元ハウスメーカー営業で今は不動産特化FPのカルタが、間取りの失敗事例やハウスメーカー比較をFP目線で解説。平屋・L字間取り・コスト実例など、マイホーム計画で後悔しない情報を無料公開中。

平屋の防音、間取りが全部引き戸でもハウスメーカーに頼むのはたった2か所

平屋の防音、間取りが全部引き戸でもハウスメーカーに頼むのはたった2か所

この記事は、住宅に関する有益な情報をFPの視点でわかりやすくお届けすることを目的として作成しています。
この記事には広告が含まれます。

【PR】


こんにちは!このブログも10周年
ハウスメーカー、今不動産特化FPのカルタです!

家づくりは「担当者」で9割決まる! 表紙著書家づくりは「担当者」で9割決まる!元営業マンが明かすハウスメーカーの裏側Kindle Unlimited なら0円で読めます ▶

ハウスメーカーや工務店からもらった、平屋の間取り図。その扉、ほとんどが引き戸になっていませんか。

先に結論から言います。平屋がうるさくなるかどうかは、その引き戸のうち2枚だけ——寝室とトイレ——をどうするかで、だいたい決まります。全部を見直す必要はありません。

ただ、その2枚の話は、打ち合わせではまず出てきません。私も営業として、平屋のプランに「どこにいても家族の気配が伝わる家」と何度も書きました。気配とは、音のことです。

「平屋はうるさい」と言われる現象の正体は、欠陥ではありません。売り文句が、そのまま実現した結果です。

平屋、家族の気配がわかるのが良いなと思ってたんだけど…それって結局うるさいってこと?
同じことの裏表なんです。だから直すのは平屋そのものではなくて、もっと小さいところですよ。
じゃあ全部引き戸にするのはやめたほうがいいの?
いえ、引き戸をやめる必要はありません。バリアフリーも省スペースも、そのまま持っていていいものです。問題は”全部”のほうです。

🏠 この記事でわかること

  • 平屋で音の後悔が起きるのは、失敗ではなく「気配が伝わる」という売り文句が実現した結果だということ
  • 打ち合わせで扉の音が議題にならない理由(比べる数字がない/ショールームで体験できるのは開閉音/どの保証にも載っていない)
  • 引き戸の弱点は、閉めても残る四方の隙間。標準の引き戸には、その隙間を塞ぐものが最初から付いていないこと
  • 開き戸に戻すのは寝室とトイレの2箇所だけでいい。それを間取りが固まる前に言うべき理由
目次[閉じる]

平屋が「うるさい」のはなぜ? 弱点はたった1つ

平屋は、音の何が弱いのか。弱点は、実はひとつしかありません。

音を出す場所と、寝る場所を、上下階に振り分けられないこと。これだけです。

2階建てなら、リビングは1階、寝室は2階と、床で分けられます。テレビの音が寝室に届くには、天井と床を1枚またがなければいけません。平屋には、その1枚がない。リビングも水回りも寝室も、同じ床の上に横並びです。

雨音についても、ひとことだけ。平屋に固有なのは、寝室まで含めた全部の部屋が屋根に接していることです。2階建てで屋根に接するのは2階だけですから、ここは確かに違います。そこから先は屋根材と断熱の話になるので、この記事では扱いません。

扱うのは、家の中の音です。外から入ってくる音ではなく、家族が出す音のほうですね。

では、同じ床の上に部屋が並んでいるとき、音を止めているのは何か。壁と、扉1枚です。

📌 この章の要点
平屋だけの弱点は「音を出す場所と、寝る場所を上下階に分けられない」の1つ。だから音を止めているのは、壁と扉1枚しかありません。

平屋のプランは、頼む前から全部「引き戸」で描かれている

ひとつ前で書いた「扉1枚」。平屋では、その扉はほぼ引き戸になっています。

リビングも、寝室も、トイレも全部引き戸。平屋のプランでは、これが普通の姿です。あなたが希望したからではなく、ハウスメーカーの側が先にそう描くからです。

平屋の間取り図を描くとき、ハウスメーカーの営業と設計は、かなり早い段階で建具(ドアや引き戸のことです)を引き戸で描き始めます。理由は3つあります。

1つ目は、図面が見やすくなること。開き戸を描くと、扉が開いた先までを示す弧の点線が図面に残ります。あの点線は「ここに家具は置けません」という印です。

平屋は床面積が広くなりがちで、1畳でも無駄を削りたい。図面に点線の空き地がいくつも散らばっているのは、単純に説明しづらいんです。

2つ目は、坪単価が上がりやすい平屋で「無駄がありません」と説明できること。3つ目は、バリアフリーが反論の出ない正義なので、説明が短く済むことです。「将来車椅子になっても通れます」と一言添えれば、まず反論は出ません。

