつけないまま向かい合っている。不利なのは知識ではありません。人数です。
代わりに喋る人が、買う側にだけいない。あの沈黙は、そこから生まれます。
「仲介です」と言われても、どちら側の人かは分からない
では、向かいの担当者がどちら側の人なのかを、買う側から確かめられるのか。「仲介です」と言われたとき、そこから分かることと、分からないことがあります。まずは分かるほうから。
教えてもらえるのは「うちは仲介です」まで
土地の広告には、その土地を扱っている会社が、自分の立場をひとこと書き添える決まりがあります。ポータルサイトの物件ページなら、価格や面積が並んだ欄のどこかに、小さな文字で。買いたいと申し出たときにも、同じことが示されます。
書いてあるのは、たいてい「売主」か「仲介」のどちらかです。
「売主」なら、その会社自身が土地の持ち主です。値段の話は、持ち主と直接することになります。
「仲介」なら、その会社は売主と買主のあいだに入る役目です。土地の持ち主は、別にいます。
分かるのは、ここまでなんです。同じ「仲介」でも、売主から売却を預かった会社なのか、あなたを案内するために動いている会社なのかは、その表記からは読み取れません。




「うちは売主さんからも頼まれています」と切り出す場面がない
では、不動産会社のほうから教えてくれることはあるのか。
値段の話をしている場面には、それを言う決まりがありません。だから、向こうから切り出されないまま話が進みます。その場面に、言うきっかけがないだけです。
こうして買主は、自分が誰と交渉しているのかを知らないまま、最初の数字を口にすることになります。
私が気にしているのは、決まりがあるかどうかより、その先です。あなたの希望を運ぶ役目の人が、その席に一人もいなくなること。そちらのほうです。
📌 この章の要点
広告の表記で分かるのは、その会社が土地の持ち主かどうかまで。誰から頼まれた仕事かは、買う側から見て空白のまま残ります。そして、その空白の中身で値段の話は変わります。
誰から仕事を預かっているかで、値段の話でやることが変わる


土地の商談には、売る人と買う人のほかに、たいていもう1社が入ります。
3つの席で、動き方はこう変わる
売主から売却を預かった会社が守るのは、売主の希望価格です。買主から預かった会社なら、守るのは買主の希望のほう。そして1社が両方を預かったときだけ、この2つが同じ人の中に並びます。
並べて見ると、こうなります。
| 席にいる人 | 誰から仕事を預かっているか | 値段の話でその人がすること |
|---|---|---|
| 売主から預かった会社 | 売主 | 売主の希望価格を守る。下げるとしても、売主が納得する形を探す |
| 買主から預かった会社 | 買主 | 買主の希望をどう伝えれば通るかを考え、代わりに数字を出す |
| 1社が両方を担当する場合 | 売主と買主の両方 | 取引がまとまる形を探す。買主の希望を守る役目と、売主の希望を守る役目が、同じ人の中で同居する |
見てほしいのは3行目です。この人は、両方の役目を一人で持っています。あなたの希望を運ぶ役目も、売主の希望を守る役目も、同じ人の中にあります。
仲介手数料は、売主からも買主からも受け取れる
では、なぜ1社が売主と買主の両方を引き受ける形が生まれるのか。報酬の決まり方を見ると分かります。
土地の売買がまとまると、あいだに入った不動産会社に手数料が入ります。これが仲介手数料です。払うのは、その会社に仲介を頼んだ人。売主が頼んだのなら売主が払い、買主が頼んだのなら買主が払います。上限も、頼んだ人ごとに別々です。
だから、1社が売主と買主の両方から頼まれていれば、その1件で手数料が入ってくる先は2か所になります。売主からも買主からも上限まで受け取った場合、その会社に入る額はちょうど2倍です。
ここで大事なのは、その担当者にとっていちばん大きくなるのが「その1件がまとまること」の見返りだ、という点です。
そしてこれは、上の3つすべてに共通します。この報酬は、取引がまとまらなければ、どの会社にも入りません。両手で変わるのは、その見返りの大きさのほうです。
1社が両方を担当したとき、その人が守るのは「値段」ではなく「まとまること」です。


💰 不動産FPカルタの解説
偉そうに書いていますが、私も人のことは言えません。ハウスメーカーの営業の評価は、契約が取れたかどうかで決まります。だから私にも「この土地でまとめたい」という気持ちは、常にありました。
立ち位置が人を動かすことは、自分の身で知っています。誰がどこに座っているかを先に確かめてほしいのは、そのためです。
📌 この章の要点
報酬が動くのは、取引がまとまったときだけです。この条件は3つとも同じで、両手はその見返りが大きくなる。だから買う側が確かめるのは、目の前の人がどこから仕事を受けているか、この一点になります。
