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仮契約のキャンセルは違約金?建築条件付き土地でサイン前に見る3枚の紙

仮契約のキャンセルは違約金?建築条件付き土地でサイン前に見る3枚の紙

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建築条件付き土地を申し込むとき、その土地を扱っている不動産会社の担当者から「まずは仮契約を」と言われることがあります。紙にサインをして、いくらかのお金も渡した。その場では、おかしなことは何もなかった。それなのに、家に帰って一人になると落ち着かない。——あれ、やめたくなったらどうなるんだろう、と。

「仮なんだから戻せるはず」——そう聞かされたまま、次の打ち合わせの日が来ます。その言葉を最初に口にしたのは、売る側です。やめると決めた日に効いてくるのは、サインをした紙に書かれた条件のほうです。いま自分がどの立場にいるのかが分からないまま、次の紙が出てきます。

立場を決めているのは、その紙が3種類のうちどれなのかです。申込みの紙、土地の契約、建物の契約——机に出てくるのはこの3枚だけで、「仮契約」という名前の契約は、土地の売買にも、家を建てる工事にも用意されていません。そう呼ばれて差し出された紙も、必ずこの3枚のどれかです。

この記事では、その見分け方をお伝えします。もう書いてしまった方は手元の控えで、これから書く方は渡される前に、同じ見方が使えます。

読み終えるころには、手元のどの紙のどこを見ればいいかと、そこに書いていなかったときに返す一言が分かるようになっているはずです。

まだ建物の契約に判を押していないなら、戻る道は開いています。いちばん大きな分かれ目は、そこです。

戻るか戻らないかを決めているのは、あなたの交渉力ではなく、いま手元にある紙のほうです。

🏠 この記事でわかること

  • 「仮契約」という種類の契約は、土地の売買にも、家を建てる工事の契約にも用意されていないこと
  • いま渡された紙が①申込み②土地の売買契約③建物の請負契約のどれなのかを見分ける、6つの欄
  • 建物の契約に判を押す前と後で、やめたときに戻るものが変わること
  • もう請負契約にサインしていたとき、契約書のどこを見れば違約金の額が分かるか
  • 「期限が迫っています」と言われたときに、その場で返せる一言
目次[閉じる]

「仮でいいですから」と最初に言うのは、いつも売る側

家を建てる会社の営業だった頃、私はお客様に「まず申込みだけ入れておきましょう」と言っていました。契約という言葉を使わずに、話を前へ進めるためです。

この場面には、あなたのほかに三者います。土地の広告を出して、あなたの相手をする不動産会社。その土地を持っていて、値段も売り方も決めている売主。そして、その土地に家を建てる会社。ハウスメーカーや工務店のことで、この記事では建てる会社と呼びます。

私がいたのは、いちばん最後の建てる会社です。土地の売り買いの内側にいた経験はありません。

なぜ「仮」と言っていたのか。理由ははっきりしています。「契約しましょう」と言うと、お客様はそこで止まるからです。「仮です」「申込みだけです」と言うと、止まらない。この差を知っていて、私は後者を選んでいました。

「契約」という言葉には、重さがあります。ペンを持つ手が一度止まって、「家に帰って考えます」が出てくる。営業をしていれば、あの一拍が何を意味するかは体で分かります。その一拍が入ると、他社の展示場に足が向く。だから、一拍を作らない言い方を選ぶわけです。

建てる会社の申込みの紙を出すとき、私がいちばん言われたくなかったのは、「これ、コピーもらえますか」でした。控えを持ち帰られると、家で読まれる。家で読まれると、一拍が入ります。買主にとって、これほど簡単で効く一手はありません。

誤解のないように書いておきますが、これは営業の一人ひとりが不誠実だという話ではありません。私自身、当時は疑問すら持っていませんでした。

営業の評価は、契約した棟数で決まります。月末に壁へ貼り出される数字も、上司から聞かれる「あの案件どうなってる」も、行き着く先は全部そこです。目の前のお客様が半年かけて納得して、別の会社で建てて幸せになる未来は、私の評価には一円も入りません。

