この記事は、住宅に関する有益な情報をFPの視点でわかりやすくお届けすることを目的として作成しています。
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こんにちは!このブログも10周年。
元ハウスメーカー、今不動産特化FPのカルタです!



土地はまだ決めていない。会社も決めていない。その段階で、平屋と2階建て、どっちが安いのかを調べると——答えはどこを見ても「平屋のほうが高い」でそろっています。
基礎も屋根も2倍になるから。理由まで書いてあるので、反論のしようがありません。平屋のほうを、候補から外そうとしていませんか。
ただ、その説明はどれも「同じ広さで比べたら」という条件の上に乗っています。私はここが、ずっと引っかかっていました。その条件が自分の家に当てはまるかを確かめないまま進むと、いくら違うのかを知らないまま、どちらかを選ぶことになる。
この記事では、同じ3LDKでつくった平屋と2階建ての間取りを2枚並べて、建物でいくら、土地でいくら違うのかを順番に出します。先に答えを言うと、どちらが安いかは、あなたが買う土地の値段で決まります。
読み終わるころには、気になっている土地の情報を見ながら、自分の場合はどちらが安いかを判定できるようになるはずです。
💡 土地の値段の話をする前に、平屋そのもので後悔しないために。
住んでから気づく平屋の失敗は、そのほとんどが契約前の図面で直せます。


🏠 この記事でわかること
- 同じ3LDKをつくるのに、平屋と2階建てで必要な広さが何坪違うのか
- その差が、2階建ての図面のどこに使われているのか
- 平屋の坪単価が何倍を超えると、その差が消えてしまうのか
- 土地の値段が動いたとき、金額がいくら動くのか
- 3つの数字だけで、自分の場合はどちらが安いかを自分で判定する手順
目次[閉じる]
- 1同じ広さで比べれば、平屋が高い。これは本当
- 2同じ3LDKなのに、平屋のLDKは3.5畳広い
- 32階建ての4.7坪は、階段と廊下と2階のトイレに消えていく
- 4坪単価は家の値段ではなく、割り算の答え
- 5平屋の坪単価が2階建ての1.17倍を超えたら、4.7坪の節約は消える
- 6平屋に要る土地は、2階建てより何坪広い?
- 7土地の㎡単価が1万円動くと、38万円動く
- 8平屋と2階建て、両方の間取りが打ち合わせで出てこないのはなぜ?
- 9土地を決める前に、両方の間取りと資金計画を取り寄せる
- 10よくある質問(Q&A)
- 11住んでからの光熱費・修繕費・税金は、この記事では決めない
- 12まとめ|「どっちが安いか」の答えは、あなたの土地の値段で決まる
同じ広さで比べれば、平屋が高い。これは本当
30坪の平屋と、30坪の2階建て。この並べ方をすると、見積書で先に上がるのはたしかに平屋のほうです。
基礎と屋根は、建物が地面にどれだけ広がっているかで量が決まります。同じ延床を1階だけに並べれば、地面に接する面も、その上に載る屋根も2倍。ここは形の問題なので、どの会社で建てても変わりません。


私が引っかかっているのは、そこではありません。比べる前提のほうです。
30坪の2階建てには、階段が入っています。2階の廊下も、2階のトイレも入っている。平屋には、それが要りません。同じ部屋数・同じ広さの部屋をつくるのに必要な延床が、そもそも違うんです。
だから私は、面積を合わせるのではなく、暮らしを合わせて比べ直します。そこまで計算していくと、答えは建物では決まりません。どっちが安いかは、あなたの土地の値段で決まります。




📌 この章の要点
値段を比べる前に、並べるものをそろえる。ここを飛ばした比較は、どの数字も正しいのに答えだけがずれます。
同じ3LDKなのに、平屋のLDKは3.5畳広い
手元に2枚の図面があります。どちらも3LDK、主寝室ひとつと子供部屋ふたつという、同じ部屋数でつくったものです。
片方は平屋で、延床は92.75㎡。延床というのは、1階と2階の床を全部足した広さのことです。平屋なら2階がないので、そのまま1階の広さになります。坪に直すと約28.1坪。
もう片方が2階建てで、108.46㎡=約32.8坪。差は15.71㎡、坪でいえば4.7坪あります。
坪と㎡が両方出てきますが、1坪は畳2枚ぶん、㎡でいうと3.3㎡です。図面に印字されているのは㎡なので、この記事もそちらを主に書きます。
【平屋バージョン】