——そしてこの提案は、今でも間違っていないと思っています。

あなたのほうから「引き戸にしてください」と頼む場合も、理由はだいたい決まっています。

  • 掃除がラク(上吊りタイプなら床にレールがない)
  • 開けっ放しにして風を通したい
  • 子どもが扉に指を挟まない
  • 親が来たときに通りやすい

どれも生活に根ざした、まっとうな理由です。ケチをつける気はまったくありません。

いま並べた7つを、もう一度見てください。ハウスメーカーが挙げる3つにも、あなたの側から出る4つにも——

「音」という単語が、一度も出てこないんです。

だから、引き戸を選ぶ会話の中で、音が検討されることは起こりません。

うちの間取り図も、言われてみれば全部引き戸だ…
たいていそうです。その図面、引き戸のところだけ壁が長くなっていませんか。開けた戸を引き込む場所が要るので、そこだけ壁が伸びるんです。

📌 この章の要点
引き戸が選ばれる理由は、ハウスメーカー側に3つ、あなたの側に4つ。その7つのどこにも「音」という単語が出てきません。

打ち合わせで「音」の話が出ないのはなぜ?

打ち合わせで音の話が出ないのは、営業が意地悪をしているからではありません。出さないようにしているのではなく、音を出す場所がどこにもないんです。

建具の打ち合わせで机に広げるのは、メーカーの建具カタログと価格表です。そこで比べるのは、色柄、寸法、扉の表面の仕上げ、そして価格。どれも、2つ並べればすぐ優劣が分かります。

遮音は、その並びに入ってきません。比べる数字がない項目は、議題になりません。見積書に金額として現れないものは、家づくりの打ち合わせでは存在しないのと同じ扱いになります。

これは営業の怠慢ではありません。室内のドアのカタログに必ず載せることになっているのは、強さ、開け閉めの軽さ、ぶつかったときの丈夫さ。遮音は、載せても載せなくてもいい項目です。だから、誰かが自分から選ばないかぎり、そのまま通り過ぎます。

ショールームで体験できるのは「開閉音」で、「遮音」ではない

ショールームや展示場で引き戸を触ると、ソフトクローズがすーっと効いて、驚くほど静かに閉まります。「引き戸って静かなんですね」「そうなんです」。この会話は、きれいに成立します。

すり替わっているのは、中身のほうです。静かなのは閉める瞬間の音であって、閉めた後に音を止める力ではありません。

ソフトクローズは、戸のバウンドと衝撃音を抑えるための機構です。隙間は1ミリも塞ぎません。

正直に言えば、この2つを分けて考えていない営業もいます。私も入社したての頃はそうでした。

体験できるものだけが話題になり、体験できないものは話題から落ちます。

生活音は、どの保証にも載っていない

雨漏り、断熱、シロアリ、傾き。このあたりは保証とアフター点検の対象なので、社内の教育にも点検の記録用紙にも載ります。

ところが、生活音はどの保証にも載っていません。引き渡しの後で「音が気になる」と言われても、壊れているわけではないので、直す義務が生まれない。会社にとってリスクにならないものは、営業研修でも扱われません。

私が受けた研修で建具について教わったのは、グレードごとの価格差と、どうやって上位グレードを勧めるか。遮音の話は一度も出ませんでした。これは営業個人の不勉強というより、「クレームにならないことは教えない」という会社の合理性の話だと思っています。

え、プロが集まって打ち合わせしてるのに、誰も音のこと言わないの?
言わないんです。悪気ではなく、音を書き込む場所がどの書類にもないので。

では、その引き戸は実際どういう作りになっているのか。次はそこを見にいきます。

📌 この章の要点
音が議題にならないのは、カタログにも、ショールームにも、保証にも「音を書き込む場所」がないから。だから、自分で持ち出すしかありません。

標準の引き戸が音に弱いのは、閉めても四方に隙間が残るから

何も指定しなかったときに入る標準の引き戸と標準の開き戸で、隙間の扱いがどう違うかを比べた図。引き戸は隙間を塞ぐものが付いておらず、開き戸は枠にゴムのパッキンが回っていることがある
▲標準の引き戸と標準の開き戸で、隙間の扱いがどう違うかを比べた図

