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平屋と2階建て、老後に効くのは階段ではなく修繕費!30年の差は「どこまで数えるか」で消えます

平屋と2階建て、老後に効くのは階段ではなく修繕費!30年の差は「どこまで数えるか」で消えます

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「老後を考えるなら、やっぱり平屋だよね」。打ち合わせで必ず一度は出てくる言葉です。階段の上り下りがない。ワンフロアで生活が完結する。雨樋の詰まりも、歳をとってから自分の目で見に行ける。

深い軒とウッドデッキのある平屋の外観

嘘ではありません。どれも本当のことです。正しいから、そこで話が止まってしまう。

営業をしていた頃の私にとって、「老後」は打ち合わせを前に進めてくれる便利な言葉でした。価格でも仕様でもないので、誰も反対しない。反対されない提案は、売る側にありがたい提案なんです。だから私は、老後だけを理由に家の形を決める人の手を、いったん止めてもらいます。

老後のこと考えたら、平屋一択じゃないの?
階段のことだけ見れば、そうです。ただ、高齢の方が家の中でケガをしている場所は、階段より居室や寝室のほうがずっと多いんですよ。

先に、この記事の結論を置いておきます。

老後に効いてくるのは、階段ではなく修繕費です。そして平屋と2階建ての修繕費は、どこまで数えるかで、どちらが高いかが入れ替わります。決めるべきは平屋か2階建てかではなく、シロアリの再処理を何回やるかと30年目の屋根をどう直すかの2つ。平屋をやめろ、という話ではありません。

🏠 この記事でわかること

  • 「老後は平屋がラク」がどこまで本当で、どこから違うのか
  • 「平屋なら足場代が浮く」が2024年4月の改正で崩れた理由
  • 30年の修繕費を、有利な部位と不利な部位の両方から数えた表
  • 前提を2つ動かすだけで、その差が消えること

💡 30年後の修繕費の前に、平屋そのもので後悔しないために。
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平屋の失敗6つ:契約の前 全部直せる

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目次[閉じる]

老後にケガをするのは、階段ではなく寝室です

寝室と階段を並べた図。高齢者が家の中でケガをするのは階段より居室・寝室のほうが多い

東京消防庁が令和6年に集計した、住宅の中でころんで運ばれた高齢者は39,053人。そのうち29,783人——およそ4分の3が、階段ではなく居室・寝室で転んでいます。発生場所の上位5つは、居室・寝室、玄関・勝手口、廊下、トイレ・洗面所、台所。階段は、5つの中に入っていません。

東京消防庁「救急搬送データからみる高齢者の事故」(令和6年中)の集計です。

階段をなくせば、階段の事故は減ります。そこは否定しません。ただ、階段をなくして消えるのは、家庭内の事故のうちの一部だけです。残りは平屋にもそのまま残ります。効いているのは、床の段差と手すり、動線と照明のほうなんです。

うちはまだ元気だし、必要になってから直せばよくない?
その順番でいいと思います。ただ介護保険の住宅改修は、認定を受けて、工事の前に申請する仕組みなんですよ。

使えるのは手すり・段差の解消・床材・扉・便器まで。上限は要介護度にかかわらず総額20万円で、これは工事費の上限です。戻るのはその7〜9割。20万円が支給されるわけではありません。階段昇降機は対象外で、自己負担は数十万円から百万円台です。

外壁と屋根の更新には、そういう全国共通の仕組みがありません。自治体の助成が使えることはありますが、金額も条件も住む場所しだい。屋根と外壁の更新は原則自腹で、年金で暮らしている時期に一度は来ます。

じゃあ2階建てでも、老後は平気ってこと?
1階で生活が完結する間取りなら、階段の問題の大半は消えます。後から作り直すこともできますが、最初からその形で建てるのとは、かかるお金がまるで違うんです。

📌 この章の要点
階段をなくしても、家の中でケガをする場所のほうは残ります。介護の工事には20万円の枠がありますが、屋根と外壁の更新に効く全国共通の制度はありません。

「平屋なら足場代が浮きますよ」が、いちばん苦しい営業トークです

足場とメッシュシートを組んで外壁と屋根を塗装している住宅の工事現場

まず、平屋でも足場は組みます。高さが2mを超える作業には作業床が要ると決まっていて、平屋の軒の高さは3m前後。外壁塗装も屋根の補修も、この高さを超えます。

柱を2列立てるのが本足場、1列で済ませるのが一側足場です。2列のほうが、当然お金がかかります。

2024年4月から、もう一つルールが加わりました。幅が1メートル以上の箇所で足場を使うときは、原則として本足場を使う。起点は建物の外面からの水平距離で、高さは条件に入っていません。狭い敷地向けの一側足場が流用され、事故が起きていたことへの対応です。

敷地に余裕のある平屋のほうが、むしろ本足場になりやすい。あとで出す表の足場代も、両方とも本足場で計算しました。効くのは金額の差ではなく、浮くはずだった費用が浮かないことのほうです。