LDK23.5畳、主寝室+子供部屋2つの3LDK
【2階建てバージョン】


LDK20畳、主寝室+子供部屋2つの3LDK
ここまでは、面積の話です。おもしろいのは、中身のほうでした。見るのは、いちばん上の行だけで足ります。
| 部屋 | 平屋(約28.1坪) | 2階建て(約32.8坪) |
|---|---|---|
| LDK 合計 | 23.5畳(リビング12.5+ダイニング6+キッチン5) | 20.0畳(リビング10+ダイニング5+キッチン5) |
| 主寝室 | 7畳 | 8畳 |
| 子供室 | 4.5畳×2 | 4.5畳×2 |
| 洗面室/浴室 | 3畳/2畳 | 3畳/2畳 |
| トイレ | 1畳×1か所 | 1畳×2か所 |
| 廊下 | なし | 1階・2階にあり |
部屋数をそろえると、平屋のほうが小さくつくれる。しかも中は広い。
主寝室だけは2階建てのほうが1畳広いので、部屋の畳数を全部足すと、平屋が2.5畳ぶん広い。いちばん長くいるLDKで見れば、3.5畳の差です。
この畳数は、図面にそのまま印字されています。私の計算を信じなくても、数えれば分かる数字です。
廊下をなくした28坪の平屋が実際にどんな形になるのかは、間取り図をそのまま公開しています。→28坪3LDKの平屋の間取り実例
📌 この章の要点
部屋の数を先に決めてから面積を出すと、話は逆を向きます。この順番の入れ替えは紙の上でしか起きないので、見積書を何枚もらっても出てきません。
2階建ての4.7坪は、階段と廊下と2階のトイレに消えていく
さっき出た4.7坪という差は、数字だけだと広さが浮かびません。畳にすると、約9.5畳。この間取りでいえば、4.5畳の子供部屋がまるごと2つ入る広さです。
その9.5畳ぶんの床は、2階建てではどこへ行っているのか。図面から拾うと、こうなります。