引き戸は、閉めたときに四方へ隙間が残ります。まずは、その仕組みから。

上吊りの引き戸は、下に隙間を残して成り立っている

引き戸を閉じると、扉の四方——上と下、そして戸が枠に当たるところ——に隙間ができます。

床にレールを埋めない上吊りタイプなら、戸の下に隙間が残ります。掃除がラク、段差がない、バリアフリーに強い。そして同時に、戸の下に隙間を残すことで成り立っている方式でもあります。

掃除のしやすさと、下の隙間。この2つは、同じ作りの表と裏です。

「掃除がラクだから」と選んだ理由が、そのまま音の抜け道になっている。この記事で言いたい構図が、引き戸1枚に凝縮されています。

下の隙間を塞ぐ部品は、実在します。戸を閉めると磁石が働いて、床とのすき間をふさぐものです。ただしこれは、光漏れとすきま風のために作られた部品です。音のためではありません。

ちなみに「扉の下から遮音ゴムが降りてくる」という機構もありますが、あれは開き戸用です。同じ「隙間を塞ぐ」でも、引き戸と開き戸では別の部品になります。

扉の遮音の強さを表す等級は、一応あります。ただし標準の引き戸には、その等級が付いていません。カタログの引き戸のページを探しても、遮音の欄そのものが無いんです。

カルタ

💰 不動産FPカルタの解説

扉の等級は「T-1」「T-2」のように呼びます。T-1なら、扉を1枚挟むだけで、通り抜けてくる音が25デシベルぶん小さくなる。隣の部屋の話し声が、ささやき声くらいまで落ちる計算です。窓のカタログではよく見かける数字ですが、室内の引き戸でこの等級が付いているのは、遮音のために作られた専用の商品だけ。標準の引き戸には付いていないので、比べようがありません。だから打ち合わせでも話題になりません。

遮音の商品どうしなら差はない。差がつくのは標準の扉

誤解のないように書いておくと、引き戸でも遮音はできます。室内用に、遮音のために作られた引き戸を出しているメーカーもあります。「引き戸だから遮音できない」というのは、誤りです。

遮音のためにわざわざ作られた商品どうしなら、引き戸も開き戸も同じくらい静かです。差がつくのは、そこではありません。何も指定しなかったときに入る、標準の扉のほうです。

標準の開き戸には、枠にゴムのパッキンが回っていることがある。標準の引き戸には、隙間を塞ぐものが最初から何も付いていません。

もう一段上の、本格的な防音扉になると、カタログに並ぶのは開き戸ばかりです。引き戸で用意されているのは「音に配慮した」というレベルまで。

カルタ

💰 不動産FPカルタの解説

自分で確かめるなら、建材メーカーのサイトで「防音ドア」のページを開いてみてください。遮音のために作られた引き戸は、この棚には並んでいません。ふつうの内装ドアのページに、色柄違いの1つとして載っています。音の性能で探そうとすると、辿り着けない場所にある。音は、そういう置かれ方をしています。

じゃあ、どうしても引き戸の寝室で静かにしたいときは?
方法はあります。ただ、値札を見てから決める話なので、いちばん最後のQ&Aにまとめました。

ついでに、逆の話もしておきます。引き戸のままでも「音なんて全然気にならない」という家は、確かにあるからです。ここをごまかす気はありません。

カルタ

💰 不動産FPカルタの解説

窓も壁も本気で仕上げて、家じゅうを1台でまかなう空調が入っている。そういう家では、生活音が空調の運転音に紛れます。逆に、静かすぎる家ほど生活音はくっきり立ちます。冷蔵庫の音まで聞こえる家なら、隣の部屋の話し声も同じように届く。だから、扉1枚に全部を背負わせないほうがいいんです。