それ、うちの土地が広いか狭いかで足場代が変わるってこと?
そうなんです。同じ平屋でも、まわりに1m空いているかで足場の種類が変わる。「平屋だからいくら」という相場が、そもそも作れないんですよ。

なぜこの話が打ち合わせで出てこないのか。施主が屋根を見ないからです。外壁は毎日目に入りますが、自分の家の屋根って、上がって見たことないですよね。見積書にも「屋根塗装 一式」としか出てきません。

住宅営業が評価されるのは、契約した棟数です。私が毎月見ていた成績表に、30年後の屋根代を書く欄はありませんでした。落としていたのは、私も同じです。

ただし、足場と外壁そのものは2階建てのほうが広い。床面積を半分にしても、外周は半分にならないからです。外壁は平屋の1.41倍、足場は1.36倍でした。

📌 この章の要点
2024年4月に条件になったのは高さではなく、建物のまわりの1mの余地です。浮くはずだった足場代は、浮きません。

30年でどっちが高いかは、どこまで数えるかで決まります

片方だけ数えれば、どちらの結論も作れます

同じ延床で比べると、平屋は屋根と基礎が広く、2階建ては外壁と足場が広い。どちらも事実です。片方だけを数えれば、どちらが高いという記事も書けてしまう。

この記事にも以前の版があります。平屋に不利な部位だけを数えていたのは、私です。両方を並べ直しました。表は、小計の2行だけ見てください。

部位30年での回数平屋 − 2階建て安いのは
足場2回−8.9万円平屋
外壁塗装2回−24.7万円平屋
ベランダ防水2回(2階建てのみ)−20.0万円平屋
小計(平屋が有利な側)−53.7万円平屋が53.7万円得
屋根塗装築15年に1回+14.8万円2階建て
屋根カバー工法築30年に1回+56.1万円2階建て
防蟻処理5年ごと6回+63.0万円2階建て
小計(平屋が不利な側)+133.9万円平屋が133.9万円損
合計+80.2万円(月2,228円)2階建て
※前提:延床30坪(99.17㎡)で揃え、平屋は1階30坪、2階建ては総2階。正方形・凹凸なし、軒高3.0m/6.0m、軒の出0.45m、勾配4寸、足場は外壁から0.5m離して軒高+0.5m。単価は2026年8月の相場の真ん中で、足場800円/㎡、外壁・屋根塗装2,500円/㎡、カバー工法9,500円/㎡、防蟻7,000円/坪。築15年に外壁+屋根塗装、築30年に外壁塗装+カバー工法、防蟻5年ごと6回、ベランダ防水は2階建てのみ各10万円。前提が変われば、金額も向きも変わります。

有利な側も小さくありません。外壁と足場、それにベランダのない分。平屋は屋根とシロアリの勝負が始まる前に、53.7万円リードしています。

不利な側でいちばん効くのが防蟻です。シロアリの防蟻処理は、延床ではなく「1階の床面積」で見積もられます。同じ延床30坪なら、平屋はまるまる倍の面積を薬剤で処理する。ここ、見積書を何枚並べても出てきません。ご存じでしたか。ただし面積が倍でも費用は倍になりません。面積に比例しない固定費が入るからです。

防蟻の回数と屋根の直し方で、答えの向きが変わります

動かす前提は2つ。防蟻を30年で何回やるか。築30年の屋根を、カバー工法(今の屋根に新しい屋根材をかぶせる直し方)にするか、塗装で回すか。最終行だけ見てください。

防蟻の回数築30年の屋根平屋 − 2階建て
5年ごと6回(推奨どおり)カバー工法+80.2万円(月2,228円)
6回塗装で回す+38.9万円(月1,080円)
2回カバー工法+38.2万円(月1,062円)
2回塗装で回す−3.1万円(平屋のほうが安い)

推奨どおり6回やってカバー工法なら、平屋が80万円ほど高い。防蟻2回で屋根を塗装で回すなら、平屋のほうが3万円安くなります。

じゃあ、防蟻は2回に減らしたほうが得?
損得だけで決めないでください。表の上では平屋が安くなりますが、被害が出れば、この差は一度で吹き飛びます。

塗装で回せるかどうかも、屋根材と傷み方しだい。塗装は延命であって、更新ではありません。表の下の行に寄せるほど、費用は下がって、手間とリスクは上がります。

前提で変わるって、それ逃げてない?
逃げているのは、前提を書かずに「◯◯万円の差です」と言い切っている側です。
でも前提なんて、素人が決められないよ。
決められますよ。再処理を推奨どおりやるつもりがあるか、30年目の屋根に葺き替え相当のお金を出すつもりがあるか。この2つだけです。

📌 この章の要点
差の正体は相場ではなく、数える部位です。防蟻の回数と30年目の屋根の直し方、この2つを決めた人だけが、自分の答えを持てます。

修繕費は、来る年がだいたい決まっています

戸建てには、修繕積立金がありません

80万円は、30年で割れば月2,228円。平屋を諦める理由になる額ではありません。階段のない暮らしに、それだけの価値はありますよね。FPとして怖いのは金額より、ローンの返済と子どもの学費と屋根・外壁の更新が、同じ年に重なることです。屋根と外壁が来る年は、いまカレンダーに書けます。