| 消える部分 | 面積 |
|---|---|
| 1階の階段 | 1.00坪(3.31㎡) |
| 2階の階段 | 1.00坪(3.31㎡) |
| 2階の廊下・階段まわり | 約1.24坪(4.10㎡) |
| 2階のトイレ | 0.50坪(1.66㎡) |
| 1階の収納・玄関まわり | 約0.50坪(1.66㎡) |
| 小計 | 約4.24坪(14.02㎡) |
階段のところを、もう少し詳しく。屋内の階段は、1階の床にも2階の床にも数えられます。上と下の2か所で床を食うので、階段そのものだけで約2坪。そこに2階の廊下と階段まわりが1〜1.5坪、2階のトイレが0.5坪乗ります。
積み上げると約4.2坪。実際の差は4.7坪なので、残りの0.5坪ほどは間仕切り壁の厚みや、収納の取り方の差ということになります。
子供部屋2つ分の床を、階段と廊下とトイレに使ってから、残りで部屋を割り振っている。それが2階建てという形です。
バルコニーで消えるのは、面積ではなく防水工事の費用
平屋にするとバルコニーの面積も浮く——そう思うかもしれませんが、ここは違います。バルコニーは、いま出した4.7坪に入っていません。
外に開いていて奥行2mまでのバルコニーは、延床面積に数えないことになっています。この2階建てのバルコニーは奥行1mほど。つまり108.46㎡という数字の中に、バルコニーは最初から入っていないんです。
だから「平屋にすればバルコニーの面積が消える」とは書けません。消えるのは面積ではなく、防水工事の費用のほうです。バルコニーの床は防水をやり直す日が来ますし、そもそもの施工費もかかります。
📌 この章の要点
ここまでで確かめたのは、床の量です。量が少ないほうが安いとは限りません。値段は、量に単価を掛けて出るからです。
坪単価は家の値段ではなく、割り算の答え
坪単価という数字の中身を、ここで一度だけ開けておきます。
坪単価は、各社が自分で決めていい数字です。何を分子に入れて、何で割るか。そこに決まりがないので、会社が変われば中身も変わります。
分子に入るのは、ふつうは本体工事費だけです。家の値段は3つに分かれていて、本体工事費が建物そのものを建てるお金。付帯工事費が、建物の外側で必要になる工事。諸費用が、工事ではないのに払うお金です。坪単価に入っているのは、いちばん上の1つだけ、ということです。
外側の工事というのは、たとえば地盤改良。軟らかい地盤を固めて、家が傾かないようにする工事です。ほかにも、道路の下の水道管を敷地の中まで引く工事、駐車場やフェンスをつくる外構。それに照明やカーテン、エアコン。工事ではないのに払うお金というのは、登記の費用や火災保険料のことです。
だから坪単価×坪数で出た金額は、家の値段の全部ではありません。ここを「総額」と呼んでしまうと、あとから数百万円単位で話が食い違います。この記事では、坪単価×坪数を必ず本体工事費と呼びます。
私が営業をしていた頃、坪単価の出し方は会社ごとに違いました。同じような建物なのに、隣の会社が数万円安い坪単価を出してくる。中身を開けると、含んでいる工事が違うだけ、ということが起きます。
同じ家でも、割る面積を変えれば坪単価は下がる
やっかいなのは、坪単価を出すときに何で割るか——分母のほうです。
延床面積で割る会社と、施工面積で割る会社があります。施工面積というのは、延床には入らないバルコニー・玄関ポーチ・吹き抜け・小屋裏まで面積として数える出し方です。分母が大きくなるぶん、坪単価は下がります。同じ家、同じ請求額なのに、坪単価だけが数万円変わる。
平屋の坪単価が高く出る理由も、ここでほとんど説明がつきます。さきほどの、基礎と屋根の量の話です。平屋は、同じ部屋数でも地面に広がる面積が大きい。分子は減らないのに、分母である延床だけが小さくなる。だから答えが大きくなります。
さらに、施工面積で割る会社では差がもう一段開きます。平屋にはバルコニーがなく、玄関ポーチも小ぶりです。2階建て側だけ分母に足される面積があって、平屋にはない。
比べていいのは、同じ会社が、同じ分母の決め方で出した2枚の見積書だけです。




📌 この章の要点
坪単価は、会社に聞けば出てくる数字です。ただし「何で割ったか」は、聞かないと出てきません。
平屋の坪単価が2階建ての1.17倍を超えたら、4.7坪の節約は消える
さきほどの2枚の図面に、金額を入れてみます。
ここから先は、2階建ての坪単価を80万円と”置いて”計算します。相場ではありません。こちらで置いた数字です。あとで受け取る見積書の数字に差し替えて読んでください。
平屋の坪単価は、その1.2倍にあたる96万円と置きます。このあと出てくる分かれ目より上——つまり平屋に不利な側で置いておきます。それでも答えが出るかを、先に見ておきたいからです。
表は2行だけです。上の行を掛け算すると、下の行になります。
モデルケース(坪単価はこちらで置いた数字)
| 項目 | 2階建て(108.46㎡=約32.8坪) | 平屋(92.75㎡=約28.1坪) |
|---|---|---|
| 坪単価(こちらで置いた数字) | 80万円 | 96万円 |
| 本体工事費 | 約2,625万円 | 約2,693万円 |
差は約69万円。平屋のほうが高くなりました。4.7坪も小さいのに、です。
分かれ目は1.17倍。地域が違っても動かない
2つの本体工事費がちょうど並ぶ倍率は、割り算1回で出ます。
32.8坪を28.1坪で割ると、1.17。2階建ての坪単価に、この倍率を掛けた数字が、平屋の坪単価と並ぶ点です。
この分かれ目は、坪単価がいくらでも、どこの土地でも動きません。延床の比だけで出るからです。
一方で、あなたの場合に何倍になるのかは、私には言えません。さきほどのとおり、坪単価は会社が決める数字だからです。平屋のほうが高く出る理由ははっきりしていても、何割高いかは、会社と間取りが決まるまで出てきません。
だから、倍率を当てにいくのはやめます。必要なのは、あなたが受け取る2枚の見積書だけです。
表の読み方はひとつだけ。2枚の見積書の坪単価を、平屋 ÷ 2階建てで割ってください。その答えが、左の列です。
| 平屋の坪単価が2階建ての | 本体工事費の差 |
|---|---|
| 1.00倍(同じ) | 380万円 平屋が安い |
| 1.10倍 | 156万円 平屋が安い |
| 1.17倍 | 並ぶ |
| 1.20倍 | 69万円 平屋が高い |
| 1.30倍 | 293万円 平屋が高い |