そもそも「仮契約」という種類の契約は、土地の売買にも、家を建てる工事の契約にも、法律に用意されていません。用意されていないのに、この言葉は現場で毎日のように使われています。買主を止まらせないために便利だからです。便利な言葉なので、消えません。

「仮って言われたから」とサインしてしまった人が迂闊だったとは、私は思いません。その言葉を渡したのは、こちら側です。

渡す側が誰の利益で動いているのかは、土地の値段の話になるともっとはっきり出ます。そちらは別の記事にまとめてあります。
価格交渉のとき、誰が誰の味方なのか

📌 この章の要点
「仮」という言葉には、値段も、期限も、やめたときの扱いも入っていません。空っぽの言葉が、便利だから使われている。それだけの話です。あなたの立場を決めているのは、紙に書き込まれた条件です。

同じ人から渡された紙でも、契約は3つに分かれている

渡された紙がどれなのかを確かめるために、領収書と契約書の5か所を順に見るチェックリストの図

建築条件付き土地の商談は、たいてい一つのテーブルで進みます。土地の話も、間取りの話も、お金の話も、窓口はひとりです。連絡先も、一人分しか渡されていません。

建築条件付き土地とは、決められた期間のうちに、売主が指定する会社と家を建てる契約を結ぶこと。それを条件に売られている土地のことです。土地だけを買って、好きな会社で建てるということができません。

買主から見れば、相手は「一社」に見えます。ところが、そこに出てくる紙は、一社から出てきません。土地の紙は不動産会社から、建物の紙は建てる会社から出てきます。

契約も、2本あります。1本目は、その土地を買う契約。相手は売主です。2本目は、その家を建ててもらう契約。相手は建てる会社です。工事を頼む契約なので、こちらは請負契約です。

この2本は、別の日に、別の紙で、別の相手と結ばれます。そして、土地のほうの契約には条件が付いています。「決められた期限までに、建物の契約を結ぶこと」。この条件が満たされなかったとき、土地の契約は効力を失う。そういう組み立てになっています。

契約は2本ですが、その手前に、もう1枚あります。契約になる手前の紙——申込みの紙です。このとき預けるお金を、申込証拠金とか預り金と呼びます。会社によっては「仮契約金」と呼んで受け取ることもあります。

机の上に出てくる紙は、3枚。①申込み、②土地の売買契約、③建物の請負契約です。

じゃあ土地の契約だけやめたら、家の契約も勝手に消えるってこと?
それが、消えるとは限らないんです。同じ人が持ってきて、同じテーブルで説明されるので続きの書類に見えますが、相手が違います。片方を止めても、もう片方は生きたまま残ることがある。ここがいちばん厄介なところです。

3枚の違いは、下の表の左端に並んだ6つの欄で見分けられます。

①申込み②土地の売買契約③建物の請負契約
渡すお金の呼び方申込証拠金・預り金(「仮契約金」と呼ばれることも)手付金契約金・手付金
これは契約かまだ契約になっていない。買いたいという意思を伝える手続き契約。ただし「期限までに③を結ぶこと」という条件が付いている契約
やめたとき戻るか受け取ったのが不動産会社なら、申込みを取り下げると伝えたときに返還を断ることが禁じられている期限までに③がまとまらなかったときは、契約が最初から無かったことになり、受け取ったお金はどんな名前で受け取っていても返す(そう広告に書くルールがある)契約書の違約金の条項に従う
いつまでなら戻るか契約が成立するまで。成立すると、このお金は手付金の一部になり、扱いが切り替わる③の期限まで/売主が動き出す前なら、手付金をあきらめてやめる道もある工事が終わるまでの間なら、注文した側からやめられる(着工したあとでも同じ)。ただし相手に生じた損害は払う
金額に上限はあるか上限を決めた決まりはない(代わりに、返し方が決められている)売主が不動産会社なら、代金の2割まで(売主が個人なら効かない)土地の契約で効く2割の上限は、ここには働かない
決めているのは何か領収書に書いてある「何のお金か」と、その発行元売買契約書と、広告に書かれた一文請負契約書

同じ日に机に並んでいても、この3枚は別物です。

表を上から読まなくても、3つ見れば見当はつきます。契約の相手として書かれているのが、不動産会社(売主)なのか、建てる会社なのか。金額の欄が、土地の代金なのか、工事の代金なのか。そして、その紙に期限の日付が入っているか。

申込みで預けたお金は、どこまで戻る?