次は、扉より先にやることの話です。

📌 この章の要点
引き戸の弱点は四方の隙間。塞ぐ方法はありますが、標準品には付いていません。だから、扉1枚に頼らない設計が要ります。

扉を選ぶ前に、寝室の場所を決める

音を止めているのは、壁と扉です。壁のほうは、間仕切りに断熱材を詰めてもらえば、標準の工事の範囲で手が打てます。厄介なのは、扉のほう。

ただ、その扉より先にやることがあります。順番の話です。

間取りを決める打ち合わせと、扉の種類を決める打ち合わせは、別の日にあります。間取りを決めるとき、扉はまだ図面の上の線でしかない。扉を決めるときには、間取りはもう動かせません。音の話は、この2つのあいだにきれいに落ちます。

建具を選ぶのは後で間に合いますが、間取りは後から動きません。だから、間取りのほうが先です。

寝室の場所は、いちばん最初に決める

平屋の間取りを描くとき、ハウスメーカーの側には部屋を近づける方向にしか力が働きません。

廊下は坪数を食うので削る。回遊できる動線は喜ばれるので入れる。「リビングを通ってから各部屋へ」という配置は、家族が顔を合わせるプランとして評価が高い。子どもが思春期でも自室に直行しない、という説明もよく効きます。

この提案は、家族関係の面では今でも正しいと思います。ただ、その全部が、音では裏目に出る。

リビングから寝室のドアまで2歩、という間取りは、音でいえばリビングで寝ているのと大差ありません。そこに引き戸が1枚挟まるだけの状態です。

やることは1つです。リビングと寝室のあいだに、部屋をもう1つ挟むこと。ウォークインクローゼット、納戸、洗面、書斎。用途は何でも構いません。扉と壁を2回またがせれば、それでいい。

そのために必要なのは、順番を変えることです。うるさい部屋の場所ではなく、静かにしたい部屋の場所から決める。

寝室の場所なんて、間取りのいちばん最後に決めてた気がする…
多いですね。リビングと水回りを気持ちよく置いて、余ったところが寝室になる。いま図面が手元にあるなら、リビングと寝室のあいだに何があるか見てください。壁1枚なのか、収納をはさんでいるのか、廊下が1本通っているのか。壁1枚と扉1枚だけなら、そこが分かれ道です。

いちばん効くのは廊下。そして真っ先に削られるのも廊下

なぜ、いちばん効く場所から先に消えるのか。お金の話です。

平屋は、同じ床面積でも基礎と屋根の面積が増えるので、坪単価が上がりやすい。だから予算を詰める場面では、まず廊下が削られます。

「この廊下を無くして、リビングを広げましょう」。これは営業としてごく普通の提案で、私もやってきました。実際、廊下を1本消すと合計金額はしっかり下がります。

ところが、削られた廊下や納戸こそが、リビングと寝室のあいだに挟まっていた1部屋だったわけです。コストを詰める力と、音を悪くする力が、まったく同じ方向に働きます。

しかもコストは見積書に数字で出るのに、失われた静けさは1円も表示されません。だから毎回、静けさのほうが負けます。

カルタ

💰 不動産FPカルタの解説

打ち合わせが進むと、予算が合わないときに「ここを削れば、これだけ下がります」という紙が出てきます。その紙に「静けさ ▲◯円」という行は出てきません。だから、その紙を見せられたときは一度だけ確かめてください。消えているのは面積だけなのか、それとも寝室の前の1部屋なのか。図面の上でなら、まだ間に合います。

クローゼットと短い廊下をあいだに挟んで、リビングと寝室のあいだの音を伝わりにくくした間取り例
▲クローゼットと短い廊下をあいだに挟んで、リビングと寝室のあいだの音を伝わりにくくした間取り例

📌 この章の要点
音を止めるのは、まず距離と部屋数。寝室の位置を先に決めて、あいだに1部屋挟んでおきます。

開き戸に戻すのは、寝室とトイレの2箇所だけでいい

次の打ち合わせで場所と部位を指定して聞く4つ。寝室の引き戸、開き戸の枠のパッキン、引き戸の隙間を塞ぐ部材、トイレの防音仕様の排水管をまとめたチェックリスト
▲次の打ち合わせで場所と部位を指定して聞く4つ

リビングと寝室のあいだに1部屋挟んでも、寝室とトイレの入口には、扉が1枚残ります。その最後の1枚をどうするか、という話です。

私が営業だった頃、打ち合わせで音の質問が出ることはありました。聞かれるのは「隣の家の話し声は聞こえませんか」「前の道路の車の音は」——外から入ってくる音の話です。家の中で家族の音がどう回るかを契約前に心配される方は、本当に少ない。家族なんだから、と思うからでしょうね。