この2,600万円台に、まだ乗るものがある
表に並んだ2,600万円台は、本体工事費です。最後に支払う金額ではありません。
さきほど並べた付帯工事費と諸費用が、この上に乗ります。どこまで伸びるのかは、別の記事で分けて数字にしました。→30坪の平屋の総額は本体工事費の1.22〜1.36倍
📌 この章の要点
建物側の答えは、割り算1回で出ます。倍率を当てにいく必要はありません。
平屋に要る土地は、2階建てより何坪広い?
ここから土地の話に移ります。建物の中でついた数十万円の差は、この先の計算で簡単に飲み込まれます。
土地の情報を、一度開いてみてください。面積や坪単価と並んで「建ぺい率」という数字が載っています。敷地の広さに対して、真上から見た建物をどこまで大きくしていいか、その割合のこと。敷地いっぱいに建てられると、火が隣へ移りやすく、風も光も通らなくなる。それを防ぐための決まりで、地域ごとに数字が違います。
この「真上から見た建物の広さ」が、建築面積。ここまで使ってきた延床——各階の床を全部足した広さ——とは、別の数字です。
平屋の建築面積は92.75㎡。さきほど出した延床と、同じ数字です。床が全部1階にあるので、そうなります。2階建ては上に積むぶん、地面を覆うのは61.16㎡(約18.5坪)で済む。建ぺい率がかかるのは、こちらの数字のほうです。
基礎と屋根の量も、この建築面積で決まります。同じ延床で比べれば2倍。ただし今回のように部屋数をそろえると、1.5倍まで縮みます。
建ぺい率60%で計算すると、平屋は約47坪・2階建ては約31坪
必要な敷地の下限は、建築面積を建ぺい率で割ると出ます。
真上から見た建物の広さ ÷ 建ぺい率 = 必要な敷地の下限
ここでは一例として、建ぺい率60%で計算してみましょう。この土地なら、平屋には約47坪の敷地が要ります。2階建ては約31坪。差は約16坪です。


駐車2台と庭を置くと、差は11.5坪まで縮む
ただ、いま出した約16坪という差は、建物を載せただけの数字です。
実際の敷地には、車を停める場所と、庭やアプローチが要ります。駐車2台で約35㎡、庭とアプローチで約20㎡。合わせて約55㎡を、どちらのプランにも確保してみます。
ここで、平屋と2階建てで起きることが変わります。見るのは、建物を置いたあとに残っている空き地が、55㎡より広いか狭いかです。
平屋は、154.6㎡のうち建物が92.75㎡。残りは60㎡ほどあるので、駐車場と庭はそこに収まります。敷地は154.6㎡のまま動きません。
2階建ては、101.9㎡のうち建物が61.16㎡。残りは40㎡ほどで、55㎡には足りない。足りないぶんだけ敷地を広げて、116.5㎡(約35坪)になります。
こうして、差は38.1㎡(11.5坪)まで縮みました。
建ぺい率ごとに並べると、こうなります。自分の候補地の建ぺい率の行だけを見てください。40%や50%が指定されている地域もあります。その場合は、平屋に要る敷地だけ計算し直せば足ります。
| 建ぺい率 | 平屋に要る敷地 | 2階建てに要る敷地 | 差 |
|---|---|---|---|
| 50% | 56.1坪 | 37.0坪 | 19.1坪 |
| 60% | 46.8坪 | 35.2坪 | 11.5坪 |
| 80% | 44.8坪 | 35.2坪 | 9.6坪 |
80%の行も、理由は同じです。建ぺい率が上がって建物が楽に載るようになっても、駐車場と庭の55㎡は減りません。だから敷地はそこで頭打ちになる。「建ぺい率の高い土地なら平屋も安く済む」は、80%では成り立たないわけです。
建ぺい率は、建物が敷地のどれだけを覆っていいかの上限であって、車を2台置けるか、洗濯物を干す庭が残るかまでは保証してくれません。