①の申込みで預けたお金には、はっきりした決まりがあります。まだ契約になっていない段階で預けたお金は、「申込みを取り下げます」と伝えたときに、返すのを断ることが禁じられています。ただしこれは、そのお金を受け取ったのが不動産会社なら、の話です。自分の都合でやめる場合も、変わりません。

そこで最初に確かめるのは、そのお金を誰に渡したかです。領収書の発行元が、土地の広告を出していた不動産会社なのか、建てる会社なのか。ここで働く決まりが変わります。

効いているのは、「まだ契約になっていないお金」という中身です。紙の表題が「申込証拠金」でも「預り金」でも「仮契約金」でも、扱いは同じです。

だから、領収書を1枚めくってください。何のお金として受け取った、と書いてあるか。書いていなければ、その場でこう聞けば済みます。「このお金は、何のお金として預かっていることになりますか。領収書に書いていただけますか」

手付金はいくらまで? 決めているのは契約書の1行目

②の土地の売買契約で払うのが、手付金です。

手付金は、代金の前払いのように見えて、役目がもうひとつあります。お互いが気を変えたときのための「やめ賃」を、先に決めて預けておくお金です。

買主がやめたいときは、売主が動き出す前なら、この手付金を返してもらわずに契約を終わりにできる。売主のほうからやめたいときは、同じ額をもう一つ足して返す。そういう取り決めのお金です。だから、手付金の額が、そのまま「やめるときにいくらかかるか」になります。

その手付金には、上限があります。土地の代金の2割まで。ただし、これが効くのは売主が不動産会社のときだけです。

売主が個人の地主さんなら、この上限は働きません。不動産会社が間に入っていても同じです。効くかどうかを決めているのは、誰が売主か

契約書に「やめたときはいくら払う」と書いておける金額も、同じ2割までです。これも、売主が不動産会社のときだけです。

気をつけたいのは、決まっているのが「上限」であって「相場」ではないこと。いくらになるかは、あなたの契約書に何と書いてあるかで決まります。

契約書の1ページ目に、売主の欄があります。そこが会社名なのか、個人名なのか。そこで決まります。

カルタ

💰 不動産FPカルタの解説

「仮押さえ」「仮申込」「お申込み」——呼び方は会社によって違います。呼び方が違うだけで中身が同じこともあれば、同じ呼び方で中身が違うこともある。だから、表題では判断できないんです。

📌 この章の要点
持ち帰ってほしいのは2枚です。お金を渡したときの領収書と、契約書の1ページ目。この2枚は、誰にも聞かずに手元で見られます。担当者に確認するのは、その2枚を見てからで間に合います。

もうお金を渡していて、話が止まっているなら

返す返さないで話が止まったまま、日にちだけが過ぎている。そういう方に、先に渡しておきたい場所があります。

どこに相談していいか分からないときは、消費者ホットラインの「188」です。局番なしで188にかけると、住んでいる地域の消費生活センターにつないでもらえます。相談そのものは無料です(通話料はかかります)。

土地の契約の話でも、建物の工事の契約の話でも、まずはここでかまいません。話を聞いたうえで、その内容に合った窓口を教えてもらえます。自分でどこへ行くべきかを調べてから電話する必要はありません。

そのうえで、この先も読んでおいてください。窓口で話すときに、自分がどの契約の前で止まっているのかを言えると、話が早く進みます。

建築条件付き土地の売り方そのものは、決まりに沿ったやり方です。困るのは、買主の側から、いま自分がどの契約の前にいるのかが見えにくいことです。

建物の契約に判を押す前と、押した後で、戻るものが変わる

建物の請負契約に判を押す前と押した後で、土地の契約を白紙に戻す道が開いているか閉じているかを左右に並べて比べた図

3枚のうちどれを渡されたかが分かっても、まだ足りません。いちばん大きな分かれ目は、さきほどの表のどの行にも書いていないからです。分かれ目があるのは、紙と紙のあいだ——どこまでサインを書き終えているか、です。

