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住宅ローンの「連生団信」ってどんな仕組み?
夫婦で共働きなんだけど、利用した方がいい?


こんにちは!
ハウスメーカー、今不動産特化FPカルタです!

連生団信」とは団信の新しい仕組み。
正式名称は連生団体信用生命保険といいます。

これまで、共働きの夫婦が連帯債務型で住宅ローンを借りた場合、主債務者となる一方しか団信には加入できませんでした。
従債務者が返済中に死亡した場合、主債務者はこれまで2人で返済していた住宅ローンを1人で負担しなければいけません。

それを解決するのが「連生団信」です。
今回は共働きの夫婦の住宅ローンの借り方について、「団信の仕組み」・「3種類の借入形態」・「連生団信」の3項目から解説します!

団信ってなに?

団信の仕組み

団信(だんしん)と団体信用生命保険の略で、住宅ローンの借主に万一のこと(死亡や高度障害状態)があった場合、保険会社から保険金が支払われて住宅ローンの残高がゼロになる仕組みをいいます。

住宅ローンの借入をする場合、銀行の審査項目を見てみると「団信に加入できること」が条件となっています。
年収や担保条件が良かったとしても団信に加入できなければ住宅ローンは借りられません。

ちょっと話はずれますが、年齢を重ねると健康状態が悪くなって、住宅ローンが借りられないという人を何人か見てきました。保険は入れるうちに入るのが鉄則です。
お金が貯まってからマイホームを検討しよう!という方も多いとは思いますが、この団信に加入できないリスクも考えておいた方が良いと思います。

団信の保険料

団信の保険料は、銀行が負担してくれることがほとんどです。
つまりは借主の保険料負担はゼロ!
これは意外に思われる方も多いですね。

ただし、フラット35は自己負担となるので注意が必要です。
フラット35利用時は、金利だけでなく団信保険料の負担も加味して検討する必要があります。

フラット35の場合、保険料がどのくらいになるのかコチラのサイトでシミュレーションができます。

機構団信特約料シミュレーション
http://www.flat35.com/simulation_danshin/index.php

例えば、借入額3000万円、返済年数35年、元利均等返済で1.5%の金利であった場合、総支払保険料は2,082,700円になりました。

…結構な金額ですね。

住宅ローンの残高が減るにつれて、団信保険料も減るのですが、最初の数年は1年間の保険料は10万円を超えることになります。




ちなみに「八大疾病保障付」などの保険特約がついた住宅ローンもありますが、これは団信とは別モノです。
「八大疾病保障付」は、例えばガンと診断されただけで、生存していても住宅ローンの残高がゼロになるという仕組みのものですが、これにかかる保険料は団信とは別に保険料を支払うことになります。

ただ最近はこの「三大疾病保障」でさえ無料という銀行まであります。
銀行の住宅ローンの競合いは泥沼化していますので、昔では考えられないくらいサービスが充実してきています。
消費者にとってはありがたいことですけどね。

共働き夫婦の住宅ローン借入形態3種


共働き夫婦が2人で住宅ローンを借りる際に、その形態は3種類
それぞれのメリット・デメリットをみていきます。
今後はわかりやすいように、夫が世帯主で主債務者、妻が従債務者として説明させてもらいますね!

①単独債務の収入合算型

まず、「単独債務の収入合算型」です。
これは夫が債務者となり住宅ローンを借ります。なので借主は夫のひとりだけ。
ただし夫の収入だけでは希望額が借りられないので、共働きの妻の年収も加味して借入しようというものです。

この際、妻については夫の連帯保証人になります。
連帯保証人というのは「借りているのは夫だけど、もし夫が返せなくなったときには私が責任をとって返済します!」と銀行と保証人契約を結ぶ人のことをいいます。

連帯保証人には次の権利がありません。

催告の抗弁権」…まずは夫に請求してよ!
検索の抗弁権」…夫は財産を持ってるはずよ!まずは夫の財産から差し押さえて!

これらを銀行に主張できないんです。

例えは悪いですが、風来坊の夫がある日突然旅にでて住宅ローンを返済しなくなった場合、妻がどんな言い訳をしようとも、銀行には「いいから、あんた返してよ」と言われます。

単独債務の収入合算型の場合、住宅ローンの借主ではない妻は、当然団信の対象外。
また住宅ローン控除についても妻は対象外となります。

②連帯債務者型

次に「連帯債務者型」。
夫を主債務者、妻を従債務者として、1本の住宅ローンを2人で借入する形態をいいます。
通常は収入の多い方が主債務者となります。

このケースでは、先ほどの単独債務の収入合算型と違い、妻も住宅ローンの借主ですから住宅に持分を持つことが必要になります。
そして住宅の持分に応じて住宅ローンを夫婦でそれぞれいくら借りているかを負担割合を判断します。

例えば、住宅の持分が夫3分の2、妻3分の1であった場合、住宅ローンの総借入額が3000万円であったなら夫が2000万円、妻が1000万円を借りていることになります。

さて、なぜこのように住宅ローンの負担割合を算出するかというと、団信と住宅ローン控除に関係してくるからです。



連帯債務者型の場合、団信に加入できるのは主債務者である夫のみになります。
妻である従債務者の方は加入できません。

では、先ほどの例で夫婦の一方が返済途中で死亡した場合を考えてみましょう。

夫の負担割合は2000万円、妻の負担割合1000万円ではありますが、これは債務者である夫婦の間でのみのハナシ。
団信は主債務者である夫が総額3000万円の保険金額で契約することになります。