静かな住宅地ほど、平屋には土地が要る
建ぺい率の数字は、その土地の用途地域で決まっています。用途地域というのは、何を建てていい土地かの、国の種類分けのこと。土地の情報に書いてある項目のひとつです。
商業地域なら80%。静かな低層住宅の地域は、上限でも60%で、40%や50%が指定されているところもあります。住環境が静かな場所ほど、平屋には広い土地が要る、ということです。まずは、自分の候補地の数字を見てみてください。
土地によっては、角地などの理由で建ぺい率が上乗せされることがあります。気になっている土地がそうなのかは、役所の窓口で聞けばその場で分かります。
自分の希望する広さの平屋に、何坪の土地が要るのか。形と間口まで含めて逆算しています。→平屋の土地探しは50坪で足りる?
📌 この章の要点
平屋に要る土地の坪数は、建物が決まった時点で確定します。ここは交渉でも設計でも動きません。
土地の㎡単価が1万円動くと、38万円動く
11.5坪ぶんの土地を、いくらで買うか。ここまでの計算の差は、全部この1つでひっくり返ります。
敷地の差38.1㎡に、土地の㎡単価を掛けるだけ。㎡単価が1万円上がるごとに、土地代の差は38万円ずつ開いていきます。
思い出してほしいのが、2階建て80万円・平屋96万円と置いた例で建物側に出た69万円です。あれを土地の㎡単価に直すと、1.8万円分。坪でいえば、6万円分でしかありません。
建物側で必死に詰めた差は、土地の㎡単価が数万円動くだけで消えます。
「じゃあ、いくらの土地なら平屋が勝つのか」
土地が安いほど平屋が有利になる——そう言い切れれば話は早いのですが、そうはなりませんでした。勝てる場合と、どうやっても勝てない場合があります。
土地の広告に載っている坪単価を、右の列と見比べてください。
分岐点(建ぺい率60%・車2台と庭を確保した場合)
| 2枚の見積書の坪単価比(平屋 ÷ 2階建て) | 平屋が金額で勝てる土地 |
|---|---|
| 1.00倍(同じ) | 坪33万円より安い土地 |
| 1.10倍 | 坪13.5万円より安い土地 |
| 1.17倍以上 | 分岐点なし。土地がタダでも平屋は勝てない |
平屋の坪単価が2階建ての1.17倍以上になると、分岐点そのものがありません。土地がタダでも、平屋のほうが高い。まれに同じ坪単価で出てくる会社もあります。そのときは坪33万円より安い土地で平屋が勝ちます。
勝負を決めているのは、坪単価の差ではありません。4.7坪ぶんの節約が、土地代に食われるかどうかです。だから答えは、あなたの土地の値段でしか出ません。