同じ「やめます」でも、行き先が分かれます。

ひとつ目は、期限までに建物の話がまとまらなかったときです。このときは、土地の契約が白紙に戻ります。白紙に戻る、とは、その契約が最初から無かったことになる、という意味です。払ったお金は返ってきます。

返ってくるのは、その土地の契約がもともと条件付きで組まれているからです。「期限までに建物の契約を結ぶこと」——この条件が満たされなければ、契約は効力を失う。効力を失えば、受け取ったお金は返す。そういう筋道になっています。

その土地の広告には、「まとまらなかったときは、名前が何であっても全部お返しします」にあたる一文が書かれているはずです。そう書くように、業界のルールで決められています。

ふたつ目は、建物の請負契約にサインしたあとで、土地の契約をやめるときです。このときは、手付金を放棄することになります。請負契約に判を押した瞬間、白紙に戻る道は閉じます。

この点は、サインをする前に説明されているはずのことです。聞いた覚えがなければ、それ自体を聞いてください。「土地の契約をやめると、払った手付金はどうなりますか?」

なぜ閉じるのか。土地の契約に付いていた条件は、「期限までに建物の契約を結ぶこと」でした。判を押した時点で、この条件はもう満たされています。満たされた条件が、あとから満たされなかったことに戻ることはありません。

「仮」という言葉が危ないのは、この境目を見えなくするからです。「仮でいいですから」と言われた紙が、もし建物の請負契約だったなら、あなたはもう境目を越えています。土地の契約書と請負契約書が同じ日に机へ並ぶことも珍しくないので、その日のうちに両方へサインすれば、道は開いた日にそのまま閉じます。

法律に用意されていない言葉が、はっきりした境目のある場所で使われている。だから私は、紙を見てくださいとお伝えしています。

あの日、サインをした紙。相手はどちらの会社でしたか。手元に、控えは残っていますか。

見る場所は2つです。土地の広告の、物件概要が並んでいるあたり。それと、契約書。「建物の契約がまとまらなかったときは、受け取ったお金を全部お返しします」にあたる一文がないか、探してみてください。

広告のほうは、紙で手元に残っていないこともあります。そのときは、その物件のページをもう一度開いてみてください。

見つからなければ、その場で聞いてください。「建物の話がまとまらなかったとき、払ったお金はどうなりますか?」

契約書には、期限の日付も書き込まれています。いつまでに建物の契約を結ぶのか。その日を、いま言えますか。言えないなら、そこが最初に確かめる場所です。

白紙に戻る道は、建物の話を本気で進めたうえで、まとまらなかったときのために用意されています。間取りの打ち合わせにきちんと向き合うことが、そのまま自分を守ることになります。

建物の請負契約に、もうサインしていたとき

ここまで読んで、自分はもう建物のほうにもサインしている、と気づいた方へ。読む場所は、契約書の中で決まっています。

請負契約書の後ろのほう、「契約の解除」という見出しが並んでいるあたりです。そこに、注文した側からやめたときにいくら払うのかが書き込まれています。金額そのものが書いてあることもあれば、工事代金の何%と書いてあることもあります。これが、違約金です。

土地の契約で効いていた2割の上限は、この紙には働きません。いくらになるかは、あなたの契約書に書いてある数字がすべてです。まずその数字を、自分の目で見てください。

工事が始まっているかどうかも、見ておいてください。工事が終わるまでの間なら、注文した側から契約をやめること自体はできます。着工したあとでも同じです。ただし、相手がそこまでに使ったお金——設計や、手配してしまった材料——は払うことになります。

2枚にサインしていれば、精算するのも2枚ぶんです。土地の契約をやめても、この紙は残ります。どこまでサインしたのかを、先に数えてください。

契約書が見つからなければ、その場でこう聞いてください。
「この契約をこちらからやめた場合、いくら払うことになりますか。契約書のどこに書いてありますか?」

土地のクーリングオフが使えるかは、申込書をどこで書いたかで決まる

クーリングオフというのは、申し込んだあと決められた日数のうちなら、理由を言わずに取り消せる仕組みです。土地の売買にも、これはあります。ただ、働く場面はかなり狭いんです。