値段の話が始まる前に、順番を入れ替えておく
ここまでは、値段の話が始まったあとに何が起きるかを書いてきました。ここからは、その前にできることを書きます。話は2つあります。ひとつは、その場で聞ける質問。もうひとつは、順番の入れ替えです。
聞いていい質問が、ひとつだけある
土地を紹介してくれた会社に、その場で聞ける短い質問があります。
「この土地は、御社が売主さんから直接お預かりしているものですか?」
遠慮はいりません。買いたいと申し出れば、その会社が持ち主なのかどうかは示されます。その延長で聞くだけです。
返ってきた答えで、あなたの立ち位置が分かります。
「はい、売主さんから直接お預かりしています」——このとき、目の前の人はもともと売主から頼まれた人です。あなたの希望をそのまま運ぶ役目を、その人に期待することはできません。数字を口にする前に、自分の側で数字を言える人が要ります。
「いえ、別の会社が預かっています」——このとき、その会社はあなたを連れてきた側です。少なくとも、向かい合っている相手は、売主から直接頼まれた会社とは別になります。
どちらの答えでも、やることは同じです。自分の側の人を、先に決めておく。
聞くなら、値段の話を始める前です。答えを聞いてから、数字を口にする。
土地を見に行く前に、自分の窓口を1人決めておく
値段の話は、始まった瞬間にはもう遅いんです。値段を書いた紙を出す場面になってから味方を探しても、間に合いません。
だから私は、土地を紹介してくる不動産会社より先に、家を建てる会社の担当者を1人決めておいてください、とお伝えしています。ハウスメーカーでも工務店でもかまいません。その人が、あなたの側の窓口になります。
頼むことは、ひとつだけです。気になる土地が出てきたら、その資料を持って「この土地に、うちの希望する家を建てたら、総額でいくらになりますか」と聞く。それだけです。土地を決める前に、これを一度やっておく。
私がハウスメーカーの営業だった頃にやっていたのは、まさにこれです。土地の価格だけを見ていた買主に、造成・給排水・地盤改良・外構まで足した総額を出す。そして「この土地なら、ここまでで収まらないと家が建ちません」という数字の根拠を持って、不動産会社の担当者と向かい合う。
数字が根拠にあると、その値引きのお願いは「わがまま」から「条件」に変わります。感情の押し問答にならないぶん、伝わり方がまるで違うんです。
正直に書いておきます。先に決めておく窓口にも、契約が欲しいという利害はあります。私にもありました。ただ、土地の値段が高いまま決まると、総額が予算を超えて、その家は建たなくなる。契約そのものが消えます。だから土地を安く収めることは、私にとっても自分の契約を守ることでした。価格の場面で買う側と向きが揃うのは、そういう理由です。
土地探しをハウスメーカーに頼む理由は総額で見られることだ、と私は総額で土地を選ぶという考え方に書きました。ここにもう一つ足すなら、先に窓口を決めておくと、価格交渉の場面で誰があなたの希望を運ぶのかが最初からはっきりする、ということです。
冒頭に書いた席を、もう一度思い出してください。買主のご夫婦がいて、私がいて、向かいに不動産会社の担当者がいる。あの並びの「私」の椅子は、ご夫婦が用意したものです。土地を見に行く前に私に相談していたから、そこにあったんです。
やることは増えません。順番を入れ替えるだけです。土地を見つけてから相談するのではなく、相談してから土地を見る。それだけで、値段の話をする場に、あなたの側から数字を言える人が1人います。
順番を入れ替えるのは、味方を決めるところだけではありません。現地で何を見るかも、行く前に決まります。用途地域もハザードマップも家のパソコンで出てくるので、現地の時間はそこに使わなくていい。残しておくのは、その場に立った人にしか取れないものです。現地で見るのは、たった6つに、その6つを並べました。
味方は、探し始める前に決めるものです。値段の話が始まってからでは、間に合いません。
📌 この章の要点
この順番を変えられるのは、土地を決める前の今だけです。契約が近づくほど、話す相手の顔ぶれは動かせなくなります。
Q&A よくある質問
- 両手のほうが話が早い、と聞いたことがあります。
- 早いのは本当です。1社が売主と買主の両方の考えを握っているぶん、話は速く進みます。実際、価格が動くこともあります。
速く進むのは「まとまる方向」です。あなたの希望の方向とは限りません。
そして、価格が動いたとき、それがあなたの希望が通った結果なのか、まとまる形に寄せられた結果なのか。その区別が、買っている側にはつきません。
- 「囲い込み」という言葉を知りました。両手取引と同じものですか?