💰 不動産FPカルタの解説
この試算では、駐車2台を約35㎡、庭とアプローチを約20㎡として、平屋にも2階建てにも同じだけ確保しています。35㎡というのは、中型のセダンを横に2台並べたときの寸法(幅6.2m×長さ5.7m)から出した面積です。ドアを開けて乗り降りする余裕まで見るなら、もう少し要ります。
ここを「駐車場も庭も数えない」——建物が載るだけの敷地で計算すると、分岐点は坪23.8万円・坪9.8万円まで下がります。前提が動けば、分岐点も動きます。
判定に要る数字は、土地情報に載っている
気になっている土地で、平屋と2階建てのどちらが安いか。それを判定するのに要る数字は、もう半分そろっているかもしれません。
土地の広告に載っているのは、所在地・面積・坪単価・用途地域・建ぺい率・容積率・接道です。判定に要る土地側の数字は、ここにそろっています。載っていなければ、扱っている不動産会社に聞けばその場で分かります。
足りないのは、あとひとつ。同じ会社が出した、平屋と2階建ての坪単価です。
手順にすると、3つだけです。
- 土地情報の「建ぺい率」を見る。60%なら、この記事の数字がそのまま使えます
- 2枚の見積書の坪単価を、平屋 ÷ 2階建てで割る。1.17より大きければ、そこで終わりです
- 1.17より小さければ、土地情報の坪単価を、さっきの分岐点と見比べる
建ぺい率が60%でないなら、平屋に要る敷地だけ計算し直してください。希望する平屋の広さを、自分の建ぺい率で割るだけです。
📌 この章の要点
ここまでの計算に、専門の知識は1つも要りませんでした。使ったのは、割り算とかけ算だけです。
平屋と2階建て、両方の間取りが打ち合わせで出てこないのはなぜ?
ここまでの計算に要るのは、同じ会社がつくった平屋と2階建ての、図面と金額です。2枚そろって、はじめて割り算ができます。
これから打ち合わせに入ると、手元に残るのはたいてい片方の図面です。片方だけなら、それがふつうです。理由は、社内の回り方のほうにあります。
1枚のプランは、営業ひとりでは描けない
打ち合わせで渡される間取りプランと資金計画は、社内で3人がかりで作っています。
営業がヒアリングした要望を社内の設計担当に投げ、上がってきた図面をもとに、積算の担当が数量を拾って金額を出す。ここまでやって、ようやく1セットです。
だから「平屋と2階建ての両方をください」というお願いは、営業にとって「図面を2枚描いてください」ではありません。社内の2つの部署の時間を、2倍ください、という依頼になります。
しかも設計担当は、同時に何組ものお客様を抱えています。プランの依頼は社内で順番待ちの列に並び、優先されるのは契約が近い案件です。「平屋と2階建ての両方」は、片方が最初から捨てられると分かっている仕事なので、列の後ろに回されます。
私が営業をしていた頃、営業の評価は契約棟数と、初回接客から契約までの期間で決まっていました。プランを何本つくったかは、1円にもなりません。
私は、この評価のつくり方そのものがおかしいと思っています。お客様が正しく比べるための材料を出す仕事に、会社が値段をつけていない。だからまじめな営業ほど、比べさせない方向に最適化されてしまう。
営業は正直に、いちばん話がまとまりやすい順路を勧めています。ただ、その順路があなたにとっていちばん安い順路とは限らない、というだけです。




知りたい時期と、社内で描ける時期がずれている
設計の立場からすると、プランは敷地が決まってから描くものです。
間口、奥行き、方位、接道の向き、建ぺい率、高さの制限。これが決まらないと線が引けません。特に平屋は建築面積が敷地をほとんど使い切るので、敷地の形が2mずれるだけで間取りが成立しなくなります。敷地に収めるためにL字やコの字にすると、外壁も基礎も、その分だけ増えます。
一方であなたが知りたいのは、土地を決める前です。平屋に必要な土地なのか、2階建てで足りる土地なのかを知らないまま、土地を選びたくない。
「土地が決まってからにしましょう」と言われるのは、この順番でしか社内が回らないからです。
土地を決めた瞬間に、平屋か2階建てかは決まってしまう
平屋を望んでいる人が、建築面積の余裕を確かめないまま土地を契約すると、次の打ち合わせで告げられるのは「入りません」ではありません。
「入るには入りますが、この形になります」です。ここからが本題で、削るものを選ぶのは、あなたのほうになります。
削られていく順番は、だいたい決まっています。
- 駐車が2台から1台になる、または縦列になって出し入れが面倒になる
- 庭が消える。植栽の予定だった場所が、そのまま砂利敷きの余白になる
- 隣地との距離が最小限まで詰まる。窓を開けたときの視線と、将来の足場が苦しくなる
- 部屋が畳数ごと痩せる
- 最後に、いちばん削りたくなかったLDKに手が入る
ここまで来ると、行き着く結論はたいてい同じです。「平屋をやめて、2階建てにしましょう」。平屋を諦めたのではありません。土地を返せないから、建物のほうを諦めたんです。
建物を選んでいるつもりで、実際は土地を契約した日に選び終わっています。