条件は2つ。まず、売主が不動産会社であること。そして、申込書を書いた場所が、その会社の事務所でも、現地の販売案内所でもないこと。この2つ目で、ほとんどの人が外れます。建築条件付き土地の申込みは、たいてい事務所か現地の案内所で書くからです。あの部屋でサインをした時点で、この道はもう閉じています。

カルタ

💰 不動産FPカルタの解説

売主が不動産会社なら、その手付金を何と呼んでいるかは関係ありません。「これは解約できないお金です」と紙に書いてあっても、買主に不利な取り決めは無効です。中身が優先される、という決まりだからです。

📌 この章の要点
やめられるかどうかを決めているのは、2枚のうちどちらに先にサインしたかです。順番だけは、あとから取り戻せません。いま数えられるのは、自分がいくつの紙にサインしたか。それだけです。

判を押さなければいい? その手前に置かれた期限

建物の請負契約に判を押さなければいい——そう考えたところで、次の壁が来ます。期限です。

建築条件付き土地には、「一定の期間内に建物の契約を結ぶこと」という条件が付いています。この期限が、間取りが固まる速さと合わないことがある。理由は、家1軒分の打ち合わせに何が必要かを並べてみると分かります。

要望を聞き取る。その土地に何がどれだけ建てられるかを調べたうえで、間取りの一案を作る。一案目がそのまま通ることは、まずありません。見て、直して、また見る。この往復が数回。そこへ、外観・設備・内装を決める打ち合わせが重なります。

仕様が決まらないと、正確な見積もりは出せません。だから「いくらになるか分かった時点」が、期限のいちばん手前に来ます。

間取りを納得いくまで詰めれば詰めるほど、金額が見えるのは遅くなる。早く金額を知ろうとすれば、間取りは詰め切れていない。買主はこの二つを同時に成立させられないのに、期限だけは先に決まっている。あの頃の私が、いちばん苦しいと感じていたのはここでした。

この期限の中で、後回しになりがちなものがもうひとつあります。土地そのものについて、まだ聞いていないことです。隣の空き地に何が建つのか、契約の前に読み上げられる書類を先に送ってもらえるのか。どちらも、こちらが口を開けば出てきます。契約に判を押す前に、まだ聞けることに、頼み方まで書きました。

「期限が迫っています」と言われたら、返す言葉はひとつ

いつまでに建物の契約をするのか。その日付は、あなたの契約書に書き込まれています。そこがすべてです。

そのうえで、期限の置き方には決まりがあります。間取りの打ち合わせに必要なだけの時間を取って、その先に期限を置く。そう決まっています。

返す言葉は、ひとつでいい。「間取りの打ち合わせは、あと何回できますか?」回数が答えられないなら、その期限は打ち合わせの時間を見ないで置かれています。

土地の契約と建物の契約を、同じ日や、ほんの数日のうちに続けて結ぶ。この進め方は、本来やってはいけないことになっています。例外は、買主のほうから「急いでほしい」と頼んだ場合だけです。「今日、土地と建物を一緒に決めてしまいましょう」と言われたら、その場で決めなくていい理由が、あなたの側にあります。

期限まであと1か月って言われてるんだけど、間取りまだ全然決まってない
では、その1か月のうちに見積もりの金額まで出るのかを聞いてみてください。間取りが決まっていない段階では、まだ正確な金額は出せません。「契約後に確定します」と返ってきたら、その1か月は、金額を見ないまま判を押す1か月です。

予算が合わないという結論は、失敗ではありません。期限までに建物の契約が結ばれなければ、土地の契約は条件を満たさなかったことになって、白紙に戻る。「まとまらない」という結末は、最初から設計に含まれています。建築条件付き土地は、そういう作りなんです。

ローンが通らなかったときは期限の決まり方が別なので、そこだけ切り出して書きました。
住宅ローン特約の期限は、いつまで?