- 別のものです。
両手取引は、1社が売主と買主の両方を担当すること自体を指します。こちらは合法です。
「囲い込み」は、両手にしたいがために、他社からの問い合わせや紹介の依頼を意図的に断る行為を指す言い方で、こちらは問題視されています。両手取引が成立したからといって、囲い込みが行われたとは限りません。
- 買う側だけについてくれる不動産会社に、頼むことはできませんか?
- 頼むこと自体は、できます。難しいのは、目の前の会社がそうなのかを、買う側が見分ける材料を持っていないことのほうです。
だから私は、見分けることに時間を使うより、順番を変えるほうをお伝えしています。
- ハウスメーカーに土地探しを頼むと、紹介の手数料がかかりますか?
- かかりません。窓口を先に決めても、そこで追加のお金は発生しないんです。
内訳は窓口を先に決めるときにかかる費用の内訳にまとめてあります。
さいごに
「売主さん、強気でして」。この一言で話が終わる席に、あなたも座ることになります。
そこで足りないのは、交渉の技術ではありません。買う側の椅子が、もう一つ足りないだけです。
- 土地の値引きが動かないとき、買主が受け取っているのは「伝えた結果」だけ
- 広告に「仲介」と書いてあっても、その仕事をどちらから預かったのかは、そこに含まれていない
- いちばん効くのは、土地を見に行く前に、自分の窓口を決めておくこと
あなたが、納得のいく値段で土地を決められることをお祈りしています!
\ メール登録だけ・ぜんぶ無料 /
元ハウスメーカー営業がつくった
「家づくりの道具」4点
家づくりは、ほとんどの人が一生に一度です。だから、会社の比べ方も、担当者への聞き方も、誰にも教わらないまま本番が始まります。
私が売る側にいたころ、「お客様がこれを持っていたら、話がまるで違ったのに」と思っていたものを、4つの道具にまとめました。
- わが家のライフプランシート(Web)
年齢と年収を入れて、建てたい価格帯(ローコスト・中堅・大手)を選ぶだけ。「わが家は、いくらまでの家なら無理なく建てられるのか」——その上限額が出ます。 - 後悔しないハウスメーカー比較チェックシート(PDF)
候補の会社を「5つのものさし」と「担当者チェック」で採点して、ご夫婦で見比べられる一枚です。 - 同じ工法メーカー早見表(PDF)
どの会社とどの会社が同じ工法どうしなのか、36社分の一覧。相見積もりの組み方が変わります。 - 家づくり最新データシート(Web・毎年更新)
坪単価の相場、保証年数、火災保険が下がる「省令準耐火」など、時間で変わる数字をまとめてあります。
登録は無料です。しつこい売り込みはしません。配信はいつでも1クリックで解除できます。
ご登録いただいたメールアドレスは、特典のお届けと家づくりに役立つ情報の配信にのみ使用します。ご登録の前にプライバシーポリシーをご確認ください。





コメント Comments
コメント一覧
コメントはありません。
トラックバックURL
https://117gift.com/ryote-tyuukai-kaite/trackback/