💰 不動産FPカルタの解説
「土地から先に」と勧められるのは、土地が動きやすい商品だからです。建物はいつでも建てられますが、気に入った土地は待ってくれない。その理屈は、正しいと思います。
実際、いい土地は数日で消えます。だから「土地を見るな」と言う気はまったくありません。順番の話をしているだけです。
📌 この章の要点
「両方ください」と頼むこと自体は、誰にでもできます。断られるのではなく、後回しになるだけです。
土地を決める前に、両方の間取りと資金計画を取り寄せる
打ち合わせが始まる前に、同じ条件を何社かへまとめて投げてしまう方法があります。社内の順番は、ここでも変わりません。ただ、順番を待つ相手が1社ではなくなる。片方だけの図面で検討が止まることも、なくなります。
私が長くおすすめしているのが、タウンライフ家づくりです。展示場に足を運ぶ前に一度使ってください、と私は書いてきました。


希望する条件を1回入力すると、対応した住宅会社から「家づくり計画書」が届きます。中身は、次の3つです。
- 間取りプラン:入力した条件で描かれた図面です。この記事でいう「延床が何坪になるか」が、ここで初めて数字になります。「両方を」と書いておくことが、2枚をそろえる出発点になります。
- 資金計画(概算):本体工事費と、土地を含めた予算の見込みが入ります。同じ会社の数字で平屋と2階建ての坪単価が並んだら、平屋 ÷ 2階建てで割ってみてください。その答えを、さっきの1.17と見比べるだけです。
- 土地情報:その間取りが入る敷地を、希望エリアで探してもらうもの。建物が先、土地が後です。
ただし、どこの会社からでも提案が来るわけではありません。提携している会社の中からだけです。公式が書いているのは「1,300社以上」までで、自分の市区に何社いるかは公開されていません。
もうひとつ。届くのは間取りプランと資金計画(概算)であって、確定見積もりではありません。契約の前には、あらためて詳細見積もりを出してもらう必要があります。
そして、これを使ったから平屋が安くなるわけでもありません。手に入るのは、比べられる材料です。答えは、材料がそろってから自分で出すことになります。
すでに土地が決まっているなら、その敷地条件を入れて両方を出してもらってください。何を削ることになるのかが、打ち合わせで告げられるより先に見えます。
本気度が伝わる「要望欄」の書き方(コピペOK)
✍️ そのままコピーして使える文章
入力の途中に、希望を自由に書き込めるところがあります。ここが、いちばん結果を左右します。


▲赤い枠が要望欄です。ここに、下の文章を貼り付けます。
👇 以下の文章を要望欄にコピーして使ってください。
・3LDK(主寝室+子供部屋2つ)、LDKは◯畳以上を希望します
・廊下はできるだけ少なくしてください
・それぞれ延床が何坪になるかを教えてください
・坪単価は、延床で割った数字か施工面積で割った数字かも書いてください
・駐車2台と庭が残る敷地面積で、土地の候補もお願いします
・まだ検討の初期なので、まずはメールでのやり取りでお願いします
上から4行目——「坪単価は、延床で割った数字か施工面積で割った数字かも書いてください」が、この記事でいちばん効く一行です。分母の決め方がそろっていないと、2枚の坪単価を割り算しても意味がありません。
最後の行も、入れておいてください。
▼ 実際に届く間取りプランはこんな感じです!