📌 この章の要点
打ち合わせの残り回数は、聞けば教えてもらえる数字です。ただ、その一言を出すのは、たいてい買主の側になります。期限の話が出た日に、そのまま聞いてください。

サインをする前に、間取りと資金計画を手元に持つ

期限に追われるかどうかは、もっと前の段階で決まっています。次の土地を見に行くとき、あるいはこの土地でもう一度やり直すとき、ここが効いてきます。

打ち合わせが始まる時点で、家の中身と、いくらかかるのかを、どこまで自分で持っているか。そこです。

建物の話が「期限との競走」になるのは、その土地を見に行った時点で、間取りも金額も手元になかったからです。手元にあれば、話は変わります。期限に追われずに済みますし、金額を知らないまま判を押す形にもなりません。

土地と建物、どちらを先に決めるか。判断の順番はこちらに書いています。
土地を先に買うと失敗する3つの理由

会社に土地探しから頼むという進め方は、こちらに書きました。
土地探しはどこに頼む?

土地を見に行く前に、間取りと資金計画をどうやって手元に持つか。方法はあります。一度の入力で複数の建てる会社にまとめて依頼できる、一括資料請求と呼ばれるサービスです。私が長くおすすめしているのは、その中の「タウンライフ家づくり」です。

タウンライフ家づくりの公式サイト。無料で家づくり計画書を作ってもらえる。右下に資金計画・間取りプラン・土地探しの3つのサムネイル

希望の条件を一度入力すると、登録している建てる会社の中から、対応できる会社が「家づくり計画書」を作って送ってきます。上の画像の右下に小さく並んでいる3つが、そのまま届くものの中身です。

「間取りプラン」が、この土地、あるいは次の土地で建てたときの、家の中身の一案。「資金計画」が、土地代・建物代・諸費用まで含めた総額の見通しです。この2つがそろって初めて、「サインをする前に、間取りと資金計画を手元に持つ」が実際にできます。そして「土地探し」は、まだ次の土地を探している段階の方に向けたもの。間取りと予算に合う土地の提案が、一緒に届きます。

依頼すれば、その会社の営業から連絡が来ます。この記事の第1章で書いたとおり、営業の評価は契約した棟数で決まる仕組みです。その仕組みは、依頼した先の営業にもそのまま当てはまります。私が「仮でいいですから」と言っていたのと同じ立場に、向こう側の営業も立っています。

だからこそ、1社だけの話を聞かずに、並べて選んでください。提案してくる会社も、自社で建てたくて提案しています。それを分かったうえで、複数社に同時に出させて、間取りと金額を手元に置いてから会う。その順番に変えるだけで、期限に追われて判を押す形にはなりません。

提案が来るのは、登録している会社の中からだけです。気になっている地元の会社が登録していなければ、その会社は候補に上がりません。この記事の3枚の紙の話と同じで、届く範囲には限りがある、ということです。

✍️ 本気度が伝わる「要望欄」の書き方(コピペOK)

タウンライフ家づくりの要望欄の入力画面。赤い枠の自由記入欄に希望を書き込む

▲赤い枠が要望欄です。ここに、下の文章を貼り付けます。〇のところだけ、自分の数字に直してください。

👇 以下の文章を要望欄にコピーして使ってください。

現在、家づくりの計画を進めています。下記の内容で、間取りプランと資金計画、土地探しをお願いします。

・希望エリア:【 〇〇市〇〇区周辺 】
・家族構成:【 大人〇人・子供〇人 】
・建物にかけられる予算:【 〇〇〇〇 】万円くらいまで
・欲しい間取り:【 〇LDK、車〇台分の駐車スペースなど 】
・建築条件が付いた土地でも検討したいので、建物の間取りと資金計画を先に出してほしいです

※最後の1行は、こちらの希望を伝えるお願いの言葉です。提案の内容や届く早さを約束するものではありません。

ハウスメーカーに土地探しを頼んでも、紹介手数料はかかりません。そのお金の話はこちらに書きました。
ハウスメーカーに土地探しをしてもらうと紹介手数料がかかる?