音の話が出るのは、決まって引き渡し後の点検です。しかも出てくるのは「ドアの遮音が」という言葉ではありません。「夜、寝つけなくて」「テレビの音量をいつも絞っている」「子どもが寝てから、リビングで話すのに気を遣う」。生活の言葉です。場所を聞くと、寝室かトイレのどちらかに集まります。

裏を返せば、この2箇所さえ守れば、引き戸のメリットはほとんど持ったまま逃げ切れる。

「ほとんど」と書いたのには、理由があります。開き戸は、扉が開く分の余白を前後に取る。車椅子や杖なら、その扉を避けて回り込む動きが要ります。引き戸の理由に挙げた「将来車椅子になっても通れます」がいちばん効いてくるのは、まさに寝室とトイレです。手放すのは、その2枚ぶんの通りやすさです。

そのうえで、私はこの2箇所を勧めます。夜に効いてくるのが、この2枚だからです。

寝室——リビングから2歩の引き戸、そこだけ戻す

リビング、玄関ホール、洗面。出入りの多い場所は、引き戸のままで構いません。バリアフリーも省スペースも、そこで全部効いています。

開き戸に戻すのは、寝室の入口1枚です。

開き戸にしたから安心、とは言えません。開き戸も、枠にパッキンが入っているかどうかで差が出ます。同じ開き戸でも、枠の内側にゴムのパッキンが回っているものと、何も入っていないものがある。

だから確認するのは「開き戸にしてください」の先です。その開き戸の枠に、パッキンが入っているかどうかまで聞いてください。

ここは正直に書いておきます。パッキンは本来、すきま風と光漏れのための部材で、メーカーも遮音を謳ってはいません。それでも聞く価値があるのは、音が抜ける経路も、結局は隙間だからです。

トイレ——扉より先に、排水管を見る

寝室に隣接したトイレは、扉の音より流水音と排水音のほうが効きます。深夜に誰かが使うと、水が壁の中を落ちていく音が寝室にそのまま届く。ここには、防音仕様の排水管という選択肢があります。

防音材を巻いた排水管に替えると、その音がはっきり小さくなります。ふつうの排水管と比べて、15デシベルぶんです。

部材費は、トイレ1箇所で1〜3万円ほど。安い部材ではありませんが、建物の総額から見れば小さい金額です。金額を見て、要るか要らないかを自分で決めてください。

「防音はどうですか」ではなく、場所と部位を指定して聞く

ここからが、次の打ち合わせでやることです。

漠然と「防音はどうですか」と聞くと、返ってくるのは「壁に断熱材を入れておきます」です。ざっくり聞かれたから、ざっくり返している。それだけのことです。

効くのは、場所と部位を指定して聞くことです。

「寝室の引き戸、閉めたときに下と合わせ目に隙間が残りますよね。ここを塞ぐ部材が採用できるか、メーカーに確認してもらえますか」

この聞き方をすると、質問が営業の先へ降りていきます。ハウスメーカーには、営業のうしろに、間取りを描く設計担当と、現場を仕切る工事担当がいます。扉の細かい作りを本当に知っているのは、そちらです。私も含め、営業が全部をつかんでいるとは思わないほうが現実的です。

なぜ営業から先に出てこないのか。この手の部品が「防音」の棚に置かれていないからです。さきほどの部品と同じで、載っているのは「すきま風」「省エネ」「光漏れ対策」の側。音の相談から辿り着けない場所にあります。