カルタ

💰 不動産FPカルタの解説

マンションには、毎月強制的に集められる修繕積立金があります。戸建てには、それがありません。
引き渡しの日にお客様へ渡す書類の束を、私は何度も用意しました。保証書、取扱説明書、検査の記録。その中に、30年後の修繕費の話は1枚も入っていません。

しかも修繕は先送りできます。今年やらなくても家は壊れないので、毎年順位が下がり、いよいよの年にリフォームローンになる。修繕費が家計を壊すのは、金額が大きいからではなく、準備されないまま来るからです。

月2,000円ちょっとなら、うち払えると思うけど。
払えるかどうかより、その2,000円が毎月どこかに寄っているかどうかなんです。

やることは難しくありません。返済計画の表に築15年と築30年の行を足して、「外壁塗装」「屋根」と書き込む。金額は今日の相場のままでかまいません。行を作らないかぎり、修繕費は「いつか来る不安」のままです。

じゃあ、うちの場合はどっちが安いの?

ここまでの数字の前提は、あなたの土地で動きます。敷地に1m以上の余地があるかで足場の種類が変わり、1階を大きくするほど屋根の面積比は縮みます。

じゃあ、どこに頼めば、うちの土地でいくらか出してもらえるの?
1社では出ません。同じ土地・同じ要望で複数社に出させて、初めて金額の形になります。1社だけでは、前提の違いにも気づけないんです。

間取りが出れば、この表の前提をあなたの数字に置き換えられます。1階の床面積でシロアリの見積面積が、まわりに1m取れるかで足場の種類が決まる。一般論の表が、あなたの家の表に変わります。

足場の種類も、シロアリの見積面積も、屋根の直し方も、土地と間取りが決まって初めて数字になります。だから、同じ条件で複数社に出させる以外に、自分の家の答えを出す方法がないんです。1社の見積もりだけでは、その会社の前提が高いのか安いのかすら判断できません。

⚠️ 「平屋だからいくら」という相場は存在しません。足場の種類も、防蟻の見積面積も、あなたの土地の形しだいで変わります。

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✍️ 本気度が伝わる「要望欄」の書き方(コピペOK)

タウンライフで理想の間取りをつくってもらうコツは、しっかり要望を書くことです。この記事の前提を、あなたの土地の数字に置き換えてもらうつもりで書いてください。

タウンライフ家づくりの要望入力欄の画面

👇 以下の文章を要望欄にコピーして使ってください。

平屋と2階建てで迷っています。同じ延床面積・同じ仕様で、両方のプランと見積もりをいただけますか。あわせて、敷地まわりの足場の種類(本足場か一側足場か)と、シロアリの防蟻処理・屋根の修繕を含めた長期的なメンテナンス費用の目安も分かると助かります。

なお、この記事は「同じ延床30坪」で比べています。実際には、平屋は階段や2階の廊下が要らない分、より小さい延床で同じ暮らしやすさになります。土地と建築費を含めた総額の比較は平屋と2階建て、総額で得なのはどっちへ。

📌 この章の要点
戸建てに、積立を強制してくれる仕組みはありません。金額より先に「来る年」を書き出しておくこと——それだけが、いま手を打てるところです。

まとめ|「老後は平屋がラク」で決めない

  • 住宅内でころんだ高齢者39,053人のうち29,783人は居室・寝室。発生場所の上位5つに階段は入っていない
  • 2024年4月からは、敷地に余裕がある平屋ほど本足場になりやすい
  • 30年の修繕費の差は、両方の部位を数えて月2,228円。前提を2つ動かせば消える
  • 屋根と外壁が来る年は、いま分かる。だから準備できる

「老後を考えると平屋がラクですよ」——私も使っていた言葉です。嘘ではないけれど、その一言で決めるには、決めることが多すぎます。

とりあえず、老後だけを理由に決めるのはやめとくよ。
はい、それで十分です。30年後の体は分かりませんが、屋根と外壁がその頃に更新時期を迎えることだけは、いま分かっていますから。

分かるほうから準備してください。あなたの家づくりが、老後まで気持ちよく続くことを応援しています!

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「家づくりの道具」4点

家づくりは、ほとんどの人が一生に一度です。だから、会社の比べ方も、担当者への聞き方も、誰にも教わらないまま本番が始まります。
私が売る側にいたころ、「お客様がこれを持っていたら、話がまるで違ったのに」と思っていたものを、4つの道具にまとめました。

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  • 後悔しないハウスメーカー比較チェックシート(PDF)
    候補の会社を「5つのものさし」と「担当者チェック」で採点して、ご夫婦で見比べられる一枚です。
  • 同じ工法メーカー早見表(PDF)
    どの会社とどの会社が同じ工法どうしなのか、36社分の一覧。相見積もりの組み方が変わります。
  • 家づくり最新データシート(Web・毎年更新)
    坪単価の相場、保証年数、火災保険が下がる「省令準耐火」など、時間で変わる数字をまとめてあります。

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