全国1,300社以上が登録しているサービスなので、届く提案が1社だけということもありません。

📌 この章の要点
間取りと資金計画を先に手元に持てば、期限に追われて判を押す形にはなりません。もう1枚サインしてしまった方も、次の土地では同じ順番が使えます。

Q&A よくある質問

申込みのときに払ったお金は、あとで手付金になると言われました。返してもらえなくなるのですか?
契約が成立すると、そのお金は手付金の一部になり、扱いが手付金のルールに切り替わります。決め手は、いま契約が成立しているかどうかです。呼び名がどうであれ、切り替わる場所は同じです。

手付金を払ったあとでも、やめられますか?
売主が動き出す前なら、その手付金をあきらめて契約をやめられます。売主が動き出したあとは、この道が使えなくなります。ここでいう「動き出す」は、たとえば売主が引き渡しの準備にかかったような段階のことです。

「これは仮なので、いつでもやめられますよ」と口で言われました。それは効きますか?
あとから確かめようとしたときに手元にあるのは、サインをした紙と、お金を渡したときの領収書だけです。口で言われたことは、そこに残りません。その説明が本当なら、その場で「では、それを紙に書いてもらえますか」と言えば済みます。書けないと言われたなら、それが答えです。

そもそも建築条件を外してもらうことはできませんか?
外す交渉は、聞き方と時期でまるごと結果が変わります。そこは1本の記事にしてあります。
建築条件付き土地は交渉で外せる?ハウスメーカーに頼む前の4つの目印

まとめ|「仮」と言われた紙が、3つのどれなのかで決まっている

この記事の要点を、並べておきます。

  • 「仮契約」という種類の契約は、土地の売買にも、家を建てる工事の契約にも用意されていない
  • 同じテーブルで渡される紙は、①申込み ②土地の売買契約 ③建物の請負契約 の3枚に分かれている
  • 建物の請負契約に判を押した瞬間、土地の契約を白紙に戻す道は閉じる
  • もう請負契約にサインしていたなら、見る場所は契約書の「契約の解除」のあたり。そこに書かれた違約金の額がすべて
  • 手付金の2割の上限が効くのは、売主が不動産会社のときだけ。契約書の1ページ目にある売主の欄で決まる
  • 「期限が迫っています」と言われたら、返す言葉は「打ち合わせは、あと何回できますか」

戻るか戻らないかを決めているのは、その紙が①②③のどれなのかということです。

「仮」という言葉を最初に口にするのは、いつも売る側です。私も、契約という言葉を使わずに話を前へ進める言い方を、渡していた側にいました。それでも、その言葉を受け取ってしまったあとで、その紙が①②③のどれなのかを確かめることは、いつでもできます。

目の前の紙が①なのか②なのか③なのか。それを聞くのは、失礼なことでも、疑っていることでもありません。まともな会社なら、その質問には普通に答えます。その場で答えが出ないこともあります。よくあることなので、そこで疑う必要はありません。ただ、口で聞いた答えで終わりにしないこと。「どの紙のどこに書いてありますか」まで聞いて、その一文を見せてもらってください。

あなたの土地探しが、いい形で決まることを応援しています。

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元ハウスメーカー営業がつくった
「家づくりの道具」4点

家づくりは、ほとんどの人が一生に一度です。だから、会社の比べ方も、担当者への聞き方も、誰にも教わらないまま本番が始まります。
私が売る側にいたころ、「お客様がこれを持っていたら、話がまるで違ったのに」と思っていたものを、4つの道具にまとめました。

  • わが家のライフプランシート(Web)
    年齢と年収を入れて、建てたい価格帯(ローコスト・中堅・大手)を選ぶだけ。「わが家は、いくらまでの家なら無理なく建てられるのか」——その上限額が出ます。
  • 後悔しないハウスメーカー比較チェックシート(PDF)
    候補の会社を「5つのものさし」と「担当者チェック」で採点して、ご夫婦で見比べられる一枚です。
  • 同じ工法メーカー早見表(PDF)
    どの会社とどの会社が同じ工法どうしなのか、36社分の一覧。相見積もりの組み方が変わります。
  • 家づくり最新データシート(Web・毎年更新)
    坪単価の相場、保証年数、火災保険が下がる「省令準耐火」など、時間で変わる数字をまとめてあります。

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