※画像は私が過去に依頼した2階建ての事例です。平屋を希望するなら、要望欄にそう書いてください。




※本ページはアフィリエイト広告を含みます。下のリンクからのお申し込みで、紹介料の一部が当サイトの収入になります。
\ スマホから、平屋と2階建てを一括で /
平屋と2階建て、両方の
間取りと資金計画を
取り寄せる
(※PR タウンライフ家づくり公式HPへ)
依頼先の住宅会社は、届いた提案の中からあなたが選びます。
2枚そろえば、この記事の割り算はその場で終わります。
よくある質問(Q&A)
- Q1. 平屋と2階建て、両方の間取りと見積もりをハウスメーカーに頼めますか?
- A. 頼めます。ただし社内では、設計と見積もりの担当という別の部署の時間を2倍使う依頼になります。契約が近い案件から順に手が動くので、後回しになりやすい。断られたのではなく、列に並んでいるだけ、ということです。
- Q2. 同じ会社の見積書なら、平屋と2階建ての坪単価を比べていいですか?
- A. 比べていいのは、そこだけです。ただし延床で割った数字か、施工面積で割った数字かは必ず確認してください。分母が違うと、同じ家でも坪単価が変わります。
- Q3. 土地が狭い場合でも、平屋は現実的ですか?
- A. 建物だけなら建ぺい率に収まることがありますが、車2台と庭が残るかは別の話です。必要な敷地は「建築面積 ÷ 建ぺい率」で自分で計算できます。形と間口まで含めた逆算は平屋の土地探しは50坪で足りる?にまとめています。
- Q4. この記事の本体工事費が、そのまま支払う金額になりますか?
- A. なりません。坪単価×坪数は本体工事費で、ここに付帯工事費と諸費用が乗ります。どこまで伸びるかは30坪の平屋の総額は本体工事費の1.22〜1.36倍で数字にしています。
住んでからの光熱費・修繕費・税金は、この記事では決めない
ここまでは、家が建つまでに払うお金の話でした。
住み始めてからのお金——光熱費、修繕費、固定資産税。ここでは優劣を決めません。光熱費も修繕費も税金も、この記事の割り算とは別の数字で決まるからです。それぞれ1本ずつ、数字を出して検証しています。
光熱費は、外に触れる面が広いぶん平屋が不利です。どこで差がついて、契約前に何をすれば埋まるのかを書いています。→平屋の光熱費は高い?
修繕費は、30年で数えるとどの部位を数えるかで優劣が入れ替わります。足場の前提が変わったことも含めて、部位ごとに積み上げています。→老後に効くのは階段ではなく修繕費
固定資産税は、平屋のほうが高くなります。いくら高いのか、どこで差がつくのかを試算しています。→30坪平屋の固定資産税
まとめ|「どっちが安いか」の答えは、あなたの土地の値段で決まる
最後に、この記事で出した数字を並べ直します。
- 同じ3LDKでつくると、延床は平屋のほうが4.7坪小さい。しかもLDKは3.5畳広い
- その4.7坪は、2階建てでは階段(上下2か所)・2階の廊下・2階のトイレに使われている
- ただし平屋の坪単価が2階建ての1.17倍を超えると、その節約は建物の中で消える
- そして車2台と庭を確保した敷地で見ると、土地の㎡単価が1万円動くと38万円動く
だから「どっちが安いか」の答えは、あなたが買う土地の値段でしか出ません。
やることは、ひとつです。土地を決める前に、同じ部屋数の平屋と2階建ての間取りと資金計画を、両方出してもらう。そのうえで、2枚の坪単価を割り算して、土地情報の坪単価を分岐点の横に並べる。それだけで、自分の答えが出ます。
「平屋は高いらしい」と聞いて候補から外しかけていたなら、外すのは計算をしてからでも遅くありません。逆に、計算してみたら本当に高かった、でもいいんです。納得して選んだかどうかは、そのあと何十年も効いてきます。
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元ハウスメーカー営業がつくった
「家づくりの道具」4点
家づくりは、ほとんどの人が一生に一度です。だから、会社の比べ方も、担当者への聞き方も、誰にも教わらないまま本番が始まります。
私が売る側にいたころ、「お客様がこれを持っていたら、話がまるで違ったのに」と思っていたものを、4つの道具にまとめました。
- わが家のライフプランシート(Web)
年齢と年収を入れて、建てたい価格帯(ローコスト・中堅・大手)を選ぶだけ。「わが家は、いくらまでの家なら無理なく建てられるのか」——その上限額が出ます。 - 後悔しないハウスメーカー比較チェックシート(PDF)
候補の会社を「5つのものさし」と「担当者チェック」で採点して、ご夫婦で見比べられる一枚です。 - 同じ工法メーカー早見表(PDF)
どの会社とどの会社が同じ工法どうしなのか、36社分の一覧。相見積もりの組み方が変わります。 - 家づくり最新データシート(Web・毎年更新)
坪単価の相場、保証年数、火災保険が下がる「省令準耐火」など、時間で変わる数字をまとめてあります。
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