なので、夫が死亡した場合は住宅ローン残高は負担割合によらず全額についてゼロになります。
逆に妻が死亡した場合は、住宅ローンの残高はまったく動きません。
たとえキツくとも、今後は夫ひとりでの返済を余儀なくされます。

それを解決するのが「連生団信」なのですが、これは後ほど説明します。



夫が死亡したケースでひとつ付け加えておきます。
夫が加入していた団信によって、妻は自分の負担割合1000万円についても支払わなくてよくなりました。
これは妻が自分の残債を免れたという経済的利益が生じたといえます。
結果として、一時所得として所得税が課税されることになります。



また住宅ローン控除については、夫の方は2000万円分の住宅ローン残高に応じて毎年控除を受けることになり、妻は1000万円分の住宅ローン残高に応じることになります。

③ペアローン型

3つめに「ペアローン型」。
夫婦が借入額を分けて、それぞれが借入人となる形態をいい、夫は妻の、妻は夫の連帯保証人となります。

例えば総額3000万円を借入するときに、夫が2000万円、妻が1000万円をそれぞれ独立して借入するようなかたちです。
なので住宅ローンは2本同時に借入します。

それぞれが独立しているので、先ほどの連帯債務型とは違い、夫婦のどちらも団信に加入できます
夫が死亡すれば夫の住宅ローンがゼロになり、妻は自分の住宅ローンのみ返済していけば良いことになります。
片方が死亡したからといって全額がゼロになるわけではありません。

住宅ローン控除もそれぞれの借入額に応じて受ける事ができます。

ただデメリットとして、夫と妻がそれぞれ銀行と住宅ローン契約をするので、契約時の印紙代抵当権設定登記費用などが高くなってしまうことがあげられます。

またフラット35にはこのペアローンの仕組みがそもそもありません

3つの借入形態の特徴まとめ

3つの借入形態について特徴を表にまとめておきます。
物件の持分をどうするか?
団信の加入をどうするか?
住宅ローン控除をどう受けるか?
その3点を考慮しながら検討することになります。

団信 住宅ローン控除 同居 物件持分
借入人 対象 対象 必要
連帯保証人 対象外 対象外 必要 任意
連帯債務者 対象外 対象 必要 必要

連生団信とはなんなのか?


連生団信とは、前述②「連帯債務型」で住宅ローンを借りる際に、夫婦がそれぞれ団信に加入できる仕組みです。

②連帯債務型の住宅ローンでは、主債務者である夫のみ団信加入が可能でした。
総額3000万円を借入、夫の負担割合が2000万円、妻の負担割合が1000万円としたとき、夫が死亡すれば住宅ローンは全額チャラ。妻が死亡すれば住宅ローン残高に影響なし。

ここに連生団信を加えると、従債務者である妻が死亡したときも住宅ローン残高が全額ゼロになります

連生団信を取扱っている銀行

連生団信を取扱っている銀行は多くありません。
銀行の中では、三井住友銀行が「クロスサポート」という商品名で連生団信付住宅ローンを取り扱っています。

その他では、フラット35の夫婦連生団信「デュエット」があります。

連生団信の保険料

連生団信の保険料は、通常の団信と違って全額自己負担です。
三井住友銀行銀行の「クロスサポート」の場合では、住宅ローン金利に0.18%の上乗せになっています。

またフラット35の夫婦連生団信「デュエット」の場合では、主債務者の団信保険料の1.56倍の保険料となっています。
主債務者の団信保険料が年間10万円くらいだとすると、約+5.6万円で連生団信に加入できることになります。

連生団信をオススメする?しない?

連生団信に加入すると相応の保険料が発生するので、加入すべきか否か迷うと思います。
そこで連生団信をオススメするケースというのをいくつかあげておきます。
参考にしてください。

  • 夫婦の年収を合算しなければ希望額を借りることができなかった人
  • 夫婦で借入額が半々など、それぞれの負担割合が大きいケース
  • 一戸建てなど、住み始めてからの物件の価格下落が著しいケース
  • 家系などから将来の持病に不安があるケース


従債務者の収入がなければ返済が難しくなる状況であるなら、一度連生団信も検討して良いと思います。

主債務者ひとりで返済が困難となった場合、自宅の売却を検討せざるを得なくなるかもしれません。
そのとき一番怖いのは、住宅ローンの残高に自宅売却金が届かなかったケースです。
銀行は少しでも住宅ローンの残高が残っていれば、抵当権(担保設定のこと)は外してくれません。
抵当権が外れなければ、自宅は売れません。
不足分の現金確保に苦慮することになってしまいます。
特に一戸建ては中古になったとたんに物件価格が大幅に下落することも多いので注意が必要です。



では次に、逆に連生団信をオススメしないケースです。

  • 既に別の死亡保険に加入しているケース
  • ペアローン型で検討するケース




既に従債務者が十分な死亡保険に加入しているなら、わざわざ連生団信をつける必要もないでしょう。

従債務者が死亡した場合、ペアローン型であれば連生団信と違って、主債務者の住宅ローン残高はなくなりません。
ただ従債務者の団信保険料は銀行が負担してくれるわけですから支出は抑えられます。

まとめ

連生団信に加入するか否かは、従債務者に万一のことがあった場合に、その後もひとりで返済していけるかをよく考えて検討しましょう。

特にフラット35で借入するなら、ペアローンという仕組みがない分、よくよく加入を検討すべきです。

ペアローンがある場合なら、それぞれのメリットとデメリットを比較しましょう。
連生団信なら保険料はかかるが、従債務者死亡時は住宅ローン残高は全額ゼロになるので、その後の生活が安定しやすい。
ペアローンなら、主債務者の住宅ローンは残るので負担は消えないが、保険料は支払わなくて済む。

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