パッキンが入ってるかなんて、聞いてわかるもの?
その場で答えられなくても構いません。メーカーに確認してもらえば済む話ですから。

📌 この章の要点
直すのは寝室とトイレの2箇所だけ。聞き方は「防音はどうですか」ではなく、場所と部位を指定します。

Q&A よくある質問

もう間取りが決まっています。今から引き戸を開き戸に変えられますか?
変えられます。ただ、タイミングで手間がまったく違います。
引き戸は、開けた戸を引き込むための壁が要ります。開き戸に変えると、その壁が不要になるぶん、壁の長さが変わり、そこに付いていたコンセントやスイッチの位置まで連動して動きます。図面が固まる前なら、線を1本描き直すだけで済みます。
変えるのは寝室とトイレの2箇所だけで足ります。それ以外は引き戸のままで構いません。
引き戸のままにしたいのですが、寝室を静かにする方法はありますか?
あります。1つは、遮音のために作られた引き戸を、寝室の1枚だけ指定する方法です。メーカーによっては「簡易遮音引戸」といった名前で用意されています。標準の引き戸との差額はかかりますし、扱いのないメーカーもあるので、まず「寝室の引き戸に、遮音の仕様はありますか」と聞いてみてください。
もう1つは、閉めたときに上下からゴムが押し出されて、四方の隙間を塞ぐ専用の部品を入れる方法です。性能は本物で、試験用の空間では、扉を閉めると音の大きさが28デシベルぶん落ちました。ただし発売時の価格で、部品代だけで18万円台から。工事費は別です。家じゅうに付けるものではありません。寝室1枚を開き戸に戻すほうが、たいていは現実的です。

📌 この章の要点
変えることはできても、費用と手間は「いつ言うか」で決まります。壁とスイッチが動く前なら、直しはいちばん安く済みます。

音のほかにも、契約前の図面なら直せる失敗があります。平屋の失敗は住んでから気づく!ハウスメーカーとの契約前に直せる6つにまとめてあります。あわせてご覧ください。

まとめ|平屋の音は、図面が線でできているうちに直せる

早く言えば、線を1本引き直すだけ。ここまでの要点を並べておきます。

  • 平屋だけの弱点は「音を出す場所と、寝る場所を上下階に分けられない」の1つ
  • 打ち合わせで音が議題にならないのは、音を書き込む場所がどの書類にもないから
  • 引き戸の弱点は四方の隙間。標準の引き戸には、それを塞ぐものが最初から付いていない
  • 間取りでは、寝室の位置を先に決めて、あいだに1部屋挟む
  • 開き戸に戻すのは寝室とトイレの2箇所だけ。手放すのはこの2枚ぶんの通りやすさで、ほかの扉では引き戸の良さがそのまま残る

あなたがもらったプランにも、「どこにいても家族の気配が伝わる」と書かれていませんか。

その一文は、深夜のテレビの音も同じ経路で届く、という意味でもあります。褒め言葉として読むか、設計の条件として読むか。読み替えられるのは、図面がまだ線でできているうちだけです。

次の打ち合わせで、寝室の引き戸の下と合わせ目について聞いてみてください。その質問が出た時点で、音は初めて打ち合わせの議題になります。あなたの平屋が、静かに眠れる家になるよう応援しています。

\ メール登録だけ・ぜんぶ無料 /

元ハウスメーカー営業がつくった
「家づくりの道具」4点

家づくりは、ほとんどの人が一生に一度です。だから、会社の比べ方も、担当者への聞き方も、誰にも教わらないまま本番が始まります。
私が売る側にいたころ、「お客様がこれを持っていたら、話がまるで違ったのに」と思っていたものを、4つの道具にまとめました。

  • わが家のライフプランシート(Web)
    年齢と年収を入れて、建てたい価格帯(ローコスト・中堅・大手)を選ぶだけ。「わが家は、いくらまでの家なら無理なく建てられるのか」——その上限額が出ます。
  • 後悔しないハウスメーカー比較チェックシート(PDF)
    候補の会社を「5つのものさし」と「担当者チェック」で採点して、ご夫婦で見比べられる一枚です。
  • 同じ工法メーカー早見表(PDF)
    どの会社とどの会社が同じ工法どうしなのか、36社分の一覧。相見積もりの組み方が変わります。
  • 家づくり最新データシート(Web・毎年更新)
    坪単価の相場、保証年数、火災保険が下がる「省令準耐火」など、時間で変わる数字をまとめてあります。

登録は無料です。しつこい売り込みはしません。配信はいつでも1クリックで解除できます。
ご登録いただいたメールアドレスは、特典のお届けと家づくりに役立つ情報の配信にのみ使用します。ご登録の前にプライバシーポリシーをご確認ください。

Powered by メール配信『オレンジメール』

この記事をシェアする

記事一覧へ戻る

コメント Comments

コメント一覧

コメントはありません。

コメントする

CAPTCHA


トラックバックURL

https://117gift.com/hiraya-soundproof/trackback/

関連記事 Relation Entry